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理学療法士の仕事:地域のデイサービス等での働き方とは

公開日:2019.11.25 更新日:2023.03.14

文:伊東浩樹 理学療法士・NPO法人 地域医療連携繫団体.Needs 代表理事

病院や施設で働く医療従事者にはさまざまな職種があり、そのひとつが理学療法士です。

理学療法士の職場には一般病院や整形外科病院、そして福祉施設があります。近年、厚生労働省より市町村ごとの地域包括ケアシステムの構築が進められており、そこには診療所やデイサービスなど小さな医療福祉事業所も含まれます。理学療法士の人数も年々増加するなかで、これからますます地域での活躍が望まれているのが現状です。

今後、理学療法士が地域で活動する場所として、デイサービスやグループホームでの働き方やその将来性を考えます。

地域理学療法士の現状

日本理学療法士協会によると2019年3月末までの時点で理学療法士協会の会員は119525名。大学病院や一般病床病院を含む医療施設で働いている会員は79632名で、介護老人保健施設や特別養護老人ホームを含む老人福祉施設で働く会員は10226名となっています。

診療所で勤務する理学療法士は9225名。デイサービスで働く理学療法士は1222名(デイケア含む)です。全体の会員数から見ると地域に根ざしたリハビリテーション機関であるはずの診療所やデイサービスで働く理学療法士の数が少ないことがわかります。

デイサービスでの働き方

理学療法士が増えていくなか、その活動範囲は広がりつつあります。主流であった病院での勤務だけでなく、介護現場でのニーズも高まっているのが現状です。これからは医療だけではなく福祉にも目を向けていくことが、理学療法士としての将来を広げることにもなるでしょう。

福祉施設といっても、その種類は多く、働く環境はさまざまです。なかでも、特別養護老人ホームなどと比べて小規模なデイサービスは、地域に密着した理学療法を実施できる可能性を秘めています。より地域に密着した活動を考えるのであれば、勤務先の候補としてデイサービスを検討するのもよいでしょう。

とはいえ、具体的にどんな働き方になるのかイメージしづらいという方も多いかもしれません。まずはデイサービスの活動内容や、施設内における理学療法士の役割を確認しましょう。

デイサービスとは

高齢化が進む現代において、できる限り健康寿命を延ばしながら、仕事や趣味などを楽しみ続けたいという人が増えています。その一方で孤立し、社会とのかかわりが薄くなっている人もいるのが現状です。そのほか、家族がいたとしても老老介護となってしまい、介護者として時間的な余裕が取れず、心身の負担を招いている方も少なくありません。

そうした高齢者の孤立を防ぐとともに、介護者家族の負担を軽減したり、利用される方自身の生きがい作りや健康維持を行ったりするために利用されるのがデイサービス(通所介護)です。

デイサービスでは、利用者さんが職員による送迎を受け、日中を事業所で過ごします。在所中は食事をしたり、入浴をしたり、プログラム化されたレクリエーションで歌や折り紙などの趣味活動を楽しめる時間もあります。その他の時間は自由に過ごせるため、利用者さん同士の話が弾んだり、職員と交流をしたりできるのが特徴です。このようにデイサービスは主に孤立からの解放や心身機能の維持向上、家族の方の介護負担軽減目的で利用されています。

同じ通所系サービスとしてデイケアサービスもありますが、こちらは病院等の医療施設にて主治医の指示に基づくリハビリを中心とした事業所です。

デイサービス内での理学療法士の役割

デイサービスに勤務する理学療法士は、病院勤務時のように整形外科疾患や脳疾患によって発症した身体機能低下の回復を促し、機能向上を目指すだけではなく、自宅での生活を意識したリハビリを行います。また、医師や看護師が不在、もしくは少ないなかでのリハビリとなるため、幅広い医学知識が必要です。基本的には職員の配置人数も決まっていることから、他の介護職員数が少なければトイレ介助を行うこともあります。

そのほか、お茶出しなどをお手伝いすることもあるでしょう。しかし、そういった生活動作や声かけのなかから、利用者さんが地域で過ごすために必要なことを把握し、施術に行かすことも、デイサービスで働く理学療法士には必要です。

デイサービスでの理学療法士の働き方

デイサービスでは基本的に夜勤などがありません。一般的には、朝8:30〜17:30までといった勤務時間になるようです。利用者さんたちは送迎車に乗って事業所に来ますが、場合によっては理学療法士も送迎に付き添うことがあります。

その理由は車の乗り降り動作に問題がないか、家屋状況がどうなのか、そして利用者さんの家族とのコミュニュケーションを取るためといった要素があるからです。日中は、必要に応じて1人20分を目安としたリハビリを実施します。ただし、短時間ということもあり、場合によっては問題点として抽出したことのなかからひとつだけを選んで実施するケースも。

