こんなときはこう答える! 言葉遣いQ&A その2【第16回】
公開日:2018.01.15 更新日:2023.03.30
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
前回に引き続き、今回は具体的な状況においてどのような言葉遣いが正しいのか、Q&A方式でご紹介します。
Q:1
「言葉遣いが上から目線で、偉そうに聞こえる」と指摘されました。どのような点に注意したらよいですか。
Answer
まずは自分の言葉が丁寧かどうかを見直してみましょう。「記入してください」、「リハビリは10時からです」など、言い切りの表現が多いようなら、「ご記入をお願いしてもいいですか?」、「リハビリは10時からですが、いかがでしょうか」など、疑問形を交えた表現にすることで印象が和らぎます。
言い切りの表現はストレートで内容が簡潔に伝わるというメリットがありますが、多用すると自分の意見を押しつけているように思われがちです。言葉のニュアンスとして相手はどう思うか、相手の意見を求める疑問形を織り交ぜることでかなり印象が違ってくると思います。
また、言葉だけではなく態度も重要です。無意識に腕組みをしたり上半身が反り返っているのかもしれません。背の高い男性なら、特に相手の目線に合わせることを意識してください。
患者さん相手ならなおさら意識しましょう。セラピストにとって患者さんは無条件に立場が上です。「数ある病院・施設の中から選んで来てくださっている」、「仕事をさせてもらっている」という意識を持つこと。そういった感謝の気持ちを少しでも伝えようと思えば、自然と言葉遣いや態度も違ってくるのではないでしょうか。
Q:2
これまで使う習慣のなかったクッション言葉や美化語を身につけるにはどうしたらいいのでしょうか。
Answer
これは練習あるのみです。よく使う言葉については英単語を覚えるように、フレーズで覚えるといいですね。「今週はこのクッション言葉をマスターしよう」と決め、その週はできる限り、その言葉を使ってみましょう。患者さんとのやり取りだけでなく、スタッフ同士や友人・家族との会話でも、すべての会話をフルに使って練習してください。
そのうち、会話の流れの中で使うべきシチュエーションが来たときに「ここだ!」と思えるようになればベスト。そうして一つひとつマスターしていくことで、正しく使える言葉が増えていきます。
また、言葉遣いが丁寧な同僚や先輩が身近にいるなら「今、言葉遣いの練習をしているので、気がついた点があれば指摘していただけませんか?」とお願いしておくといいでしょう。人の言葉遣いについてあれこれ指摘するのは遠慮してしまうものですが、前もって伝えておけば積極的に教えてもらえると思います。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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