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作業療法士が開業するには?施設運営やフリーランスなど働き方を紹介

公開日:2022.04.20

作業療法士が開業するには?施設運営やフリーランスなど働き方を紹介

文:田口 昇平
(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

作業療法士として働いていれば、一度は独立開業に興味を持つものです。自分が考えたサービスを提供したり、収入がアップしたりと、開業すればこれまでとは違う働き方ができるでしょう。

とはいえ、実際に開業するとなれば、どんな業種を選べばよいのか悩むかもしれません。今回は開業を検討している作業療法士に向けて、自分のキャリアを活かしながら開業する方法についてお伝えします。

「作業療法士」の名称で開業することはできない

日本では作業療法士に開業権がありません。これは、理学療法士及び作業療法士法において、作業療法士ができる業務の範囲が決められているからです。

【理学療法士及び作業療法士法 第一章 総則】
・この法律で「作業療法士」とは、厚生労働省大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。
参考:理学療法士及び作業療法士法|厚生労働省

作業療法士は、医師の指示がなければ作業療法を行うことができません。そのため、作業療法士が開業するには、作業療法以外のサービスで新たに事業を立ち上げる必要があります。

作業療法士のキャリアを活かして開業する方法

作業療法を提供するサービスとして開業ができないのであれば、どのような事業で開業すればよいのでしょうか。続けて、作業療法士のキャリアを活かせる開業方法を考えてみましょう。

訪問看護やデイサービスの事業所を立ち上げる

介護老人保健施設や特別養護老人ホームといった入所施設を経営するには、医師や社会福祉主事などの資格が必要です。しかし、訪問看護ステーション、デイサービス、放課後等デイサービスは、事業所の人員基準や設備基準を満たせば、誰でも開業できます。

近年、訪問看護ステーションやデイサービスでは、機能訓練の提供にとどまらず、利用者の健康寿命の延伸や生きがいを支援できるリハビリが重視されています。また、さまざまな遊びを通じて、障がい児の発達を支援する放課後等デイサービスは、子どもの情緒面の発達促進や社会スキルの獲得などができる施設として、需要が高まっています。

こうした施設を運営し、高齢者や障がい児・者の生活をサポートするには、社会参加の視点が不可欠です。作業療法士であれば、クライアントの思いを汲み取ったり、生活の支障となっている問題を分析したりして、利用者のニーズに応えられる施設運営ができるしょう。

整体院やリラクゼーションサロンなどを開院する

接骨院や整骨院、マッサージや指圧店を開業するには、それぞれ柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師の資格が必要です。一方で、整体院やリラクゼーションサロン、パーソナルトレーニングジム、美容サロンといった健康・スポーツ・美容分野は、法律上の規制がなく、特別な資格がなくても開業できます。

整体院やリラクゼーションサロンなどの利用客は、肩こりや五十肩・腰痛・姿勢不良による体調不良といった悩みを持つ方が多く見られます。特に、身体機能面のアプローチに力を入れてきた作業療法士であれば、解剖学や運動学の知識を活かしながら、不調を感じる方に対して専門家の視点でサポートができるでしょう。

参考:あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律|e-Gov法令検索

フリーランスの作業療法士として働く

特定の施設に所属することなく、複数の事業所の業務をかけ持つフリーランスとして起業する方法もあります。

医療機関や介護施設で現場のリハビリ業務をおこないつつ、診療のない日に若手向けの研修会を開催したり、医療・介護従事者向けの講演会をおこなったりするのも、フリーランスだからこそできる活動でしょう。自分のキャリアを活かして、作業療法の臨床・教育・啓蒙に力を入れていきたい方におすすめの働き方です。

ただし、フリーランスの作業療法士となれば、仕事を受託するために個人で医療・介護事業所へ営業に行ったり、ホームページやSNSといったプラットフォームを作ったりする必要があります。そうした事情を踏まえると、フリーランスの作業療法士は仕事の一環として、営業や情報発信活動も楽しめる方に向いている働き方といえるでしょう。

ICT系サービスで起業する

ICT(情報通信技術)として、身近なものでは、SNSやチャットなどが代表的です。近年、デイサービスや訪問看護ステーションをはじめとする介護分野では、ケアプランや計画書の作成、訓練プログラムの立案などにICTの活用が推進されています。

作業療法士のなかには、医療・介護現場で働いた経験を活かして、ICTサービスの開発・販売を行う会社を立ち上げる人もいます。例えば、クライアントが自主練習できるアプリを開発したり、計画書や訓練プログラムを自動作成できる介護ソフトを販売したりとさまざまなアプローチが可能です。ICT系サービスで起業すれば、クライアントの健康管理や医療・介護職員の業務を後方支援できるというメリットがあります。

特に、介護施設で働いた経験のある作業療法士にとって、業務の問題点を分析し、それを解決するためのソフトやサービスが開発できる点で、強みを活かせるでしょう。

参考:介護現場におけるICTの利用促進|厚生労働省

ビジョンを明確にして、新たな道にチャレンジを

一口に「開業」といっても、作業療法士のキャリアを活かして働く方法はさまざまです。開業すれば、自分のスキルを存分に発揮したり、活躍の場を広げたりできるでしょう。

一方で、経営者になると、業績管理やコンプライアンス遵守、トラブル対応など、事業に伴うリスクマネジメントが欠かせません。事業を成功させるためには、十分な下調べと準備も必要です。

どのように事業をおこなっていきたいのか、自分のビジョンを明確にして、開業に臨みましょう。

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参考

第5章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり|内閣府
高齢者の社会参加・生活支援の充実に向けた国民的な運動の推進|厚生労働省

田口 昇平

田口 昇平

作業療法士/福祉住環境コーディネーター2級
2008年に作業療法士免許取得後、東京都内のリハビリ専門病院や特別養護老人ホームなどの施設で医療や介護業務に従事。2018年より、フリーライターに転身。医療介護職の働き方や働きやすい労働環境づくりなど、幅広いテーマで執筆。心理学・脳科学分野の書籍を愛読し、学んだ内容をブログやSNSで情報発信している。

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