病院見学で質問するときのマナー【第65回】
公開日:2022.03.24 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
病院や施設見学に行くと、気になることや疑問に思うことが出てくると思います。普段意識しないかもしれませんが、質問するときにもマナーが大切。今回は、見学先で失礼にならない「正しい質問の仕方」について紹介します。
病院見学中の質問のタイミングと切り出し方
わからないこと、疑問に思うことがあれば、その場で質問するのが一番です。とはいえセラピストの場合、目の前に患者さんやそのご家族がいる臨床の現場を見学することが多いため、質問するタイミングや場所をよく考える必要があります。
患者さんから離れたスペースにいる場合は、挙手するなどして質問したい気持ちを担当者に伝えて、「質問してもよろしいでしょうか」のように切り出すといいでしょう。患者さんやご家族が近くにいる場合は、質問したい内容をメモしておき、現場を離れてから質問するのがベストです。
質問する際は学校名と名前を名乗ってから質問に入り、答えてもらったら必ず「ありがとうございます」とお礼の言葉を伝えましょう。
病院見学で控えたい質問とは?
積極的に質問するのはとてもいいことですが、内容によっては担当者が不快に感じたり失礼になったりする質問もあります。見学中に控えた方がいい質問の具体例を挙げてみます。
1.福利厚生や労働環境に関する質問
給料やボーナスなどの待遇面は一番気になることだと思います。しかし、「定時で帰れますか」「残業や休日出勤はどれくらいありますか」「有給はすぐに使えますか」などの質問は、セラピストの仕事を本気でやりたいと思っているのか、まじめに働く意欲があるのか、疑問に感じることもあるため控えましょう。
2.答えにくい質問
「休職者、離職者はどれくらいいますか」「担当者さんのお給料はどれくらいですか」などの質問は担当者が答えにくいだけでなく、悪い印象を与えかねません。
3. 調べれば分かる質問
病院や部署ごとの理念や基本方針は、誰でもホームページ等で調べることが可能です。それにもかかわらず、「一番力を入れている業務は何ですか」「貴院の特徴を教えてください」などの質問をすると、事前の下調べをしていないことがわかってしまいます。調べればわかることは、可能な限り自分で情報収集しましょう。
一方、積極的に行いたい質問は、見学後の就活に役立ち、担当者に好印象を与えるような質問です。「新人にどのようなことを期待していますか」「入職後のスケジュールを教えてください」など、業務に対する興味や熱意が伝わる質問をすれば、担当者に顔や名前を憶えてもらうことにもつながります。
担当者に「最後になにか質問ありますか?」と質問されたら
担当者は、見学者に施設の方針や治療の目的などを理解してもらえるように、見学スケジュールを組んでいます。病院見学の最後の「なにか質問ありますか?」「わからないことはありませんか」などの質問には、それらが見学者にきちんと伝わったか、理解してもらえたかを確認する意図が含まれています。
すぐに質問を思いつかないという人は、見学中に学んだことを思い出し、「質問ではないのですが、〇〇の治療を間近で見て、もっと勉強したいと思いました」のように、気付いたことや興味を持ったことを伝えてみましょう。
担当者は、見てもらいたい治療についての感想を聞くと、ちゃんと伝わってよかった、と嬉しくなりますし、担当者が気づかない見学者の視点を知ることもできます。「○○が難しくて分かりませんでした」と素直に伝えれば、担当者はもっとわかりやすく説明しようと思うものです。
病院見学の時間はあっという間に終わってしまいます。見学前に、知りたいこと、聞きたいことをあらかじめまとめておくと、突然の質問タイムにも慌てずに対応できます。見学の貴重な時間を有効利用して、将来に活かしてほしいと思います。
>>【全国どこでも電話・メール・WEB相談OK】セラピストの無料転職サポートに申し込む

村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
他の記事も読む
- クレーム報告書の重要性と作成時のポイント【第79回】
- クレーム応対に役立つクッション言葉【第78回】
- クレーム応対で使いたい感謝や共感の言葉【第77回】
- クレーム応対のポイント⑥⑦【第76回】
- クレーム応対のポイント④⑤【第75回】
- クレーム応対のポイント②③【第74回】
- クレーム応対のポイント①【第73回】
- クレームを受けた時に気をつけたい言葉遣いや表現【第72回】
- クレームを受けた時に気を付けたいボディランゲージ【第71回】
- クレームの初期応対の重要性【第70回】
- クレームから患者さんの気持ちを読み解く【第69回】
- 苦手な同僚との付き合い方のコツ【第68回】
- 職場の懇親会マナー(ランチ会・飲み会)【第67回】
- マスク着用時のコミュニケーションのコツ【第66回】
- 報連相ができない原因は?苦手に感じる理由と改善のポイント【第64回】
- 【例文あり】着任挨拶のマナーとポイント(スピーチ・メール)【第63回】
- 仕事を教えてくれない上司や先輩に対して自分ができること【第62回】
- 転職・就活用メールアドレスの決め方は?気をつけたいポイントを紹介【第61回】
- 病院見学の髪型・服装マナーは?スーツ・靴・持ち物にも注意【第60回】
- 【例文あり】病院見学後に送るお礼メールのマナー【第59回】