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頼られる管理栄養士を目指して!多職種連携をスムーズにするポイント

公開日:2023.07.12

頼られる管理栄養士を目指して! 多職種連携をスムーズにするポイント

文:広田千尋(管理栄養士)

病院や高齢者施設では多職種と一緒に仕事をする場面が多々あります。特に入職してすぐの頃は、知らない人や年上ばかりで、どのように多職種と関わったらよいのか、戸惑ってしまうこともあるでしょう。

筆者である私は、管理栄養士が1名だけの職場で働いたことがあり、多職種とよく仕事をしていました。頼られる管理栄養士になるために、私の経験をもとに、多職種との仕事をスムーズに進めるポイントや、よくあるお悩みの解決策をお伝えします。

多職種連携とは

多職種連携とは、適切な医療や介護サービスを提供するために、さまざまな職種が専門性を活かして連携することを指します。

それぞれの現場では、関わる職種が異なります。
例えば、医療機関と高齢者福祉施設では次のように異なります。

医療機関
医師、看護師、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、管理栄養士など
高齢者福祉施設
医師、歯科医師、看護師、介護福祉士、理学療法士、作業療法士、ケアマネジャー、生活相談員、管理栄養士など

多職種との連携が大切な理由

では、なぜ多職種連携が必要なのでしょうか。
それは、たくさんの専門職が関わってさまざまな角度から患者(利用者)さんを見ることで、より適切なサービスを提供できるようになり、結果として状態の改善につながりやすくなり、リハビリの進行や在宅復帰などがスムーズに行えるようになるからです。

管理栄養士は栄養サポートを行いますが、その場合も多職種連携による細かな情報共有や意見交換が欠かせません。

栄養状態が不良の方に、管理栄養士がアセスメント(評価)をして栄養サポートを行う場合、カルテだけでは必要な情報が足りないことがあります。

結果として栄養サポートが不十分になると、治療やリハビリがうまく進まない原因となり、在宅復帰を遅らせてしまうこともあります。
そこで、多職種から治療や服薬の状況、入院中の生活やリハビリの様子、口腔内の状況などの情報を細かく得ることで、よりきめ細やかな栄養アセスメントを行うことができるようになります。

また、栄養サポートがうまくいかない場合は、多職種に相談してみると解決の糸口を見つけられることがあります。管理栄養士はどうしても「栄養」「食事」の視点に偏ってしまいがちになるため、多職種の意見を聞くことで多方面の視点から見ることができるようになります。

多職種連携をスムーズにするポイント3つ

頼られる管理栄養士を目指して! 多職種連携をスムーズにするポイント

最初は、多職種連携がうまくいかずに悩むこともあるかもしれません。時間が経つと慣れてくる部分もありますが、次から紹介するポイントをぜひ試していただければ、比較的スムーズに連携できると思います。

1. 相手の仕事を知る

医師や看護師の仕事はイメージしやすいかもしれませんが、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、生活相談員、ケアマネジャーなどがどのようなことをしているかは意外と知られていないものです。

コミュニケーションのポイントの1つに、「相手のことを知ること」があります。
相手のことを知らないと、話をどこから始めていいのかわからず、相手の思いや考えも理解できないことがあるかと思います。
しかし、相手のことをよく知ると会話のきっかけもできやすく、会話もスムーズに進められ、相手を尊重することにもつながります。また、相手にどんなことを相談できるのかも知ることができるため、仕事の幅も広がります。

Webで検索したり、図書館で書籍を読むなどして相手の仕事内容を知ることで、スムーズにコミュニケーションがとりやすくなるはずです。

また、休憩中に話しかけられるなら、実際にどんな仕事をしているのか、どんなことが大変なのかなどを聞いてみてもよいでしょう。お互いの大変な点を知ることで思いやりも生まれやすくなり、より円滑なコミュニケーションが図れるようになります。
また、管理栄養士の仕事も意外に知られていないため、ぜひお互いに話をしてみてください。

