管理栄養士はスポーツの現場でも活躍できる!|専門資格も紹介

更新日 2024年02月27日 公開日 2020年11月18日

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スポーツジムやフィットネスクラブ、プロチームなどで、アスリートの栄養サポートを行う栄養士・管理栄養士は「スポーツ栄養士」と呼ばれます。

栄養士であってもスポーツ栄養士として働くことはできますが、アスリートがけがをしたり、体調を崩したりした場合、健康な方のみを指導対象とする栄養士では対応できません。また、専門資格の「公認スポーツ栄養士」を取得できるのは管理栄養士だけです。そのため、スポーツ栄養士は管理栄養士向きの職種といえるでしょう。

当記事では、管理栄養士がスポーツ栄養士として働く場合の仕事内容、必要なスキル、資格取得の方法などを解説します。スポーツ分野に興味のある管理栄養士の方は、ぜひ参考にしてください。

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管理栄養士はスポーツの現場でも活躍できる!|専門資格も紹介

スポーツの現場で働く「スポーツ栄養士」とは?

スポーツ栄養士とは、アスリート(一般人・プロ)の栄養や食事の管理に特化した、管理栄養士・栄養士です。

健康な体は、スポーツをする人たちにとって大切な財産です。そして、体づくりにはトレーニングだけでなく、日々の食事も大切な役割を果たします。つまり、栄養学の知識・技術を用いて、アスリートの体づくりやコンディション維持、パフォーマンスの向上をサポートするのが、スポーツ栄養士というわけです。

スポーツにおける栄養学の重要性が広く知られるようになったことで、近年はプロチームだけでなく、ジュニアのチームでもスポーツ栄養士のニーズが高まっています。

スポーツ栄養士の仕事内容

選手や指導者への栄養指導が、スポーツ栄養士の主な役割となります。

栄養指導とは、栄養バランスのとれた食事メニューの作成や分量調整などを行い、選手の体づくりやコンディショニングをサポートすることです。また、疲れの蓄積や筋肉の不足など、選手が抱えるトラブルや悩みを解消するため、栄養学の視点からのアドバイスを提供するのも栄養指導の一環です。

スポーツ栄養士は栄養指導に加えて、チーム関係者や保護者向けのセミナーを開催することもあります。セミナーでは、日々の食事メニューのあり方などについて指導したり、相談に乗ったりするため、スポーツ栄養士は「教育的な役割を担う仕事」ともいえるでしょう。

スポーツ栄養士に求められるスキル

スポーツ栄養士として活躍したい場合は、栄養に関する知識だけでなく、スポーツや運動生理学に関する知識も欠かせません。

たとえば、持久力を要するマラソンと瞬発力を要する100m走では、使う筋肉やエネルギーの消費量、最適な栄養バランスなどが異なります。したがって、スポーツ栄養士はそれぞれのスポーツを熟知したうえで指導に当たらなければなりません。

また、選手ごとに生活スタイルや練習スタイルが異なるため、「それぞれの選手に最適な食事内容はどのようなものか?」について、想像力を働かせることも必要です。

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スポーツ栄養士が活躍できるフィールド

スポーツ栄養士の勤務先は多岐にわたります。ここでは、実際に活躍されている方の事例も織り交ぜながら、4つの代表的なフィールドを紹介します。

トップアスリートのサポート

スポーツ栄養士のなかには、陸上や野球、サッカーといった競技の選手個人、またはチーム専属のスタッフとして活躍する方が多く見られます。その場合、日常のトレーニングや合宿、食事メニューの作成から体調のチェック、カウンセリングまで幅広い業務を担当し、舞台裏から選手を支えます。

また、国際大会で選手向けの食事を提供する企業・団体と提携し、栄養管理を担当するケースもあります。2021年に日本で催された国際大会においては、「栄養ヘルプデスク」が設けられ、管理栄養士が選手からの栄養や食事に関するさまざまな質問に対応しました。具体的な質問は、食事の内容やテイクアウトの要望、宗教に基づく食事の対応、アレルギーや栄養素に関するものまで多岐にわたったそうです。

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「アスリートを支える知識と情報収集能力を生かしてオーダーメイドの栄養サポートに挑戦し続ける 」/https://www.dietitian.or.jp/features/toprunner/20230224.html

そのほか、国立スポーツ科学センター(JISS)の研究員として、競技力の向上を支援している管理栄養士もいます。このケースではスポーツ栄養学の研究だけでなく、JISS内のアスリート向けレストランでの栄養管理、選手や競技団体への栄養相談・教育、合宿や試合での栄養サポートなどにも携わります。

