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認定作業療法士とは?資格の取得方法やメリットを紹介

公開日:2022.10.03 更新日:2022.12.08

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文:田口 昇平
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

さまざまな知識・技術が求められる作業療法士。キャリアアップの一環として、認定作業療法士の資格取得を検討することもあるでしょう。とはいえ、認定作業療法士は資格保持者が少なく、資格を取得するメリットについて、いまひとつわかりにくいかもしれません。そこで今回は、認定作業療法士の概要や資格の取得方法を解説するとともに、資格を取得するメリットについてお伝えします。

認定作業療法士とは?

認定作業療法士は、作業療法の「臨床」「教育」「研究」「管理運営」に関して、一定の水準の能力を持つ作業療法士として、日本作業療法士協会が認定する資格です。作業療法士の生涯教育の一環として、2004年に認定作業療法士制度が創設されました。
2022年8月現在、認定作業療法士の資格保持者は全国で1,268名。これは、日本作業療法士協会会員数(2021年11月時点)の約2%にあたります。まだまだ人数の少ない認定作業療法士ですが、日本作業療法士協会は、作業療法士一人ひとりの専門性を高めるために、資格保持者の増加を推進しています。

認定作業療法士の資格を取得する方法

認定作業療法士の資格を取得するには、下記①~④の要件をすべて満たす必要があります。

①作業療法士としての臨床経験年数が通算で5年以上あること
②日本作業療法士協会の会員歴が通算で5年以上あること
③各都道府県作業療法士協会の正会員であること
④日本作業療法士協会が指定する、以下の研修・事例報告を修了していること

1)研修
・日本作業療法士協会の生涯教育プログラムである「基礎研修(基礎研修・現職者研修)」を修了し、かつ修了後の有効期限内(5年以内)にある
・日本作業療法士協会が主催する認定作業療法士共通研修について、研究法・管理運営を受講し、修了試験に合格している
・日本作業療法士協会が主催する認定作業療法士選択研修2講座(身体障がい・精神障がい・発達障がい・老年期障がいのうち2講座)を受講し、修了試験に合格している
・厚生労働省が指定する理学療法士作業療法士臨床実習指導者講習会の受講を修了している

2)事例報告
・日本作業療法士協会の事例報告登録制度に登録され、公開されている事例が3例あること。なお、日本作業療法学会等で筆頭発表している場合は、機関誌である「作業療法」等に掲載されていれば、掲載1回につき事例報告1回にカウントされます。

認定作業療法士は5年ごとに資格の更新が必要

認定作業療法士は、5年ごとの資格更新が必要です。更新には、認定作業療法士更新ポイント(np)が100以上であること、かつ下記4項目の要件を満たす必要があります。

①日本作業療法士協会の基礎ポイントが25ポイント以上あること(1基礎ポイントは、1npに充当できる)
②臨床実践報告で25np以上取得すること(臨床実践報告1回で25npが取得できる)
③後輩育成(臨床実習指導者、研修会・学会の講師など)の経験を積む(指導者・講師等、いずれも1回につき5npが取得できる)
④作業療法の啓発に関する社会的貢献をおこなう(1回につき5npが取得できる)
※③・④は、あわせて25np以上取得すること。

認定作業療法士の資格を取得するメリット

認定作業療法士になるには多くの条件を満たす必要があり、資格取得までに時間がかかります。そうした大変さを超えた資格取得には、どのようなメリットがあるのでしょうか? 続いては、認定作業療法士の資格を取得するメリットを紹介します。

作業療法士として知識・技術に自信が持てる

認定作業療法士の資格を取得すると、作業療法士として自分の知識・技術に自信が持てるようになります。医療機関・介護施設では、その職場独自の理論・方法でリハビリを提供しているケースが少なくありません。そうした限定的な環境で学んでいると、自分が適切な理論・方法に基づいてリハビリをおこなえているか、自信が持てないこともあるものです。認定作業療法士の資格取得を目指して、根拠に基づいたスタンダードなリハビリの知識・技術を学び、認定を受けることで、自信を持って臨床をおこなったり、後進指導にあたったりできるでしょう。

さまざまな人脈が築ける

認定作業療法士の研修は、全国各地で実施されています。研修に参加すると、各地で働く作業療法士と知り合うことができます。研修会でグループワークをしたり、懇談会で情報交換したりして、さまざまなリハビリの考えに触れることができるのも、認定作業療法士研修の特長です。資格を取得することはもちろんですが、その過程においては、作業療法士としての貴重な人脈を築けるのも大きなメリットです。

他の作業療法士と差別化できる

先述の通り、認定作業療法士の人数は日本作業療法士協会の会員数の約2%と、まだまだ少ないのが現状です。そのため、資格を保持していれば、スタンダードなリハビリの知識・技術をしっかり身につけている人材として、他の作業療法士との差別化につながります。例えば、転職時に採用面接を受けたり、勉強会・研修会を主催したりする場合には、認定作業療法士の有資格者として自分をアピールできるでしょう。

認定作業療法士の資格取得は、キャリアアップに向けた選択肢のひとつ

認定作業療法士の資格取得に向けさまざまな研修を受講したり、事例報告をしたりすれば、作業療法に関して幅広いスキルを身につけることができるでしょう。また、他の医療機関・介護施設等で働く作業療法士と情報交換できれば、新たな視点や考え方を学ぶことができます。作業療法士としてキャリアアップを目指すなら、認定作業療法士の資格を取得するのもひとつの方法です。まずは、認定作業療法士の資格取得に必要な研修について、所属する都道府県作業療法士協会のホームページでチェックしてみましょう。

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参考

認定作業療法士制度|日本作業療法士協会
生涯教育制度2020 制度の概要と解説|日本作業療法士協会
認定作業療法士の申請および更新に関する手続き等 解説書-2020年度2月版-|日本作業療法士協会
協会認定資格リスト|日本作業療法士協会
2019 年度 日本作業療法士協会会員統計資料|日本作業療法士協会

田口 昇平

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。

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