管理栄養士のキャリアアップとは? メリット・やるべきことを解説
公開日:2023.10.23 更新日:2025.06.24

文:広田千尋(管理栄養士)
管理栄養士として働いて数年経つと、キャリアアップに興味を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。管理栄養士のキャリアアップにはどのような方法があるのか知り、自身のなりたい姿を目指してみましょう。
管理栄養士である筆者は、13年の勤務経験があり、転職によりキャリアアップをした経験があります。キャリアアップするメリットや、やるべきことなど、経験を交えながら紹介します。
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目次
管理栄養士のキャリアアップとスキルアップの違い
キャリアアップと似た言葉に「スキルアップ」がありますが、違いをご存知でしょうか? キャリアアップをスムーズに行うためにも、まずは2つの違いを知っておきましょう。
キャリアアップとは
キャリアアップは、昇進や転職などで地位や経歴(キャリア)を高めることを指します。管理栄養士のキャリアアップは、現在の職場でキャリアアップを図る方法と、転職による方法があり、具体的には下記の例があります。
・昇進する、責任者になる
・専門的な仕事に携われるようになる
・転職により経歴を高める
例えば筆者は、保育園で栄養士として働いていましたが、管理栄養士の資格を取得して保健センター、病院へ転職しました。資格を活かして転職する場合もキャリアアップといえるでしょう。
キャリアアップに興味がある方は、どの方法でキャリアを高めていきたいのか、一度よく考えてみてください。
スキルアップとは
スキルアップは、仕事の能力や専門性(スキル)を高めることです。管理栄養士のスキルアップの例は下記があります。
・研修会や勉強会に参加して知識を磨く
・関連資格を取得して専門性を高める
スキルアップを積み重ねると、昇進や転職に有利になるため、キャリアアップにつながります。キャリアアップの方向性を考えて、どのスキルが必要なのかを考えて行動するとスムーズです。
管理栄養士がキャリアアップするメリット

管理栄養士はキャリアアップをすることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。2つ紹介します。
携われる仕事が増える
キャリアアップをして地位が向上したり、専門的な仕事ができるようになったりすると、今まで関われなかった仕事にも携われるようになります。
例えば責任者やリーダーなどになると、栄養管理や栄養指導ができたり、大量調理などに関する理想の環境を整えやすくなり、自分がやりたい仕事が実現しやすくなります。結果、やりがいを持って仕事に取り組めるようになるでしょう。
また専門的な仕事に携われるようになると、より対象者の健康づくりに関わることができます。対象者に喜ばれることはもちろん、仕事の充実度も高まるはずです。
管理栄養士としての仕事のほかに、人材の育成やマネジメントに携わるようになる場合もあります。職場に不可欠な存在となるだけでなく、転職を検討する際も選択肢が広がるでしょう。
条件面が改善される
キャリアアップにより地位や経歴が高まると、給与や勤務時間などの条件面の改善につながります。
例えば、昇進して働き方を提案できる立場になれば、残業の調整やまとまった休日をとるなどの調整もしやすくなります。また、自分にとって働きやすい環境の職場へ転職すると、理想の働き方ができるようになるでしょう。
さらに、昇給したり責任者手当がついたりして年収がアップすると、やりがいにつながるだけでなく、経済的な余裕も生まれプライベートも充実しやすくなります。ほかにも、さまざまな経歴を持っていると、転職時に給与や条件面の交渉もしやすくなり、よりよい条件での採用につながりやすくなるでしょう。
キャリアアップに向けて計画的に行動しよう

キャリアアップは現在の職場で行うのか、または転職するのかなど、人によって目標が異なります。目標に向けて計画を立てて行動をすることで、自身のなりたい姿に効率的に近づけます。具体的に、キャリアアップを考えたときに行いたい3つの行動を見てみましょう。
1. 将来の理想の姿を考える
キャリアアップを目指すうえで欠かせないのが「将来どうなりたいか」を考えることです。
目標が明確でないと、方向性に迷ってしまったり、モチベーションが下がってしまったりしてしまい、諦めてしまうことにもつながりかねません。まずは、現在の職場のままキャリアアップをするのか、または転職してキャリアアップするのか、どちらの方向性なのかを考え、理想の姿をイメージしてみましょう。
例えば筆者は、「将来どんな職場でも活躍できるようになりたい」という気持ちから、栄養士から管理栄養士へのキャリアアップを目指しました。中でも興味の強かった栄養指導や臨床栄養の分野へ進みたいと考えていました。その後保健センターや病院へ転職し、今ではフリーランスとしてさまざまな分野の仕事に携わることができるようになったため、当時考えていた理想の姿に近づけたのではと考えています。
2. 理想の姿になるための必要な行動を把握する
理想の姿を考えたら、到達するために必要な行動を把握しましょう。思いついたことをすべて行動に移すのではなく、必要なことに絞ったほうが効率よく行動でき、キャリアアップのスピードを速められます。
例えば、現在の職場でより専門的な仕事をしたい場合は、必要な資格を取得したり、別の業務のスキルを身につけたりすることでキャリアアップにつながるでしょう。
また転職したい場合は、理想の転職先に合わせた資格やスキルや、転職のノウハウを身につけることが大切であると考えられます。
自身のなりたい姿に向けて「今何をすべきか」を考えてみましょう。
筆者は、転職によりキャリアアップを目指していたため、必要なのは勉強だと考えました。管理栄養士の国家試験の勉強はしていましたが、実際に仕事をするとなると知識が不足していたため、転職するときに不利になると考えたからです。客観的に自己分析を行うことで、キャリアアップのための必要な行動を把握できるのでは、と思います。
3.目標を立てて行動する
やるべきことが決まったら、行動をする前に目標を立ててみましょう。目標を決めておくことで、ゴールが明確になり、目標に向かって進みやすくなります。
うまくいくコツは、目標を大きくし過ぎず、小さいものを目標にすることです。小さい目標をコツコツ達成していくと達成感を味わいやすくなり、次の目標に向けて進みやすくなります。
例えば、仕事を終えた後に「毎日2時間勉強する」という目標よりは、「通勤電車の中でスマートフォンを見るのではなく資格の本を開くようにする」などの小さな目標のほうが、取り組みやすく達成しやすくなります。
また、もしうまくいかなかったときも、目標の修正が最小限で済むため、つまずかずに目標に向かって歩みを進められるはずです。
ここで筆者の失敗談を紹介します。筆者は転職先に必要な分野の書籍を購入して「毎日勉強する!」と意気込んでいました。しかし、管理栄養士国家試験の勉強で燃え尽きてしまっていたことや、転職の計画を1年後にしていたこともあり、なかなか勉強は進みませんでした。
しかし、これではいけないと考え、「せめて土日のどちらかは勉強をしよう」と考え直し、なんとか勉強を進められました。高過ぎる目標はなかなか続かないものなので、皆さんもぜひ続けやすい目標を考えてみてください。
管理栄養士がキャリアアップするために行いたいこと