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「栄養で世界と戦うということ、2020年に向けたスポーツ栄養の挑戦 」/https://www.dietitian.or.jp/features/toprunner/20170201.html

教育機関やジュニアスポーツチーム

管理栄養士として、子どもたちのスポーツ活動を支援している方もいます。教育機関やスポーツチームなどが主な仕事場で、人間としての健やかな成長とパフォーマンス向上の両立を目指して、選手や保護者を対象に指導を行います。

ジュニアアスリートが十分な栄養サポートを受けられていない現状を改善するため、教員や指導者に栄養指導を行うのもスポーツ栄養士の役割です。

(出典:立命館大学「地域のジュニアアスリートを育てる「食」。」/https://www.ritsumei.ac.jp/research/radiant/sports/story8.html/

フィットネスクラブやスポーツジム

フィットネスクラブやスポーツジム、パーソナルトレーニングジムなども、スポーツ栄養士が活躍できるフィールドです。近年は、健康意識の高まりに伴い、スポーツ栄養士の需要が特に増加しています。

ジムではお客さまの目標に応じたダイエットプログラムを考えたり、健康の維持・向上を食事面から支援したりします。職場によっては、栄養に関するセミナーや個別の栄養相談を行うこともあるでしょう。

医療機関

病院・クリニックなどの医療機関でもスポーツ栄養士のニーズはあり、スポーツ選手が多く訪れる整形外科などはその代表例です。

また、病気やけがで手足の運動機能に支障をきたした方に向けて、適切な食事メニューを考えるのもスポーツ栄養士の役割です。

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スポーツ栄養士のやりがいや魅力

スポーツ栄養士は、アスリートのパフォーマンス向上や健康維持に貢献できるため、多くのやりがいと魅力があります。以下では、スポーツ栄養士の仕事の魅力について紹介します。

選手と一緒に勝利を目指せる

スポーツ栄養士は、選手を栄養面からサポートすることで、パフォーマンス向上に大きく貢献できます。選手が勝利を収めたときや壁を乗り越えたときに、喜びを分かち合えるのは大きな魅力でしょう。また、献立の作り方や栄養バランスなどのアドバイスを通じて、選手のご家族を支援することもできます。

多職種と協働して働ける

スポーツ栄養士は、選手だけでなくコーチ、スポーツトレーナー、スポーツドクターなど、さまざまな専門職と協力しながら働くことになります。異なる専門分野のプロフェッショナルから「学び」を得ることで、自身の知識とスキルがより磨かれるでしょう。

専属栄養士になれる可能性がある

スポーツ栄養士は、高い専門性を持つことで、プロスポーツ選手やプロチームの専属栄養士として働くチャンスがあります。そうした契約を結べれば、特定の選手やチームの成功に深く貢献できるため、やりがいも大きいでしょう。

【関連リンク】公認スポーツ栄養士とは?
管理栄養士が取得するメリットも紹介

スポーツ栄養士になるには

スポーツ栄養士になるためには、まず栄養士や管理栄養士の資格を取得する必要があります。

栄養士の資格は、栄養士養成施設の卒業時に都道府県知事から免許を受けることで与えられます。

一方、管理栄養士の資格を得るには、管理栄養士養成施設で学習し、管理栄養士国家試験に合格しなければなりません。栄養士として一定年数(1~3年)の実務経験を積んだ後に、管理栄養士国家試験に挑戦することもできます。

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「管理栄養士国家試験について」/https://www.dietitian.or.jp/students/national-exam/

栄養士・管理栄養士の資格を取得した後は、スポーツ関連の職場に就職し、実務経験を積むのが一般的です。スポーツチーム、スポーツジム、スポーツ関連の医療施設などでの経験を通じて、スポーツ栄養の専門知識と技術を深めましょう。公認スポーツ栄養士など、スポーツ栄養に関する資格を取得することで、専門性をさらに高められます。

