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患者主体のリハビリとは? リハビリにおける意欲の重要性

公開日:2015.02.05 更新日:2015.03.30

医療全般において、治療関係は様々な心理的要素を含んでいます。
例えば理学療法では、目標は患者・家族の社会的適応、自立であるにも関わらず、治療者が主体となって指導し、患者さんはリハビリを受ける側という関係性の中で訓練が進みます。理学療法士が主導しなければリハビリは進行しませんが、彼らの役割はあくまで患者さんの自立のサポートです。
複雑な治療構造の中で患者さんが治療の主体であることを忘れないためにも、今回はリハビリテーションへの参加意欲の重要性に注目しました。

患者さんのモチベーションの重要性

健康に支障をきたし、回復に向かう人がリハビリテーションによって生活の再構築を図るとき、本人のモチベーションはとても重要な役割を果たします。
脳出血や脳梗塞を例にとってみると、それらは突然発症し、迅速な治療が行われなければ生命の危機に関わります。救命された場合でも、後遺症が残る場合がほとんどです。当事者は突然自分の身に降りかかった身体や生活における変化と向き合うことを余儀なくされます。
それはアイデンティティの危機ともいえるでしょう。患者さんは過酷な運命と対面しつつも、障害を受けとめ、社会復帰をするための努力を求められます。治療者はそういった治療の背景を考慮しなければなりません。

リハビリへの参加意欲の重要性はさまざまな角度から研究されていますが、最近では「患者の意欲」が運動機能回復に有用であることが脳科学の分野でも数多く提言されるようになっています。
脊髄損傷を受けた猿の脳を観察したところ、やる気に関わる神経回路と運動に関わる神経回路が関連していることがわかったのです。このことから、脊髄損傷や脳梗塞などを起こした人がリハビリテーションを受けるときに、やる気に関わる脳の部分を活性化することで、運動機能をより効果的に回復できると考えられます。
また医療者の励ましがリハビリテーションの意欲と関わっていることも、いろいろな研究によって明らかにされています。

意欲向上に導く患者さんとの関わり方

では、患者さんのモチベーションを高めるために、医療者はどのような態度で臨むべきなのでしょうか。患者さんが前向きにリハビリに取り組めるようにするための積極的な指導、説明はもちろんですが、患者さんの気持ちを受容するといった心の支援も必要となります。
普通、患者さんは自分が思うように動けないという事実や苦痛によって自己の存在価値が低下したかのように感じ、それに伴いリハビリテーションへの参加意欲が低下します。ここで医療者側が焦ってしまうと、さらに患者さんの意欲が低下するという悪循環が生まれてしまいます。
意欲低下をできる限り最小限に留めるには、患者さんが自分の存在価値を感じられるような温かい励ましが必要です。

やる気を出す声掛けの方法

一口に温かい励ましと言っても、具体的にどんな声掛けのコツがあるのでしょうか。
基本的には患者さんの変化を見逃さず、できたことに注目させるという態度が必要になります。
コーチングにおける「承認」という技法は相手のモチベーションを高めるために用いられますが、承認を通してリハビリの進歩に目を向けさせる3つのポイントをピックアップします。

1.結果を伝える

これは治療者が意識しなくても、普段から使っている最も一般的な承認でしょう。患者さんの努力をほめる承認です。例えば「よくがんばりましたね」「今日は○○が上手くいきましたね」といった声掛けです。

2.事実を伝える

特にほめているというわけでなくとも、事実を伝えることで相手に自分が相手の存在を認識し、承認していることを伝えられます。
「今日も歩いていらっしゃいますね」「毎日、がんばっていらっしゃるから目標達成されたのですね」といったようなフィードバックです。ほめていなくても、「この人は自分を見てくれている」「わかってくれている」という印象を与えることができます。
また、リハビリの内容に直接関係がなくとも、相手を観察して気づいた髪型や、顔色の変化を伝えることで患者さんは自分が見られていることを感じ、うれしい気持ちになります。

3.気持ちを伝える

「私」を主語としたメッセージで、自分の気持ちを伝えます。例えば「一生懸命練習していただいて、うれしいです」「○○さんのがんばる姿をみて、私も励まされます」といったようなメッセージです。
自分が相手に対して思っていることを率直に伝えることは、患者さんにとっては安心感につながりますし、言われると一番うれしい言葉かもしれません。

リハビリを提供する側も受ける側も、できない部分に注目しがちですが、たとえ小さな進歩でもフィードバックすることで、患者さんが自分の成功体験を意識でき、それが治療に対するモチベーションにつながるのです。

 

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