2. 意見の伝え方を工夫する

多職種連携は多様な意見を共有することが大切なため、「意見を伝えること」がとても重要になります。
しかし、話し合いの場で管理栄養士としての意見を求められても、なかなか自分の意見を伝えられない方もいるのではないでしょうか。
そのときは次の方法を試してみてください。

・自分の意見をあらかじめまとめておく
・予想外の質問やわからないことは、時間をもらい後で回答する

カンファレンスなどのあらかじめ決められた場であれば、どのようなことを話すべきかをメモしておくとよいでしょう。

また急に質問が飛んできてわからないときは、「少し調べてお返事させていただきたいので、後で返答します」と言うようにし、少し時間をもらうのも方法です。
わからないことは恥ずかしいことではなく、わからなかったときにどう対応したらよいのかを知っておけば大丈夫です。もし相談できる管理栄養士の先輩や同僚がいるなら、相談してから返答するのもよいでしょう。

3. コミュニケーションをとる

多職種連携のためだけでなく、職場の人間関係を築くうえでも、コミュニケーションは大切です。

人と話すのが苦手な方でも、「笑顔であいさつをする」「目を見て感謝を伝える」などの、基本的なやりとりができていれば十分です。慣れてきたら少しずつ会話をするようにしましょう。

コミュニケーションがスムーズになると、多職種連携もうまくいきやすくなり、難しい提案も前向きに検討してもらえるようになるなど、理想的な栄養サポートの仕事を進めやすくなります。

相手と自分の状況にもよりますが、私は電話で済む用事も、直接話しに行くようにしていました。直接顔を見て話すほうがコミュニケーションをとりやすいと思っていたからです。職場の状況次第ではありますが、顔を覚えてもらえるためも、また、より相手を理解するためにも、機会があればぜひ顔を見て話すようにしてみてください。

多職種連携における悩みと解決のヒント

紹介したポイントが少しずつできるようになると、多職種連携をスムーズに進めやすくなるはずです。しかし、職場の人には言えない「ちょっとした悩み」はつきものです。

私の経験も踏まえ、よくある悩みと解決のヒントを紹介します。

専門用語がわからない!

多職種連携の現場では、それぞれが当たり前のように専門用語を使います。慣れないうちは聞き取ることすら難しく、意味のわからないまま話が進むこともあるかもしれません。

専門用語は、やはり自分で地道に覚えていくのが一番の解決法です。次の対策をとってみましょう。

・聞き取れなかった言葉は後で質問する
・言葉の意味を調べてメモにまとめる

私はわからない言葉の意味を調べてメモに書き、机の下敷きの間に挟んで覚えるようにしていました。覚えて使いこなせるようになったらメモを外していく、というふうにして、どんどん専門用語を覚えられるように工夫をしていました。

数か月、1年もすると、しっかりと話についていけるようになります。

ほかの職種が怖い!

管理栄養士はどちらかというと内向的な性格の人が多いと思います。そのため、ほかの職種の人たちがテキパキと活発に見え、ちょっと「怖い」と思ってしまう人もいるでしょう。特に年上の方ばかりだと、なかなか自分から話しかけられず、意見が伝えられない場合もあります。

しかし、怖そうに見える方も、「実は仕事に集中しているだけ」「もともとサバサバした性格」だけかもしれません。怖いからといって避けるのではなく「笑顔であいさつ」を欠かさないようにすることで、やがて人間関係が構築できるようになるはずです。

また意見を伝える場では、「管理栄養士だから」と自分の意見を一方的に述べるのではなく、謙虚に発言するように心がけてみると、多職種との距離も縮まっていきやすいと思います。

多職種連携でよりよい仕事をしよう!

多職種連携ができるようになると、視野が広がりよりよい栄養サポートができるようになります。うまくいかないこともあるかも多く、急にできるようになるわけではありません。

「3歩進んで2歩下がる」くらいのイメージで、少しずつ多職種連携できるようになっていきましょう。そしてぜひ、「頼られる管理栄養士」を目指してください。

広田 千尋

広田 千尋

管理栄養士 病院や保健センター、保育園などに13年間勤務した後に独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に活動中。インターネット上にたくさんの情報があふれるなか、専門家として正しい情報をわかりやすく伝えている。

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