タンデム歩行とは?目的や評価のポイントについて解説
公開日:2024.05.01

文:伊東浩樹(理学療法士)
歩行の評価方法はさまざまありますが、その1つとして知られているのが「タンデム歩行」です。リハビリとして治療にも取り入れられるものですが、なかには聞いたことはあっても、実際に活用したことがないというセラピストもいるのではないでしょうか。
今回は、セラピストが知っておきたい「タンデム歩行」の評価方法や目的などについて解説します。
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タンデム歩行とは?
タンデム歩行は、片足のつま先と踵がつながるように交互に足を出して歩行する動作を指します。「縦足歩行」、「継ぎ足歩行」などとも呼ばれ、基本的には1本の線上を交互に足を出して歩く動作であり、綱渡りのようなイメージを持つとわかりやすいかもしれません。
バランスを崩しやすい立位、歩行方法であり、主にバランスの評価指標やバランスを保持・向上するためのリハビリ方法として用いられます。
タンデム歩行の「タンデム」とは?
そもそもタンデム(tandem)とは、馬を縦(前後)に並べてつないだ、直列2頭立の馬車に由来し、派生として自転車やバイクなどの前後二人乗りを意味する言葉としても使用されます。
そうした縦に並べるイメージから、リハビリでは、片方のつま先ともう片方の踵をつけた状態を「タンデム肢位」と呼びます。そうした立位の姿勢を意識した歩行が「タンデム歩行」です。
タンデム歩行の効果
タンデム歩行は、多くの場合、バランス能力の向上などを目指す際に用います。
その一方でタンデム歩行は、その独特な歩き方から内転筋や腹斜筋も活用するため、普段あまり動かさない筋肉や姿勢を保つための筋力を維持、強化するためのトレーニングとしても役立ちます。
タンデム歩行の評価方法
タンデム歩行は、歩行時のバランスが不良と感じた際の評価方法として活用されます。また、転倒リスクを軽減させるためバランス能力を向上させたい場合にリハビリに取り入れることが多いでしょう。
研究者のWrisleyらによると、タンデム歩行の評価方法は以下のように示されています。
上肢を胸の前に組んだ状態でタンデム歩行(3.6m歩行)において、以下のように評価する。
| 状態 | 評価 |
|---|---|
| ふらつかず10歩が可能 | 正常 |
| 7〜9歩 | 軽度障害 |
| 4〜6歩 | 中等度障害 |
| 3歩以下 | 重度障害 |
タンデム歩行を活用したその他の評価方法

タンデム歩行の評価方法では、上記のように、腕を組んでどれくらいの歩数が可能かを確認しますが、先行研究において、以下の評価方法も活用可能という報告が上がっています。
ミス・ステップによる評価
正確にタンデム歩行ができる最大歩数を評価する「ミス・ステップ」という評価方法があります。この方法は、どれくらいの歩数で転倒リスクがあるのかを把握しながら、転倒後に起きうる大腿骨転子部骨折のリスクファクターの評価材料を得るものです。
一定距離、一定時間での評価
一定の距離を決めたうえでタンデム歩行をしてもらい、その距離でどれくらいのミスが起きてしまうかで評価する方法もあります。
一定距離で行うタンデム歩行の評価と、過去の転倒歴との相関が報告されており、転倒リスクの指標として活用されます。また、一定の時間でタンデム歩行できる距離を評価する場合には、歩行時の失調などの評価をする際に多く用いられます。
バークバランススケール(BBS)の評価項目の1つとして
セラピストがよく活用するバランスの評価として、バークバランススケール(Berg Balance Scale)があります。転倒のリスクが高い患者さん向けに実施され、座位や立位姿勢など日常生活動作と関連がある14の項目から評価されます。その項目の1つにタンデム歩行が用いられます。
タンデム歩行ができない原因

タンデム歩行を行う際の姿勢を「タンデム肢位」といいますが、そもそも、この姿勢を保つためには、ふらつきや顕著な筋力低下の有無が問われます。
ふらつきを生じる場合の原因として、小脳性、感覚性、前庭性の3つの運動失調が存在します。これら失調があると、歩行が阻害されるため転倒のリスクも上がります。タンデム歩行では、こうした原因を把握し、適切な評価を実施したうえで、注意をしながらトレーニングとして取り入れていく必要があります。
タンデム歩行は、十分なバランス能力が必要であり、転倒リスクが少ない一般の人でも難しいケースがあり、患者さんへの活用が難しい面もあります。
もし、バランス能力が低下している人や、失調がある患者さんを対象として、リハビリにタンデム歩行を取り入れる場合には、平行棒の活用をおすすめします。平行棒の内側、歩行する場所の中心にテープで線を作り、その上を歩くようなトレーニングを実施してみましょう。最初は平行棒を把持して行うように指示すると、バランスを保ちやすく、患者さんも転倒の不安を軽減できるでしょう。
慣れてきたら徐々に平行棒をつかまずに歩く距離を伸ばすなど、様子を見ながら進めていくことが重要です。
リハビリにタンデム歩行を活用していきましょう
バランスの評価方法として有名なバークバランススケール(BBS)の項目の1つとして、タンデム歩行を活用しているセラピストが多いかもしれません。
しかし、タンデム歩行は、バランス評価だけでなく、内転筋などの下肢の筋肉や腹斜筋や骨盤底筋などの体幹トレーニングにも役立ちます。ただし、バランス能力に不安がある場合には、平行棒を活用するなど、状況にあった対応が求められます。患者さんの転倒に十分に注意しながら、必要に応じてタンデム歩行を活用してみましょう。
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参考
Bland-Altman分析を用いた継ぎ足歩行テストの検者内・検者間信頼性の検討|理学療法科学 23(5)
継ぎ足歩行の力学的分析|東海北陸理学療法学術大会誌
継ぎ足歩行テストの構成概念妥当性

伊東 浩樹(理学療法士)
理学療法士として総合病院で経験を積んだ後、予防医療の知識等を広めていくためにNPO法人を設立。その後、社会福祉法人にて障がい部門の責任者や特別養護ホームの施設長として勤務。医療機関の設立や行政から依頼を受けての講演、大学、専門学校等での講師なども勤める。
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