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若いのに「飲み込みにくい」のはなぜ?若年性の嚥下障害の原因や何科にかかるべきか解説

公開日:2024.04.01 更新日:2024.04.02

若いのに「飲み込みにくい」のはなぜ?若年性の嚥下障害の原因や何科にかかるべきか解説

文:tokoshi(言語聴覚士)

年齢を問わず、「食べ物が飲み込みにくい」「飲み込む際にむせることが多い」といった症状がある場合、嚥下(えんげ)障害の可能性があります。

嚥下障害は、高齢になるにつれて発症しやすくなるのが一般的ですが、若い人でも起こることがあります。

本記事では、若いのに食べ物や飲み物が飲み込みにくいと感じる場合の原因や対処法について解説します。また、病院を受診する際、何科にかかればよいのかもお伝えしましょう。

「飲み込みにくい」が生じる嚥下(えんげ)障害とは?

嚥下障害とは、食べ物や飲み物を飲み込む際に何らかの障害が生じることをいいます。具体的な症状は下記のとおりです。

●食べ物が飲み込みにくい
●食事の時間が以前よりも長くなった
●食べ物が口に残る
●飲み込んだ後に声がガラガラする

嚥下障害が生じると、上記のような症状が目立つようになります。

また、うまく飲み込みにくくなり、食べ物や飲み物が気管(呼吸をする場所)に入ってしまい、体がそれらを排出しようとして咳が出てしまう、「むせ込み」も生じやすくなります。

若いのに飲み込みにくい……若年性の嚥下障害もある?

冒頭でもお伝えしたとおり、嚥下障害は高齢者に起きやすいとされています。しかし、年齢は関係なく、若くても嚥下障害を発症するケースはあります。

年齢を重ねると、飲み込む際に必要な筋肉が衰えることから、嚥下障害の最大の原因は「加齢」とされています。

しかしなかには、20代や30代といった若い年代で嚥下障害を発症することもあります。若年性の場合は、加齢に伴う筋肉の衰えとは別の原因で嚥下障害になるケースが多く見られます。

次章にて「若いのに食べ物が飲み込みにくくなる原因」について詳しく解説します。

若いのに食べ物が飲み込みにくい4つの原因

若いのに食べ物が飲み込みにくい原因として下記4つが挙げられます。

原因 内容 具体的な疾患
器質性の要因 嚥下器官に病気・ケガが原因で飲み込みにくくなる ・口腔内や食道などの炎症
・外傷
・口腔や食道などのガン
・先天的な奇形
機能性の要因 嚥下器官の機能が低下することで飲み込みにくくなる
例:嚥下器官の筋力低下や麻痺
嚥下器官に関する神経系の障害
・パーキンソン病
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・脳卒中・脳梗塞
心因性の要因 ストレスといった原因から飲み込みにくくなるなる ・うつ病
・心身症
医原性の要因 医療的な処置が原因で飲み込みにくくなる ・薬の副作用
・術後の合併症

いずれの要因でも、食べ物が飲み込みにくくなったり、食事中にむせ込みが多くなったりすることがあります。どの要因が影響しているかは個人差があるため、一概に判断できません。

また、一時的に疲れて喉の不調を感じるといった場合もあるため、次の項で紹介するセルフチェックを試してみましょう。

ただし、飲み込みにくいなどの症状を放置し続けると「誤嚥性肺炎」といった別のリスクも高まります。気になるときには、早めに病院で診察を受けましょう。

飲み込みにくいときは何科を受診したらいいの?

若いのに「飲み込みにくい」のはなぜ?若年性の嚥下障害の原因や何科にかかるべきか解説

「飲み込みにくい」「むせやすい」といった症状で病院を受診する場合は、耳鼻咽喉科または消化器内科にかかることをおすすめします。もし原因が心因性や医原性の場合でも、受診先で「どの科を改めて受診すべきか」を教えてもらえます。

飲み込みにくい原因がわかれば、その疾患に対して治療やリハビリを実施していくというのが診断後の基本的な流れです。

病院に行くべき?セルフチェックで確認

「飲み込みづらさは感じるけど、病院に行くほどのレベルかわからない」というときは、以下の方法でセルフチェックしてみましょう。

簡易的なセルフチェックとして「反復唾液嚥下テスト(RSST)」と「改訂水飲みテスト(MWST)を紹介します。

セルフチェック方法 やり方
反復唾液嚥下テスト(RSST) 1.30秒間で唾液を何回飲み込めるか確認
2.3回以上唾液を飲み込めない場合は、嚥下障害が疑われる
改訂水飲みテスト(MWST) 1.3mlの水を口腔内に入れ飲めるかどうかを確認
2.飲み込んだ後に、唾液を2回飲み込めるか確認
3.水や唾液を飲めなかったりむせたりする場合は、嚥下障害が疑われる

反復唾液嚥下テストの場合は、唾液を飲み込む際に喉仏が、指2本分の横幅程度、上がるかどうか確認しましょう。改訂水飲みテストの場合は、飲み込みやむせ以外にも、飲み込んだ後の声質(ガラガラしていないか)やその後の様子(痰が多くなった)なども確認してみましょう。

今すぐできる!嚥下障害の予防策

若いのに「飲み込みにくい」のはなぜ?若年性の嚥下障害の原因や何科にかかるべきか解説

嚥下障害を予防するためには「喉の筋肉」を鍛えることが大切です。

続いて、自宅でできる嚥下障害の予防策となるトレーニング方法を紹介します。効果的なトレーニング方法の1つとして「シャキア法(頭部挙上訓練)」があります。

シャキア法(頭部挙上訓練)のやり方は下記のとおりです。

1.仰向けに寝る
2.頭部だけ挙げ顎を引き、つま先を見る
3.その状態で30秒~1分程度キープする

上記を5〜10回、一日3セットから5セット程度行うことをおすすめします。

”

なお、シャキア法(頭部挙上訓練)を実施する際は、決して無理はせずに、できる範囲内で行いましょう。

若いからこそ、嚥下障害は早期発見が大切

嚥下障害は高齢者だけでなく若い人にも起こることがあります。「若いから放っておけば治る」と症状を放置していると、誤嚥性肺炎といった別のリスクもあります。飲み込みづらさが気になる人は、早めに受診しましょう。また、本記事で紹介した予防策以外にも、日頃の食事で、よく噛んで食べたり姿勢に注意したりすることも大切です。普段から、誤嚥リスクを減らすように心がけましょう。

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参考

公益財団法人長寿科学振興財団「嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練)」

tokoshi

tokoshi

言語聴覚士
回復期で失語症と高次脳機能障害を中心としたリハビリ業務に携わる。その後転職し、看取り施設で「最期の食事」を言語聴覚士として支援。現在は訪問リハビリやデイサービスでリハビリをしながらライターとしても活動しています。

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