栄養士の仕事内容は? 勤務先・給料・なる方法も
栄養士は、「食」に関する知識を生かして働きたい方におすすめの職業です。栄養士の職場といえば、給食を提供する学校栄養士が代表的ですが、実はそれ以外にもさまざまな現場で栄養士が活躍しています。
当記事では、栄養士という職業の概要と主な仕事内容、勤務先、平均給料を解説します。栄養士の資格取得を目指している方、あるいは栄養士として就職・転職を希望している方は、ぜひ参考にしてください。
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栄養士とは?
栄養士は、栄養士法という法律に定められた国家資格です。主に健康な方を対象に、栄養指導や献立作成といった食に関する業務を担当するのが、栄養士の役割となっています。
栄養士法は、日本が戦後の食糧難や栄養不足に悩まされていた、1948年に施行されました。栄養士法において、栄養士は次のように定義されています。
(引用:e-Gov法令検索「栄養士法」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000245)
ちなみに栄養士に相当する職業は、栄養士法施行前の大正時代から存在していました。医学博士の佐伯矩は、国民の栄養状態の改善を目指して1924年に「栄養学校」を設立しましたが、その卒業生は「栄養手」と呼ばれ、栄養士の先駆けだとされています。
栄養士と管理栄養士の違い
栄養士と似た国家資格に管理栄養士がありますが、双方にはいくつかの異なる点があります。
まず挙げられるのは、栄養士と管理栄養士では、免許を受ける相手が異なるという点です。栄養士の免許は都道府県知事が認定しますが、管理栄養士の免許は厚生労働大臣から与えられます。
さらに、栄養士は管理栄養士と違って、国家試験を受験する必要がありません。大学や専門学校などの養成施設を卒業すれば栄養士免許を取得できます。
栄養指導や給食管理の対象も異なっており、栄養士の場合は、健康な方を対象に栄養指導や給食の運営を行うのが主な役割です。一方、管理栄養士は健康な方に加えて、病気を患っている方や高齢で食事が取りにくくなっている方への栄養指導、給食管理、栄養管理も行います。
また、さまざまな施設で給食提供を行う際は、栄養士が調理や献立作成などの実務を担当するのに対して、管理栄養士は施設全体の運営管理業務も担当します。
仕事内容・給与相場と資格の取得方法
栄養士の主な仕事内容
私たちが健康的に暮らすには、食と栄養についてきちんと理解することが大事です。それを踏まえるなら、食と栄養のプロフェッショナルとして栄養指導、栄養管理などを行う栄養士は、私たちの健康の維持・増進に欠かせない存在と言えるでしょう。
ここでは、栄養士の主な仕事内容を「栄養指導・栄養管理」「食事の管理・提供」「食育の推進」の3つに分けて、詳しく解説します。
栄養指導・栄養管理
栄養士は、栄養状態の改善や生活習慣病をはじめとする疾病の予防などを目的に、健康な方に対して栄養や食生活のアドバイスを行います。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、年齢・生活習慣によって必要な栄養素や食事内容も異なるため、状況に適した指導が求められます。
食事の管理・提供
調理師などと協力して病院や学校、保育園、介護施設などで食事を提供する仕事です。保育園であれば乳幼児、介護施設であれば高齢者など、施設によって食事を提供する対象者が変わるため、対象者の年齢や状態にあわせた大きさ、やわらかさに配慮するなど、柔軟な対応が求められるでしょう。また、多くの方に食事を提供するため、衛生管理やアレルギー食への対応も必要です。
なお、上記のような施設では、栄養士が献立作成を担うケースも少なくありません。献立作成の際は栄養バランスだけでなく、味や見た目、季節感などにも気を配り、楽しく食べられるように工夫することが大事です。
食育の推進
食育とは、食についての知識や食を選択する力を習得し、健全な食生活を実践できる人間を育成するための取り組みです。栄養士は豊富な知識を生かして、多くの人が食について学ぶ機会を提供し、食育を推進する役割を担っています。例えば、簡単にできる調理体験や野菜の収穫イベントなどもその1つです。
農林水産省では、食育を「生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるもの」と位置づけています。そのため、食育は学校や幼稚園、保育園などで「子どもを対象に行われるもの」というイメージがありますが、栄養士が行う食育の対象は子どもだけとは限りません。自治体が行う広報・調査活動に携わり、幅広い年齢層に向けた食育を行うのも、栄養士の大事な仕事です。
資格の取得方法や将来性も
栄養士の勤務先
栄養士は幅広い分野での活躍が可能です。栄養士が活躍している職場には、次のようなものが挙げられます。
・病院
患者さまへの個別の栄養指導、栄養管理などは管理栄養士が行い、栄養士は主に患者さまへの食事提供を担当します。献立作成から食材の発注、調理まで関わり、食事を通じて療養中の患者さまの健康を支えるのが栄養士の役割となります。
・学校や保育園など
