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リハビリをやる気にさせる方法は?患者の気持ちと意欲向上に導く関わり方

公開日:2015.02.05 更新日:2024.05.30

”リハビリをやる気にさせる方法は?患者の気持ちと意欲向上に導く関わり方“/

医療の世界では、治療の過程には多くの心理的な要素が絡んできます。

例えば、理学療法の場合、目指すべき目標は患者やその家族の社会生活への適応や自立です。しかし、実際のところ、治療者が主導し、患者さんはリハビリを受ける立場となり、その中で訓練が進められます。理学療法士が主導しないとリハビリは進まないのですが、その役割は結局のところ、患者さんの自立をサポートすることです。

治療の構造が複雑であるため、患者さん自身が治療の主役であることを忘れないようにすることが重要です。そこで今回は、リハビリテーションへの参加意欲の大切さに焦点を当てて紹介します。

患者さんのリハビリモチベーションの大切さ

健康に支障をきたし、回復に向かう人がリハビリテーションによって生活の再構築を図るとき、本人のモチベーションはとても重要な役割を果たします。

例えば、脳出血や脳梗塞は突然発症し、迅速な治療がなければ命に関わる病気です。命を救われたとしても、後遺症が残ることが多いです。その結果、患者さんは突如として自分の身体や生活が変わる事態に直面し、それに対処しなければなりません。

これは、自己のアイデンティティが揺らぐ状況とも言えます。患者さんは厳しい運命と向き合いながらも、障害を受け入れ、社会復帰のための努力を求められます。治療者は、そのような背景を考慮に入れる必要があります。

リハビリへの参加意欲の重要性は、さまざまな観点から研究されています。最近では、「患者の意欲」が運動機能の回復に役立つという見解が、脳科学の分野でも多く提唱されています。

脊髄損傷を受けた猿の脳を観察した研究では、やる気と運動に関わる神経回路が連動していることが明らかになりました。これは、脊髄損傷や脳梗塞などの患者がリハビリテーションを受ける際、やる気を司る脳の部分を活性化することで、運動機能の回復がより効果的になる可能性を示しています。

また、医療者の励ましとリハビリテーションへの意欲との関連性も、多くの研究で明らかにされています。

リハビリを受ける患者さんの気持ち

”リハビリを受ける患者さんの気持ち“/

リハビリテーションを初めて受ける患者さんの心理状態は、ケースバイケースですが、多くの場合、不安や混乱、無力感といった感情を抱えています。

これは、突然の病気や怪我により、身体の機能が制約され、日常生活が一変するという状況に直面しているからです。

今まで普通にできていたことが突然できなくなると、混乱したり、人との関わりを避けたくなったり、涙が出てしまったりすることもあります。

また、患者さんは自分が思うように動けないという現実や苦痛によって、自己の存在価値が低下したように感じ、それに伴いリハビリテーションへの参加意欲が低下することもあります。

そのため、リハビリの初期段階では、治療者が患者さんの心情に寄り添い、理解を示し、患者さんのペースに合わせて声をかけていくことが重要です。

次の項では、患者さんがリハビリテーションにやる気を持つための関わり方について詳しく紹介します。

患者さんのリハビリをやる気にさせる関わり方

では、患者さんのモチベーションを高めるために、医療者はどのような態度で臨むべきなのでしょうか。患者さんが前向きにリハビリに取り組めるようにするための積極的な指導、説明はもちろんですが、患者さんの気持ちを受容するといった心の支援も必要となります。

普通、患者さんは自分が思うように動けないという事実や苦痛によって自己の存在価値が低下したかのように感じ、それに伴いリハビリテーションへの参加意欲が低下します。ここで医療者側が焦ってしまうと、さらに患者さんの意欲が低下するという悪循環が生まれてしまいます。

意欲低下をできる限り最小限に留めるには、患者さんが自分の存在価値を感じられるような温かい励ましが必要です。

やる気を出す声掛けの方法

”やる気を出す声掛けの方法“/

一口に温かい励ましと言っても、具体的にどんな声掛けのコツがあるのでしょうか。

基本的には患者さんの変化を見逃さず、できたことに注目させるという態度が必要になります。

コーチングにおける「承認」という技法は相手のモチベーションを高めるために用いられますが、承認を通してリハビリの進歩に目を向けさせる3つのポイントをピックアップします。

1.結果を伝える

これは治療者が意識しなくても、普段から使っている最も一般的な承認でしょう。患者さんの努力をほめる承認です。例えば「よくがんばりましたね」「今日は○○が上手くいきましたね」といった声掛けです。

2.事実を伝える

特にほめているというわけでなくとも、事実を伝えることで相手に自分が相手の存在を認識し、承認していることを伝えられます。

「今日も歩いていらっしゃいますね」「毎日、がんばっていらっしゃるから目標達成されたのですね」といったようなフィードバックです。ほめていなくても、「この人は自分を見てくれている」「わかってくれている」という印象を与えることができます。

また、リハビリの内容に直接関係がなくとも、相手を観察して気づいた髪型や、顔色の変化を伝えることで患者さんは自分が見られていることを感じ、うれしい気持ちになります。

3.気持ちを伝える

「私」を主語としたメッセージで、自分の気持ちを伝えます。例えば「一生懸命練習していただいて、うれしいです」「○○さんのがんばる姿をみて、私も励まされます」といったようなメッセージです。

自分が相手に対して思っていることを率直に伝えることは、患者さんにとっては安心感につながりますし、言われると一番うれしい言葉かもしれません。

リハビリを提供する側も受ける側も、できない部分に注目しがちですが、たとえ小さな進歩でもフィードバックすることで、患者さんが自分の成功体験を意識でき、それが治療に対するモチベーションにつながるのです。

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患者の気持ちを汲み取りリハビリのやる気向上に導いていこう

リハビリテーションは、患者さんの生活の質を向上させるための重要なステップです。しかし、患者さんはその過程は困難であり、時には挫折感を覚えることもあります。そのため、患者さんがリハビリに対する意欲を保つことが非常に重要です。

この記事紹介した患者さんのリハビリモチベーションを高めるための具体的な方法を実践して、リハビリを成功に導いていきましょう。

特に以下の3つの声掛けの方法はすぐに実践できるので意識してみてください。

・結果を伝える
・事実を伝える
・気持ちを伝える

リハビリは一日にしてならず、一歩一歩、確実に前進することが大切です。患者さん自身の小さな成功を祝い、その経験を次のステップへのエネルギーに変えていきましょう。

 

参考

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