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「障害福祉サービス」とは? 作業療法士がわかりやすく解説

公開日:2022.11.07 更新日:2022.12.08

「障害福祉サービス」とは? 作業療法士がわかりやすく解説

文:鎌田康司(作業療法士)

皆さんは、「障害福祉サービス」という社会資源をご存知でしょうか。
特に医療機関に勤めている方は、「聞いたことはあるけど、内容まではあまりよくわからない」という方のほうが多いかもしれません。

実は筆者自身も、本当に理解できたのは、障害福祉サービスの事業所で勤めることになってからでした。

今となっては医療機関に勤めているときから、もう少し地域の福祉サービスについて把握し、障害福祉サービスの事業所と関係が作れていれば、患者さんに「もっと具体的な助言や選択肢の提示ができたのでは…?」と後悔しています。

さまざまな種類のサービスがあり、似たようなものが多くわかりづらい点もあると思いますが、今回は「障害福祉サービスとは?」という疑問について、詳しくわかりやすくご説明していきます。

障害福祉サービスとは

障害福祉サービスは、障害者の人たちが地域で生活できるように支援するサービスのことをいいます。

障害福祉サービスは、「障害者総合支援法に基づくサービス」と、「児童福祉法に基づくサービス」に分類されますが、今回は主に「障害者総合支援法に基づくサービス」について、説明をしていきます。

障害者総合支援法では障害者に対し、一人ひとりの状態や状況に合わせて、必要なサービスを「介護給付」と「訓練等給付」の2つに分けて個別給付を行います。

障害福祉サービスは、生活上必要なサポートのほか、本人の望む生活が送れるよう個別支援計画やサービス等利用計画などの計画書に基づいて、サービスの提供を行っています。

サービスには期限があるものとないものがあり、期限があっても必要性に応じて更新や延長が可能です。

計画書には、目標と支援の具体的な内容が記載され、利用開始後も、3カ月や6カ月などの期間ごとにモニタリングを行い、支援内容の見直しと修正を繰り返し、より適切なサービス利用ができるような仕組みとなっています。

障害福祉サービスは「介護給付」と「訓練等給付」の2つ

先に述べたように、障害者総合支援法の障害福祉サービスには大きく「介護給付」と「訓練等給付」の2つのサービスがあります。
それぞれのサービスには以下のような種類があります。

介護給付

  • ・居宅介護
  • ・重度訪問介護
  • ・短期入所(ショートステイ)
  • ・療養介護
  • ・生活介護
  • ・同行援護
  • ・行動援護
  • ・重度障害者等包括支援
  • ・施設入所支援

訓練等給付

  • ・就労移行支援
  • ・就労定着支援
  • ・就労継続支援(A型:雇用契約あり B型:雇用契約無)
  • ・自立生活援助
  • ・共同生活援助(グループホーム)
  • ・自立訓練(機能訓練、生活訓練)

介護給付は文字通り、主に「介護」の支援を提供するサービスです。一方「訓練等給付」は、主に「訓練」の支援を提供するサービスです。

セラピストは「訓練」のサービスに関わる・携わることのほうが多くなります。

その訓練等給付は、「就労支援サービス」「生活援助サービス」「自立訓練サービス」3つがあります。その詳細を次に紹介します。

就労支援サービス

(1) 就労移行支援

2年間の利用期限のなかで、企業実習や合同面接会への参加などを行いながら一般企業への就労に向け必要な訓練を行います。

(2) 就労定着支援

就職後、1年ごとの更新で最長3年間の間、仕事が継続できるためのサポートを行ってくれるサービスです。定期的な連絡や面談を通して、利用者と企業との仲立ちをし、生じている課題や環境面での問題などの解消をサポートしてくれます。

(3) 就労継続支援

雇用契約を結び、給料をもらいながら働くA型と、内職や清掃などの作業を行い、工賃をもらいながら働くB型に分けられます。
A型は事業所数が少なく、社会資源としてはまだまだ不足しているかもしれませんが、B型は数も多く、事業所によってさまざまな作業の特色があり、パン・お弁当・ラーメン店などの飲食に携わる作業を行っている事業所もあります。B型の場合、利用期限はありません。

生活援助サービス

(1) 自立生活援助

一人暮らしなど地域生活をはじめた方に、定期的に居宅を訪問し、生活上の困りごとの相談や助言、関係機関との連絡調整を行い、安心して居宅生活が継続できるためのサポートを行ってくれます。

