セラピストとして、何が必要かどう見られたいか~アクセサリーについて【第28回】
公開日:2019.01.11 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
アクセサリーより、患者さんの安心と安全を第一に考える
当たり前のことですが、職場は仕事をするための場ですから、仕事に支障が出てしまうようなアクセサリーを身につけることは絶対に避けなければなりません。職場は「おしゃれ」をする場ではなく、セラピストに必要なのは患者さんが安心と安全を感じる「身だしなみ」だということをしっかり確認しましょう。たとえば、リング(指輪)。大きなリングや石のついたリングは、施術の際に患者さんの身体に触れて傷つけてしまう可能性があります。結婚指輪は規制なしという医療機関が多いようですが、指輪の着用そのものが院内感染の原因になるとの考え方もあります。また、大きなモチーフや揺れるタイプのイヤリングは、施術中にはずれてしまう可能性がありますし、電話を受ける際邪魔になりますからNG。リングやイヤリング・ピアスをもしつけるなら、院内規則がない場合でも、シンプルな小ぶりなものを一つにしましょう。特に高齢の患者さんには、若い人の感覚を「派手」「恥ずかしい」と感じる方もいます。患者さんが「仕事中なのにゴテゴテと飾って、真剣みが足りない」などと思ってしまうようでは本末転倒。どの世代の患者さんにも安心してもらえるように、常に患者さん目線を意識しましょう。
外見を飾るのではなくセラピストの腕を磨こう
アクセサリーを身につける場合は、まず職場の就業規則を確認しましょう。リングやイヤリング・ピアスは小ぶりのものを1個まで、というように決まっているところが多いと思います。規則がない場合でも、指輪は結婚指輪だけにする、ブレスレットやロングネックレスはNG、イヤリングやピアスは耳に固定されるシンプルなデザインのものを1組、耳たぶの下方につける、などあくまでもシンプルなものにしましょう。大きく広がったピアスホールはもちろん、鼻や唇のピアスは言語道断。アクセサリーのほか、メガネのフレームも黒や茶、紺を基調にしたシンプルなもの、コンタクトレンズをする場合は目の色が自然に見えるものにします。患者さんの中には、腕時計の着用も院内感染の観点から好ましくないと感じる人もいるのです。身だしなみは、患者さんへの思いやり。良し悪しを判断するのは患者さんだということを忘れずに、どの世代の患者さんにも受け入れられるものを選びましょう。選ぶ際の基準は、
1. 清潔感がある
2. 相手に不快感を与えない
3. 仕事がしやすい・動きやすい
の3点。アクセサリーを身につけておしゃれするのは、外見で自己主張したいという気持ちの表れとも言えます。セラピストの皆さんには、セラピストとしての技量で自己主張してほしいと思います。
村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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