理学療法士が介入することで、デイサービスでの「機能訓練加算Ⅰ」か「機能訓練加算Ⅱ」の算定が可能です。Ⅰであれば常勤専従で個別リハビリの必要がありますが、IIであれば非常勤で専従でも加算可能であり、5名程度以下の小集団に対して集団機能訓練が可能です。場合によってはグループでの体操などをリードすることもあるでしょう。(※2019年時点)デイサービスから帰る時間は事業所によってさまざまですが、16時以降になるのが一般的です。送迎が終わった後は業務終了まで経過記録や個別計画書などの作成をして帰宅します。

放課後等デイサービスでの働き方

高齢者向けのデイサービスと同様に、ここ数年で理学療法士の採用が増えてきた職域に、「放課後等デイサービス」があります。分類としては児童福祉ですが、具体的に何をするのか情報量が少ないのが現実です。改めてその内容と役割を確認しましょう。

放課後等デイサービスとは

通常、デイサービスといえば高齢者が対象ですが、放課後等デイサービスでは、学校教育法に規定する学校に就学している障害のある児童が対象です。

学校の授業終了後や休校日(土曜日や夏季休暇などの長期休暇)に、児童が抱える苦手分野に応じて、社会交流や余暇活動、学習、言語訓練といった必要なサービスを提供するのが放課後等デイサービスです。放課後等デイサービスを利用する児童は6歳〜18歳までの未成年者で、「今」だけに着目して目標を立てるのではなく、その児童の将来を考えた支援を行います。また、高齢者向けデイサービスと同様に、本人の心身機能維持、向上目的及び、家族の負担軽減を目的に利用されています。

放課後等デイサービス内での理学療法士の役割

放課後等デイサービスに勤務する理学療法士は、身体面に着目して、児童の身体能力を評価することから始めます。同じ年齢の児童と比べて筋力はどうなのか、走る、歩くなど動作を見てバランス低下は見られないかなどを評価し、必要に応じてサポートを行うのが主な仕事です。
評価の際、将来的にその児童が身体機能を伸ばしていかなければ生活が困難になるだろうと感じる問題点については、現状で問題がなくても訓練を行う必要が出てきます。放課後等デイサービスの理学療法士の役割としては学習や言語の訓練よりも身体機能に着目した仕事が多くなることが一般的です。

放課後等デイサービスでの理学療法士の働き方

放課後等デイサービスで勤務する理学療法士の働き方は少し特殊です。高齢者向けデイサービスであれば、利用者さんが在所する朝から夕方までの勤務ですが、放課後等デイサービスの場合は通常、学校の授業終了後から具体的な活動が始まります。職員が送迎に行って事業所に来るので、実際に児童と触れ合うのは昼以降です。

事業所によって異なりますが、一般的には児童の利用終了時間が17:30〜18:30頃となり、職員の帰宅時間は19時以降になることが多いでしょう。平日は出勤時間が遅い事業所が多いものの、夏休みなど長期休暇があると、働き方が変わります。長期休暇中は朝から児童が来るので、朝から夕方までの時間帯で働きます。放課後等デイサービスでの勤務を検討する際には、季節等に合わせて、こうした勤務時間の変化があることを理解しておくとよいでしょう。

児童の訓練に関しては、児童が在所している時間のなかでプログラムを組み、運動の時間などをつくって評価を行い、実施に至ることが多くなるでしょう。なかには、個別にアプローチをすることもありますが、児童のなかには急な環境の変化などへの対応が困難なケースもあるため注意が必要です。訓練本位になるのではなく児童の状態やプログラムの流れを考えて実施しましょう。

地域理学療法士の将来性を考える

理学療法士協会に登録している会員の総数から考えると、地域のデイサービスなどで働く会員数は少ないのが現状です。今後はますます医療機関で働く理学療法士数は増え、医療機関からの求人が減少する可能性が考えられます。一方で、地域に存在するデイサービスなどの事業所は増える傾向にあり、これからの高齢化社会を考えても理学療法士の需要は増えることでしょう。

また、放課後等デイサービスを例にしたように、地域の児童に対する理学療法の必要性も年々高まっています。こうした背景を考えても、今後もますます地域理学療法は広がりを見せるでしょう。

地域で働く理学療法士に

今回はさまざまな理学療法士の職場のなかから、デイサービスと放課後等デイサービスでの活動についてまとめました。地域に密着した働き方は、理学療法士の活動の幅を広げ、今後ますます需要が広がる傾向にあります。

理学療法士の資格を活かせる就職や転職を考えているのであれば、地域で働くことを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。

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