管理栄養士がキャリアアップをするために身につけたい知識やスキルを紹介します。いくつか紹介しますが、自身のなりたい姿に必要なものを選んで実践してみましょう。
資格を取得する
キャリアアップに有利になる資格がないかを調べてみて、資格の取得を検討してみましょう。資格は専門知識を磨いた証となるため、できる仕事の幅が広がったり、転職の際のアピールになったりもするため便利です。
管理栄養士に関連する資格の代表的なものに、日本栄養士会が導入している「認定制度」があります。認定制度は3種類あり、それぞれ取得できる認定制度が異なります。
| 認定管理栄養士 | 臨床栄養 学校栄養 健康・スポーツ栄養 給食管理 公衆栄養 地域栄養 福祉栄養(高齢・障がい) 福祉栄養(児童) |
|---|---|
| 特定分野別 | 特定保健指導担当管理栄養士 静脈経腸栄養(TNT-D)管理栄養士 在宅訪問管理栄養士 公認スポーツ栄養士 食物アレルギー分野管理栄養士・栄養士 小児栄養分野管理栄養士・栄養士 |
| 専門分野別 | がん病態栄養専門管理栄養士 腎臓病病態栄養専門管理栄養士 糖尿病病態栄養専門管理栄養士 摂食嚥下リハビリテーション栄養専門管理栄養士 在宅栄養専門管理栄養士 |
それぞれの認定制度に、経験年数や研修の単位、事例の提出が必要など、細かい要件があります。気になるものは、下の日本栄養士会のホームページから、ぜひ一度チェックしてみましょう。
自己研鑽を行う
管理栄養士は、常に新しい知識を求められる職業です。研修会やセミナーへの参加、また専門書籍を活用して自己学習するなど、キャリアアップに必要な知識を深めましょう。
受け身の状態では、新しい情報は入って来づらいものです。研修会やセミナーの情報をチェックしたり、ガイドラインや法律の改正がないかチェックしたりするなど、常にアンテナを貼っておくようにしましょう。
特に研修会やセミナーは、独学だけでは得られない実践的な情報を得られやすいため、積極的に参加してみてください。
ビジネスマナーを身につける
管理栄養士はビジネスマナーを学ぶ機会が少ないのですが、昇進したり、転職したりするにはビジネスマナーを身につけることが欠かせません。ビジネスマナーは社会人の基本となるため、マナーを身につけられていないと、評価されにくくなってしまいます。円滑なコミュニケーションや、信頼関係を築くためにも必要なので、しっかり身につけておきましょう。
ビジネスマナーには、あいさつの仕方、言葉遣い、メールや電話の対応、身だしなみを整えることなどがあります。自信のない方は、書籍やWEBサイトを活用して学びましょう。
転職に向けた準備をする
転職によりキャリアアップを図る場合は、理想の仕事に就くために、準備をしっかりと行いましょう。まずはいつ転職するのか目標の期間を決めて、準備を進めていきます。
例えば、自己分析を行い面接でアピールできるポイントを探したり、面接の練習をしたりすると、転職活動がスムーズになります。また転職先に必要な知識やスキルを身につけられるよう、勉強しておきましょう。
管理栄養士のキャリアアップを目指そう!
筆者のキャリアアップは決して順調に進んだわけではなく、さまざまな失敗や困難がありながらも、やっと理想の姿に近づけてきている、という形です。しかし、失敗して悩みながら勉強や転職を行った経験も自分の糧となったので、よかったと思っています。
順調にいくことばかりではありませんが、失敗もよい経験になるはずです。自分自身のなりたい姿になれるよう、ぜひキャリアアップに向けて取り組みを始めてみてください。

広田 千尋
管理栄養士 病院や保健センター、保育園などに13年間勤務した後に独立。現在はフリーランスとしてコラム執筆やレシピ作成を中心に活動中。インターネット上にたくさんの情報があふれるなか、専門家として正しい情報をわかりやすく伝えている。
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