お辞儀は角度によって種類を使い分けよう!最敬礼と会釈の違いも【第4回】
公開日:2017.05.08 更新日:2024.01.11
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
お辞儀の種類や角度(深さ)は時と状況に応じて使い分けを
今回はお辞儀についてお話しします。「お辞儀」と一口にいってもさまざまな種類があり、大きく分けると
①会釈(角度は15°)
②敬礼(角度は30°)
③最敬礼(角度は45°~90°)
の3種類があります。
①会釈とは?
廊下で患者さんやスタッフとすれ違うときなどに使います。できれば一瞬でも立ち止まるのが理想的ですが、難しければ歩くスピードをゆるめて目を合わせ、背筋を伸ばしてかるく礼をしましょう。
②敬礼とは?
初対面で挨拶する際やお見送りの際に行います。一般に「お辞儀」というときはこの「敬礼」を指すことが多いでしょう。
③最敬礼とは?
謝罪やクレーム応対時などに使います。上半身を倒す角度は45°~90°と諸説ありますが、心からの謝罪を態度で示す場合は90°まで深々と頭を下げるなど、状況に応じて使い分けるといいでしょう。
なお、謝罪時には膝に顔がつくぐらい、頭を深く下げるという人もいるようですが、大仰な感じがしますので、よほどのことがない限り90°以上下げる必要はないかと思います。
「1秒の間」があるだけでお辞儀の所作が優雅に
学生時代に接客のアルバイトなどをしたことがある人は聞いたことがあるかもしれませんが、お辞儀は「先言後礼(せんげんごれい)」が基本のルールです。
まずは「ありがとうございます」などの言葉を発してから、その言葉の語尾と共に頭を下げます。
意識していないと言葉と動作を一緒にしてしまいがちですが、頭を下げながら発声すると声が下に向かって落ちていくので聞こえにくくなりますし、表情が見えないと言葉は心に届きにくいものです。
またお辞儀をするときは、「ファストイン・スローアウト(頭を素早く下げてゆっくり戻す)」がコツ。
頭を下げたときにほんの一瞬、間を置くだけで所作が美しく、優雅に見えます。3拍子で考えるとわかりやすいでしょう。
「1」で素早く頭を下げ
「2、3」でゆっくり戻す
このイメージです。お辞儀に自信のない方は、こうしたタイミングを取る練習をしてみてもいいでしょう。見違えるようになりますよ。
そしてお辞儀の際、身体の前で手を組む場合は、左手を上にして手を重ねます。これは武士が刀を携帯していた時代に、刀を持つ右手を左手で押さえることで「あなたに刀を抜く気はありません」という敵意のなさを示していたことに由来します。
利き手である右手を覆うことで、相手への思いやりをあらわすのです。こうしたことを「一般常識」としてとらえている高齢の方も多くいらっしゃいます。
手の重ね方一つですが、これだけのことでも「きちんとわかっているな」と思ってもらえるならお得ですね。ぜひ「左手が上」を習慣にしてください。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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