主な仕事は給食の管理と提供で、学校に直接雇用される場合もあれば、給食センターで働くこともあります。給食を提供するにあたっては、子どもの成長を視野に入れた献立作成や、きめ細かなアレルギー対策などが求められるでしょう。小中学校の場合、栄養教諭として勤務し、子どもたちへの食事指導・栄養指導など行うケースもあります。
・介護施設や福祉施設
特別養護老人ホームや障害者支援施設など、介護施設や福祉施設の利用者さまに食事を提供します。そうした施設で働く栄養士は、利用者さまの状態にあわせて流動食対応を行ったり、少量でもしっかり栄養が取れる献立作成を行ったりするなどの配慮が必要です。介護施設や福祉施設では利用者さま一人ひとりの状態を把握する必要があるため、介護スタッフとの協力も欠かせません。
・食堂や寮
主に献立作成や調理指導を担います。企業の食堂の場合、利用する方の年齢層が幅広く、定食方式やカフェテリア方式など料理の提供方法もさまざまです。そのため、幅広いニーズをカバーするとともに、料理の提供方法にあわせた献立作成を行う必要があります。
・飲食店
近年は、外食産業でも健康志向が広がりを見せており、飲食店で健康を意識したメニュー(低カロリーメニュー、減塩メニューなど)の作成を行う栄養士も増えています。メニューに表記する栄養素のチェックや、カロリーの算出なども仕事の一部となるため、栄養士としてのスキルが存分に生かせるでしょう。
・スポーツ関係の施設
栄養とスポーツは深く結びついているため、スポーツクラブやスポーツジムなどは栄養士との相性がよい職場です。この場合、スポーツやダイエットを行う方に栄養面のアドバイスを行い、食事の面から体作りや減量などをサポートするのが主な役割となります。
・行政
主に保健所などで、地域に密着した健康サポートを行います。健康作りの講座・イベントの開催や、栄養相談などを通じて地域住民の健康作りに貢献できるため、大きなやりがいが感じられるでしょう。
・研究機関
栄養士の中には、研究職として大学や企業などに所属する方もいます。このケースでは、食や栄養について研究し、科学的な根拠のある情報を社会に提供するのが主な役割です。また、商品開発に携われる食品メーカーの研究職も、栄養士の就職先として人気があります。
・教育機関
専門知識を生かし、大学の栄養士科などで将来の栄養士・管理栄養士を育成する働き方です。他の職場のように調理や栄養指導を行う仕事ではないものの、多くの人材を世に送り出すことで、国民の健康的な生活に貢献できます。
解決策と転職を成功させる方法も
栄養士の平均年収と勤務形態
厚生労働省の調査によると、栄養士(管理栄養士を含む)の平均年収は約368万円です。
(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html)
大規模な病院や社会福祉施設などではシフト制を取っている場合もありますが、栄養士が働く多くの職場では固定勤務制が採用されています。また、正規雇用の職員・従業員が8割近くを占めており、非正規雇用の大半はパートタイマーとして働いています。働き始めるのに国家資格が必要なため、学生のアルバイトはほとんど見られません。
(出典:日本版O-NET「栄養士」https:/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/171)
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栄養士になるには?
栄養士の免許を取得するには、次のステップが必要です。
・厚生労働大臣が指定する栄養士の養成施設(大学・短期大学・専門学校)を卒業
・都道府県知事に申請を行い、免許を受ける
養成施設に通う年数は大学なら4年、短大は3年、専門学校は2年と違いがあるものの、いずれの施設でも卒業後に取得できる資格は同じです。ただし、実習が重視されるため夜間部や通信教育はなく、昼間部への通学が必須となります。
(出典:一般社団法人 全国栄養士養成施設協会「栄養士になるには」/https://www.eiyo.or.jp/about/howto01.html)
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まとめ
栄養士は、食事の提供や栄養指導などを通じて、多くの人々の健康を守るやりがいのある仕事です。国家資格の取得には2~4年間かかりますが、栄養士の活躍の場は多岐にわたり、比較的働きやすい環境の職場が多くなっています。
栄養士としての就職や転職を目指す場合、独力で自分に合った職場を探すのは意外に難しいものです。マイナビコメディカルでは、キャリアアドバイザーが求職者さまの適性や希望に合った転職先探しを支援しております。提出書類の添削や面接対策などのサポートも行っておりますので、栄養士として転職・就職をご検討の際は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。
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※当記事は2022年4月時点の情報をもとに作成しています
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