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寝る前の筋トレはダメって本当? 寝る3時間前に終えると◎プロが対策を伝授

公開日:2024.04.12

寝る前の筋トレはダメって本当? 寝る3時間前に終えると◎プロが対策を伝授

文:加藤 小百合(自律神経専門パーソナルトレーナー)

夜寝る前に筋トレを行うと、体を興奮させてしまい、睡眠の質を低下させ逆効果となる可能性があります。しかし「忙しくて寝る前しか筋トレの時間がとれない」そんな方も多いのではないでしょうか?

せっかく筋トレするなら効果を最大限にしたいですよね。そんな方に知っておいていただきたい寝る前に筋トレを行うメリットとデメリット、デメリットに対する解決策、おすすめの筋トレ3選を紹介いたします。

寝たままできるトレーニングも紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。

寝る前の筋トレはやりすぎに注意

定期的な運動による適度な疲れは、睡眠の質を向上させます。しかし、寝る前に激しい筋トレや高強度インターバルトレーニング(HIIT)などを行うと、睡眠の質を低下させるため注意が必要です。

寝る前にはリラックスさせる副交感神経のスイッチを入れる必要がありますが、筋トレを行うと体を覚醒させる交感神経が優位になります。血圧や脈拍が上昇し体が緊張状態になるため、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすくなるのです。

筋トレの効果を高めるには、睡眠や食事も大切な要素となります。もしダイエット目的で筋トレをする場合、ぐっすり眠れないストレスにより暴飲暴食につながる可能性もあるため注意しましょう。

寝る何時間前に筋トレを終わらせるべきか

”寝る何時間前に筋トレを終わらせるべきか“/

筋トレは、夕食後、就寝の3時間前に終えるのがベストです。筋トレが睡眠に与える影響は神経の興奮以外に体温の問題があります。運動で上昇した体温が下がるまで眠気を感じないため、運動後に体温を下げる時間が必要となるのです。

筋肉をつけるための筋トレ

空腹状態での筋トレは筋肉のたんぱく質の分解が進み、筋肉が分解されやすくなってしまうため、せっかくのトレーニングが逆効果となってしまいます。ただし、食後すぐの筋トレは消化不良になりやすいため、夕食から1時間以上空けるとよいでしょう。

ダイエットのための筋トレ

ダイエット目的でトレーニングをされる方は、空腹でのトレーニング後に食欲が倍増して逆効果となるかもしれません。トレーニング後に食事を摂りすぎると、食後から寝るまでの時間が短くなり消化不良の原因となる可能性もあります。
そのため、寝る前の筋トレはできれば夕食約1時間後、入浴前に行うことをおすすめします。

しかし、忙しい方にとって就寝3時間前に終えるのは難しいでしょう。「寝る前しか時間が取れない」と言う方は、軽めの自重トレーニングを短時間行う程度であれば問題ありません。

寝る前に筋トレを行うメリット

寝る前に筋トレを行うメリットは以下のとおりです。

・睡眠の質が高まる
・成長ホルモンの分泌が期待できる
・運動を習慣化しやすい

1つずつ解説していきます。

睡眠の質が高まる

「なかなか寝つけない」「寝ても疲れがとれない」そんなお悩みを抱えていませんか?デスクワークなどで運動不足の方は、適度に体が疲れると寝つきがよくなり、睡眠の質が高まります。

寝る前の運動で体温が一時的に上がると、体温低下の幅が大きくなり眠気を感じやすくなるのです。また、運動量が多いほど深い眠り(ノンレム睡眠)が長くなるため、日中あまり体を動かしていない方は、軽く運動するとよく眠れることを実感できるでしょう。

成長ホルモンの分泌が期待できる

筋トレを行うと成長ホルモンが分泌されますが、その量がとくに多くなるのは夕方、そして血糖値が低い「運動後」と「睡眠中」です。成長ホルモンは、コラーゲン繊維の修復を促し、骨や筋肉、皮膚を健康に保つ働きがあります。

就寝後すぐの深いノンレム睡眠によって分泌が活性化されます。寝る前に筋トレを行うことで、「運動後」と「睡眠中」という2つの条件がそろい、効率のよい成長ホルモンの分泌が期待できます。

運動を習慣化しやすい

規則正しい生活をしている方は、寝る前のルーティンはほぼ決まっているため習慣化しやすいでしょう。

「寝る前に布団の上で行う」「入浴前にスクワットを行う」「定時で帰れる日はジムに行く」「歯磨きのついでにかかと上げを行う」など日々の行動パターンとあわせて決めておくと継続しやすくなります。

筋トレは習慣化しないと効果も実感できず挫折しやすいため、無理無くできる範囲で行いましょう。継続することで睡眠の質が向上し、筋トレのさらなる効果も期待できるためぜひ習慣にしてみてください。

寝る前に筋トレを行うデメリット

寝る前の筋トレには、以下のようなデメリットがあります。

・激しい運動は寝つきを悪くする
・ストレスにより筋肉の成長を妨げる
・筋トレの効果が半減する

デメリットに対する解決策もあわせて紹介しますので、ぜひご一読ください。

激しい運動は寝つきを悪くする

寝る前の筋トレによる疲労感は睡眠の質を高めますが、激しい運動は逆に睡眠の質を低下させます。激しい筋トレを行うと体が興奮状態になるため、なかなか寝つけず睡眠時間が短くなってしまったり、夜中に目が覚める回数が増加したりする可能性があるのです。

