患者さんをリラックスさせる会話術~リハビリ職で役立つイメージ法とは?~
公開日:2021.01.22

文:大久保ゆうこ(おおくぼゆうこ)
臨床心理士/公認心理師/精神保健福祉士
米国NTI認定栄養コンサルタント
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの制限が強いられています。特に、外出しづらい状況は、物理的な面だけでなく、心理的にも不安を感じる日々が続いていることでしょう。
リハにくる患者さんのなかには、感染症対策だけでなく体調の問題からも行動制限がかかり、ストレスを溜めている人が増えているかもしれません。今回は、患者さんのケアとともに、セラピスト自身のストレスケアにも応用できるイメージ法(参考文献表記「イメージ療法」、本文以下「イメージ法」)を紹介します。
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イメージの世界は無限に広がっている
「新型コロナに感染したらどうしよう」という不安は、だれしも一度は感じるもの。こうした不安が長期化すると、心身に大きな影響を与えてしまいます。
感染した時のことをイメージするだけで、あたかも現実になったかのような恐怖で体は反応してしまいます。感情が動き、筋肉のこわばりなども発生して、肉体的にも緊張が走るのです。単なるイメージであっても、無意識のうちに心や体はリアルと同様の反応を起こしてしまいます。
とはいえ、不安を完全に解消するのは難しいでしょう。そこで、おすすめしたいのがプラスの視点で「イメージ法」を活用すること。不安なイメージで体が自然と反応するように、良いイメージを持つことで心身を前向きな気持ちにすることも可能です。イメージが心身に影響することを有効利用してみましょう。
イメージ法のメリットは普段できないようなことであっても、費用をかけずにどこでも実践できること。
「もしもこんなことができたら」「こんな国に行ってみたい」という「もしも」をイメージすることで、心と体は実際に経験したような反応を起こし、気持ちが晴れやかになったり、体の緊張がほぐれてきたりします。ぜひ手軽にできるストレス発散法として活用してみてください。
イメージの旅に出かけましょう

では、実際に「イメージ法」を取り入れ方を説明していきましょう。
イメージ法を実施する際のコツは、「非日常」をテーマにすること。非日常の空間として代表的なのは「旅」です。
非日常の時間や空間は、日ごろの仕事や悩みを忘れて気持ちをリセットしストレス解消につながります。
具体的な実践法としては、まず「情景を思い浮かべること」。さらにより体感を深められるよう、五感でイメージした場所や動作を感じるようにするのがポイントです。
今回は思い切って空を飛ぶイメージを楽しんでみましょう。次のような情景を想像し、あたかも本当にそうなったかのごとく感じてみてください。
<空を飛ぶイメージ例>
あなたは魔法のマントを手に入れました。肩にマントがついていることを感じてみてください。「マントがついたな」と想像できたら、いよいよ空に飛び立ちます。飛び方は自由。想像のなかで空の旅に出かけましょう。
目を閉じた方がイメージしやすいようであれば、目を閉じても構いません。空を飛ぶイメージが具体的に思い描きにくい場合には、アニメや映画を参考にしてみるとよいでしょう。主人公と一緒に自分も空を飛んでいるような姿を頭に描くと、イメージしやすいかもしれません。
空を飛んでいる様子がイメージできたら、今度は空を飛んでいる「感覚」を想像します。
空の広がりを感じ、流れる風を感じましょう。頭、肩、胸、背中、お尻、足……と、体のパーツを順番に意識しながら、空を飛んでいる感覚を味わってみてください。
特に疲れやコリがたまっている場所や不快感があるところに、風がたくさん流れているようにイメージするのがポイント。心地よい風にあたりながら、どんどん体が緩んでいくのを感じてみましょう。
「感じなくてはならない」と無理に頭で考えると、かえって疲れやすくなります。明確でなくても構いません。なんとなく「そんな感じがしたらいいなぁ」と、ぼんやり思い浮かべるのがコツです。
患者さんに実践する場合には

イメージするだけで、体の緊張がゆるむなら手軽ですよね。簡単にできる方法として、患者さんのストレスケアに応用するのもよいでしょう。「イメージを遊びしませんか?」と気軽に誘って、ともに楽しんでみてはいかがでしょうか。
一例として具体的な会話のやりとりをご紹介しましょう。今回は高齢の女性患者さんと実施するケースを想定しています。
<イメージ法実践会話例>
セラピスト
「ちょっとイメージ遊びしてみませんか? イメージするだけでも体がすっきりする人もいるし、楽しいですよ。」
患者さん
「そう?やってみようかしら……」
セラピスト
「どこか旅行に行ってみたいところはありませんか?イメージですし、今、行けるかどうかは全く考えなくていいですよ。」
患者さんの中には「そんなことできっこない」と、現実的な考えが邪魔をしてイメージするのが難しくなる人がいます。「行けるかどうかは考えなくていいですよ」と伝えるのがポイントです。
患者さん
「だったらハワイ! 一度でいいから行ってみたい。」
セラピスト
「いいですねー!ハワイ!(このように患者さんの発言を肯定していくことが大切です。)誰と行きたいですか?これも、できるかどうかではなくて、一緒に行きたい人を考えてみてください。」
患者さん
「じゃあ、俳優の●●さん。昔っからファンなの~」
セラピスト
「●●さん、いいですね~。●●さんといま、ハワイにつきました。どんな景色が見えますか?」
患者さん
「海が見えるわ。ブルーハワイの海。空もきれい。」
セラピスト
「すてき。海の潮風を感じてみましょう。どんな感じですか?」
――このように患者さんを誘導しながら一緒にイメージし、触覚、嗅覚、味覚などの五感について一つひとつイメージを深めます。
リハビリに応用したい場合には、イメージに合わせて動作を取り入れるとよいでしょう。
「(両手や両足を動かしてもらう目的で)泳いでみましょう」「(首を動かす目的で)景色を見渡してみましょう」など、具体的な動作を指示します。
体を動かしてもらえたら、即座に肯定することで患者さんにもプラスのイメージを持ってもらえます。無理なく動作してもらえるように誘導しましょう。
イメージ法で非日常の時間を楽しもう
新型コロナウイルスの感染拡大により、リハビリを担当するセラピストも慎重な対応を迫られています。
外出できない患者さんも、家に引きこもっているとストレスが溜まりやすいもの。その点イメージなら可能性は無限大。心と体の感覚だけでも出かけた感覚を味わって、少しでも毎日をエンジョイしたいですね。
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