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栄養士資格との違いも

スポーツ栄養士に向いている方

スポーツ栄養士に向いている方の特徴として、以下の2点が挙げられます。

1 向上心が強い方
スポーツ栄養士は、栄養学の専門知識だけでなく、スポーツ科学や運動生理学など、スポーツ関連の幅広い知識と理解が求められます。これらの分野は常に進化しており、最新の研究やトレンドを追い続ける必要があります。
そのため、向上心が強く、自分の知識と技能を磨くことに情熱を持っている方は、スポーツ栄養士に向いているでしょう。
2 人と信頼関係を築くのが得意な方
スポーツ栄養士は、アスリートやその関係者と協力しながら、ニーズに合わせた栄養計画を立てます。その際は、アスリートの食生活や生活習慣に関するデリケートな情報を共有することになるため、信頼関係の構築が不可欠です。また、アドバイスを伝える際には、アスリートのライフスタイルや個人的な好みを理解し、受け入れやすい方法を提案する必要があります。
人とのかかわりを大切にし、信頼関係を築くことが得意な方は、スポーツ栄養士として成功しやすいでしょう。
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スポーツ栄養士には専門資格がある

スポーツ栄養士には、「公認スポーツ栄養士」という専門資格があります。この資格を取得すれば職場での信頼が増すだけでなく、キャリアアップにつながる可能性もあるでしょう。

ここでは、公認スポーツ栄養士の概要や資格の取得方法を詳しく説明します。

公認スポーツ栄養士とは?

公認スポーツ栄養士は、公益社団法人日本栄養士会と公益財団法人日本スポーツ協会が共同で認定している資格です。2023年5月現在、464名が公認スポーツ栄養士として認定されています。

(出典:公益社団法人 日本栄養士会「公認スポーツ栄養士」/https://www.dietitian.or.jp/career/specialcertifications/sports/

スポーツ栄養士として働きたい方は、公認スポーツ栄養士の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

資格を取得するメリット

公認スポーツ栄養士の有資格者には、以下のようなさまざまなメリットがあります。

<公認スポーツ栄養士の資格を取得するメリット>

・選手や指導者からの信頼が厚くなる
・フリーランスとしての仕事の幅が広がる
・栄養面とスポーツ面、両方の知識が深まる
・選手に対してより専門的なサポートができる
・選手とも専門的な話ができる
・仕事を通じてさまざまな専門家との人脈が広がる

公認スポーツ栄養士資格の取得によって、自身の資質を高めることができ、仕事や人脈の幅も広がるでしょう。

資格はどうやって取得できる?

ここでは、公認スポーツ栄養士の資格を取得するまでの流れを説明します。公認スポーツ栄養士の資格を取得する前提条件は以下の4点です。

・管理栄養士の資格を取得している
・公認スポーツ栄養士の養成講習会の受講年度4月1日時点で、満22歳以上
・スポーツ栄養指導の経験者、または指導する予定がある
・日本栄養士会と日本スポーツ協会に認められる

上記の条件を満たした方のみが、資格の取得に挑戦できます。取得までの流れは以下の通りです。

1 「スポーツ栄養ベーシック講習会」を受講
3日間10科目の講習会でスポーツに関する基礎知識を学ぶ。受講者には「スポーツ栄養ベーシック修了証」が与えられる
2 「公認スポーツ栄養士養成講習会」の共通科目を受講
日本スポーツ協会が実施する共通科目150時間を受講。知識確認テストやレポート提出なども課される
3 「公認スポーツ栄養士養成講習会」の専門科目を受講
日本スポーツ栄養学会主管の専門科目116.5時間で、集合講習や実習、インターンシップなどを行う
4 専門科目の試験を受験
口頭試験とインターンシップ・プレゼンテーション
5 合格
合格者は「公認スポーツ栄養士」として登録

公認スポーツ栄養士の更新制度

公認スポーツ栄養士の資格は、4年ごとに更新する必要があります。なお、更新制度は、専門知識と技能を最新に保つために設けられたものです。

資格の有効期間 公認スポーツ栄養士の資格は、登録後4年間有効です。
更新のための要件 資格の更新には、資格有効期限の6か月前までに(例:10月1日登録の場合は翌年の3月31日までに)指定された学術集会や研修に参加し、必要な単位を取得することが必要です。
単位について ・必要な15単位は、実質的に3年半の間に取得することが求められます。
・公認スポーツ指導者の資格も持っている方は必要単位が変化するため、ご注意ください。

(出典:特定非営利活動法人 日本スポーツ栄養学会「更新情報-公認スポーツ栄養士とは」/https://www.jsna.org/about/updata/

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まとめ

食事と栄養の面からスポーツ選手を支えるスポーツ栄養士は、スポーツチームやスポーツジム、教育機関、医療施設など、さまざまな分野からニーズがあります。専門資格である公認スポーツ栄養士を取得すれば信頼性が高まるため、活躍の場がさらに広がるでしょう。

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※当記事は2023年11月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

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