日中は交感神経が優位になることで活動的になり、夜になるにつれて副交感神経が優位になりますが、寝る前に筋トレを行うと再び交感神経が優位になり、寝つきにくくなります。

「夜寝つけない」「翌朝疲れがとれていない」と言う場合は、トレーニング内容やトレーニング時間を見直しましょう。就寝時刻に近づくにつれて運動負荷を減らすことをおすすめします。

ストレスにより筋肉の成長を妨げる

トレーニング後はストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールの分泌が増えます。コルチゾールには筋肉の分解を促す働きもあるため、分泌を増やしすぎない工夫が必要です。

運動が激しすぎたり、トレーニング時間が長すぎたりするとコルチゾールの分泌が長く続きやすくなります。トレーニングは1時間以内を目安とし、就寝時刻に近づくほど短くしましょう。

筋トレの効果が半減する

筋トレ後は、成長ホルモンの分泌を高めるためにもしっかり休む必要があります。しかし、激しい筋トレをして睡眠の質が低下してしまうと、成長ホルモンの分泌も低下し、せっかくのトレーニング効果が半減してしまいます。

激しい筋トレのせいで筋肉痛になると、痛みが原因で眠れなくなることもあるでしょう。筋トレ後は疲れを取るために、湯船に浸かることをおすすめします。浮力と水圧により筋肉がほぐれ、心身ともにリラックスできるからです。湯船に浸かると運動をしたときと同じように体温が一時的に上がります。上がった体温が下がるときに眠気を引き起こすため、寝つきがよくなり睡眠の質が高まるのです。

入浴は就寝90分前がベストです。それ以降はお部屋の照明を暗めにし、ストレッチやヨガなどでリラックスする時間を設けると、より寝つきがよくなります。効率よく筋肉を成長させるためには、しっかりと睡眠をとるように意識してみてください。

寝る前におすすめの筋トレ3選

「寝れなくなるのが心配」でも「寝る前しか筋トレできない」そんな方におすすめのメニューを3つ紹介します。その日の体調や体力に合わせて、それぞれ10回くらいを目安に行うとよいでしょう。寝る前のボーっとした状態での筋トレはけがの原因となることもあるため、適宜休憩しながら無理のない範囲で実践してみてください。

ヒップリフト

ヒップリフトは、主におしりや腿(もも)の裏側を鍛えられ、ヒップアップに効果的です。布団の上で寝たまま行えるため、寝る前の筋トレメニューにぜひ取り入れてみてください。

”ヒップリフト“/

1.あおむけで両ひざを立て、両手を体の横に置く
2.ひざから肩まで一直線になるところまでおしりを上げる
3.ゆっくり下ろす
4.1~3の動作をくり返す

サイドプランク

サイドプランクは脇腹のトレーニングで、姿勢を改善したい方にもおすすめです。きつい方は両ひざを曲げて行ってみましょう。

”サイドプランク“/

1.横向きで肩の真下に肘を置き、両脚を伸ばす(足を前後にずらしてもOK)
2.頭から足まで一直線になるように腰を浮かせる
3.ゆっくり下ろす
4.1~3の動作をくり返す
5.反対側も同様に行う

ランジ

ランジは下半身全般とおなかの奥にある腸腰筋を鍛えられます。大きな筋肉を短時間で効率よく鍛えられるため、痩せたい方もぜひ取り入れてみてください。

”ランジ“/

1.足を前後に大きく開く
2.前のひざつま先より前に出ない程度(ひざが約90度)まで股関節とひざを曲げて腰を下ろす
3.ゆっくりと元の姿勢に戻る
4.1~3の動作をくり返す

※つま先とひざの向きをそろえる
※ヨガマットなど足が滑らないところで行う

すべてのトレーニングに共通する注意事項

・ゆっくり行う
・呼吸を止めずに行う
・痛みを感じたら中止し、専門家にみてもらう
・激しすぎると寝つきが悪くなるため、つらすぎない範囲で行う

まとめ

寝る前の筋トレは夕食の約1時間後、就寝の3時間前に終えるのがベストです。しかし、忙しくて寝る直前にしか行えなくても問題ありません。

最適な筋トレの時間は一人一人異なりますが、就寝時刻に近づくほど短時間で終えるようにしましょう。
ストレッチを軽めにするだけでなく、入浴などのリラックスも上手に組み合わせて、睡眠時間を削らないことが大切です。ぜひご自身のライフスタイルにあわせて続けてみてください。

<参考文献>
運動と快眠(e-ヘルスネット)
ストレッチについて(e-ヘルスネット)
運動強度(METs)と成長ホルモン分泌の関連について

加藤 小百合

フィットネスクラブ、カルチャーセンター、医療機関などでピラティス、ヨガ、気功、ウォーキング指導など運動指導歴20年以上。鍼灸整骨院と産前産後の整体施術もあわせ、のべ3万人以上をサポート。パーソナル指導のほか企業研修講師として目の疲れ、首・肩こり、腰痛改善セミナーも行う。体も心も整うセルフケアを中心にWebライターとしても活動中。

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