チーム医療でリハビリを進める! 病棟カンファレンスのススメ
公開日:2016.04.29 更新日:2023.06.15
入院している患者さんには、多くの医療関係者が携わっています。セラピストだけでなく医師、看護師、薬剤師や栄養士など、病院内には多くの専門職がおり、それぞれの専門知識を活かして患者さんの治療にあたります。患者さんの早期退院を促すためには多職種との連携は欠かせません。改めてリハビリの観点からチーム医療の必要性を再考し、連携強化につながる病棟カンファレンスの活用について考えてみましょう。
チーム医療、連携の必要性について
チーム医療とは一人の患者さんに対して複数の医療専門職が連携し、治療やケアに当たること。患者さんに携わる多職種が同じ目標を共有することは、早期退院を目指すうえでは必要不可欠な条件です。例えば、退院に向けて離床を促したい患者さんがいたとします。その患者さんは、少しの介助があれば自力でトイレに行けるのですが、病棟の看護師や介護士に退院へのゴール設定や、患者さんの動作レベルに対する認識が共有されていなければ管理が楽なオムツ対応のまま、ということもありえます。結果として離床が進まず、退院が先延ばしになってしまうことも……。このようなすれ違いをなくすためにも、チームの連携強化は大切な課題といえるでしょう。
病棟での時間を活用する連携プレーを
理学療法士が患者さんと過ごすリハビリの時間は限られており、どうしても病棟で過ごす時間のほうが長くなります。急性期の症状が落ち着き、内科的な問題がなければ、活動性や運動量を上げていきたいところ。そうした面からも、病棟での過ごし方はその後の回復に関わる大きなカギとなります。トイレや入浴にかかる動作など、退院後にも必要な日常動作は、それ自体が退院へ向けた練習にもなるため、自主的に動けるよう環境を整えてあげましょう。理学療法士の立場から患者さんに合った介助方法や注意点を担当の看護師や介護士に伝え、積極的に動いてもらえるようなチームワークを築きたいものです。
円滑なコミュニケーションのために
多職種との円滑な連携を進めるために欠かせないのが、コミュニケーションの強化です。あくまでも人間同士のこと、ビジネスライクなコミュニケーションばかりでは、信頼関係は築けません。スタッフ同士で気軽に質問し合えるようなチームをつくるためにも、普段からあいさつや声かけを心がけましょう。また他職種の業務内容、専門領域などを把握しておくと、お互いに尊重し合う関係が築けます。患者さんのことで疑問が出た場合には、必要なことを必要な人へスムーズに確認できるため、時間を無駄にすることなく対応できるという利点もあります。
病棟カンファレンスの活用
チームとしての連携を強化するためには、病棟カンファレンスの活用が一番です。多くの業務があるなかで、カンファレンスの時間が形式的に流されてしまうこともあるでしょう。患者さんの状態や今後の退院に向けた方向性など、多職種で一度に話し合うことのできる病棟カンファレンスは、コミュニケーションをとるきっかけや、意見を伝えるにはうってつけの場です。医師の了承を得て合理的な判断を行うためにも、可能な範囲で医師にも出席してもらい、チーム全体の共有意識を高めましょう。リハビリ時はもちろん、病棟での生活まで退院を目指した一貫したサポートができるよう、病棟カンファレンスのあり方を見直してみてはいかがでしょうか。
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