(2) 共同生活援助

障害者のグループホームのことを指します。生活上の援助と住まいの提供を行うサービスです。スタッフが食事などの家事のサポートを行ってくれるため、一人暮らしが難しい方でも、必要な支援を受けながら生活を送ることが可能です。

自立訓練サービス

機能訓練では主に身体障害のある方に、PT・OTなどの専門職が中心となり、身体機能や生活能力の維持向上のための訓練を行います。生活訓練では、主に知的や精神障害のある方に、日常生活・社会生活の維持向上のための訓練を行っています。

以上が訓練等給付のサービスの詳細です。
大きく「介護」と「訓練」に分けられますが、いずれもその方の自立支援をサポートするためのサービスになります。

障害福祉サービスを利用申請・料金について

障害福祉サービスを利用するためにはいくつか理解しておかなくてはならないことがあります。
本章では重要なポイントをいくつかまとめているので、ぜひご覧ください。

利用申請

障害福祉サービスを利用したい場合、お住まいの市区町村の窓口(障害福祉課、保健センターなど)への申請が必要で、障害者手帳は持っていなくても利用が可能です。

まずはお住まいの市区町村の窓口(障害福祉課、保健センターなど)に問い合わせ、今の障害の状況や、生活状況などを相談し、どんなサービスが利用できるのかなどの説明を受けることをおすすめします。

また、市区町村のHPでは、市区町村内のサービス事業所を一覧で公表していることが多いため、HPから確認してもらうことも可能です。
次に、それぞれのサービスの説明を、直接各事業所のスタッフから受け、実際に見学に行ってみましょう。

最近は、SNSで活動状況などを発信している事業所も増えています。同じ種類のサービスでも、事業所によって特色が異なり、雰囲気もさまざまです。可能であれば、いくつかの事業所を見学したうえで選択するようにしましょう。

利用したいサービスと事業所が決まったら、お住まいの市区町村へ利用申請を行います。現在は、相談支援専門員が申請などをサポートしてくれることが多いですが、ご自身やご家族が作成したセルフプランでの申請も可能です。

どのようなサービスをどんな目的で、どれくらいの頻度で、どのように利用するのか記載した計画書をもとに申請を行い、行政職員による区分の調査と審査を経て、障害程度区分が決まり、サービスの支給決定がなされます。

障害程度区分は6段階あり、介護給付のサービスは、区分によって利用の可・不可やサービスの支給量が変わってきます。

利用料金

障害福祉サービスの利用料金(自己負担金)は、前年度の所得に応じて0~37,200円まで、4つの区分によって負担の上限額が設定されています。

生活保護、住民税の非課税に該当する方の場合、自己負担金は発生しません。収入を判断する世帯範囲は、18歳以上の方であれば障害のある方とその配偶者となっています。

それぞれの区分の詳細は、以下の厚生労働省のリンクをご参照ください。

>>障害者の利用者負担(厚生労働省)

そのほかのサービスとの併用

すでに介護保険サービスを利用されている場合は、基本的に介護保険でのサービスが優先されますが、介護保険サービスに相当するものがない場合には、障害福祉サービスの利用が可能です。

また、介護給付のサービスと訓練等給付のサービスどちらも利用していたり、医療支援の必要性から、医療保険の訪問看護も利用される方もいます。

サービスによっては、同日の利用が不可能なサービスもありますが、生活面をサポートしてくれるサービス、日中の活動先としてのサービスなど、さまざまなサービスを必要に応じて組み合わせて利用することが望ましいでしょう。

自分から情報をキャッチする姿勢を忘れずに

セラピストとして、利用者の方・患者さんなど、対象となる方の利用できる社会資源を把握しておくことは、地域での生活を再開・継続するうえでとても大切なことです。

まずは、自分の勤務している、住んでいる市区町村の障害福祉サービスについて、インターネットで少し調べてみることでも十分だと思います。「自分から一歩踏み出してみる」「手を伸ばして情報をキャッチする」、そうした行為の積み重ねが、結果的に対象者の方のサポートにつながると思っています。
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鎌田 康司

鎌田 康司

得意分野は精神科、高齢者、訪問看護、障害福祉サービス、施設マネジメント、地域ケア。
介護老人保健施設で勤務後、精神科単科の病院で院内作業療法を経験。患者さんの実生活を知るため、地域の訪問看護ステーションに転職。今は生活訓練という障害福祉サービスの管理者として、精神障害や発達障害、知的障害の方たちの地域生活のサポートをしている。3人の子どもがおり、子育てと家事にも奮闘中。

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