ぬいぐるみでコミュニケーション力アップ! 作業療法にぬいぐるみを使う効果とは
公開日:2015.08.13 更新日:2015.08.20
作業療法の領域は、身体障害だけでなく、精神疾患や発達障害など多岐にわたります。担当する患者さんに作業内容を理解してもらうのも、作業療法士にとって大切な仕事です。しかし、言葉の遅れが見られる子どもの場合、どんなにわかりやすい言葉で伝えようとしても、なかなか理解してもらえないことも。そこで、目的動作をわかりやすく伝え、コミュニケーションツールとしても役立つ「ぬいぐるみ」の活用についてお伝えします。
言葉の理解が乏しい子どもに使いたいコミュニケーションツール
言葉によるコミュニケーションが難しい子どもに対して、作業目的を理解し、動作を進めてもらうのは大変なこと。やってみせるのはもちろんですが、本人の目的意識を高めるためには、なんらかのツールが必要になります。しかし、こうした子どもたちは、言葉に対する理解力だけでなく、感覚や運動面にも困難を抱える場合が多いため、ツール選びにも配慮しなければなりません。
障害のレベルや年齢を問わず、無理なく取り入れやすいツールとしておすすめなのが、ぬいぐるみです。身近にある人形やぬいぐるみなら扱いやすく、認知してもらいやすいといえます。ぬいぐるみを通して話しかけることで子どもに安心感を与え、コミュニケーションをとりやすくなるでしょう。
さらに、ぬいぐるみを使って言語表現を広げたり、動作の全体像をわかりやすく伝えたりと、活用法は多岐にわたり、さまざまな効果が期待できます。
ぬいぐるみを使って、言語理解を深めよう
言葉だけでは理解できないことに対し、ボディランゲージは言語理解を深める手助けになります。作業療法士が行う動作よりも、小さくてかわいいぬいぐるみが動くほうが、子どもたちも受け入れやすいもの。特に、幼児期の早期においては、言葉で言い表せない意思を動作で伝えようとする傾向があります。作業療法士の一方的なコミュニケーションの手段ではなく、子どもの感情を表現するツールとしても、ぬいぐるみは役立ちそうです。
例えば、子どもがぬいぐるみを使って休みたいという意思を表現した場合、「少しお休みする?」と適切な言葉で返すと、動作と言語が一致するようになります。子どもたちはぬいぐるみを仲介とすることで、率直な感情を表現しやすくなるようです。動作を表す言葉を増しながら、作業を進めていきましょう。
ぬいぐるみ遊びから、日常生活動作訓練をサポート
子どもを対象とするリハビリアクティビティーのひとつにある、ままごと遊び。遊びの延長でありながら、日常動作の訓練になるため、取り入れやすい療法でもあります。そこにぬいぐるみを参加させることで、動作を広げるきっかけづくりを行ってみましょう。
ぬいぐるみと一緒にままごと遊びをすると、ぬいぐるみへの愛着が高まるだけでなく、全体の動作に対する客観的な理解にもつながります。
また、他者の介入を嫌がる子どもにとって、ぬいぐるみは友人のような存在です。他者との距離感を図る訓練としても効果的といえるでしょう。ぬいぐるみを見本として動作を進めてライバル意識を生み出し、新たな刺激を与えることも可能です。
そのほか、ぬいぐるみを介すことにより生活動作が単純化し、子どもの理解が深まる効果も。指先を使うような細かい動作は示しにくいという一面もありますが、手触りをはじめとして感覚的な刺激になっていることは間違いありません。
ぬいぐるみが作業療法にもたらす効果
ぬいぐるみのやさしい表情や手触りは、癒しの効果が期待できます。作業療法を進めるひとつのツールとして取り入れることで、心身の両面にアプローチできる点でも、ぬいぐるみは効果的といえるでしょう。
子どもに限らず、脳機能の低下が見られる患者さんや認知症の方などにも、ぬいぐるみは有効です。患者さんの状況に応じて身近なものから活用し、柔軟に取り入れてみてはいかがでしょうか?
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