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サルコペニアとは? 理学療法士の視点から考える原因・メカニズム・対策

公開日:2016.02.01 更新日:2016.02.22

日本の高齢化が進むなかで、「サルコペニア」という単語を耳にする機会が増えてきました。老年症候群のひとつであるサルコペニアは、さまざまな要因が影響するものですが、状態によっては、運動リハビリの介入で改善を促すことも可能です。患者さんの多くが高齢者となる現代において、理学療法士なら避けては通れないサルコペニア。その原因から対策について紹介します。

サルコペニアと原因

加齢に伴い筋力が著しく低下していくサルコペニアは、老年症候群のひとつ。70歳以下の10~20%、80歳以上の高齢者では約50%以上にサルコペニアを認めるという報告もあります。
サルコペニアの原因は以下の4つに分類できます。
① 加齢によるもの
② 活動低下によるもの
③ 栄養欠損によるもの
④ 疾患に付随して起こるもの

このうち、①が原因のものを原発性サルコペニア、②~④が原因のものを二次性サルコペニアと呼びます。②については、活動性の低下による廃用の進行が挙げられ、③はエネルギー摂取不足や飢餓などが主な要因です。④は神経筋疾患や悪液質などが関連するものとして挙げられます。原発性サルコペニアに対処することは困難ですが、二次性サルコペニアに対しては、原因を見極め、改善を促すことが可能です。

サルコペニアの影響とメカニズム

サルコペニアは広背筋や腹筋、膝伸筋、臀筋群などの抗重力筋において多くみられます。その結果、移動能力の低下、日常生活動作の制限、転倒リスクの増加や、転倒による骨折などが起こりやすくなります。それによってさらに活動性が低下し、転倒をくり返すことで、サルコペニアが進行していきます。なんとか予防したいサルコペニアですが、どのような仕組みで発症するのでしょうか。加齢の視点から考えていきます。

加齢に伴って低下するものとして、
・栄養摂取量
・α運動ニューロンの数
・筋繊維数(TypeⅡ)
・タンパク同化因子(筋肉の合成)
逆に、増加するものとして、
・不活動
・体脂肪量
・タンパク異化因子(筋肉の分解)
があります。

これらが要因となり、筋肉量、筋機能が低下し、サルコペニアが発症します。また、サルコペニアの簡便な判定方法としては、
BMI<21未満
① 年齢≧75以上
② 以前と比べて手足が細くなってきたと感じる
これら3項目のうち、2項目があてはまれば、サルコペニアである可能性は約80%。1項目のみが当てはまる場合も、予備群としてサルコペニアの発症を防ぐ取り組みが必要です。

サルコペニア予防のための運動介入

サルコペニアを予防するための運動としては、軽めの負荷でも大きな筋肥大および筋力増強効果の得られる、「スロートレーニング」がよいでしょう。スロートレーニングは比較的低負荷で血圧の上昇も抑えられ、関節・筋・靭帯の脆弱な中・高齢者に適した運動といえます。

具体的には、スロートレーニングでのスクワット動作があります。バランスを取るため、手すりや椅子の背もたれなどにつかまりながら3秒かけて屈み、そこで姿勢を1秒間保持します。次に3秒かけて立ち上がりますが、膝を伸ばしきる前に止まり、また3秒かけて屈む、という動作を繰り返します。立ち上がったところで止まって休憩しないよう、注意しましょう。まずは10回を1セットとして、疲労度を考慮しながら回数を調整していきましょう。頻度として、同一部位は週2~3回の実施が理想的とされています。

老化を抑制するために

ここまで、主に理学療法士の視点から運動について述べてきましたが、栄養についても、きわめて重要な対策の要素です。骨・関節・筋肉の維持に効果的な栄養の摂取と、運動の両輪で、サルコペニア発症を予防していきたいですね。

 

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