薬局で働く管理栄養士の仕事内容|やりがいや平均給料も紹介!
管理栄養士が活躍できる職場は、医療機関や介護福祉施設、学校、保健所など多岐にわたります。そして、近年ではそれらに加えて、薬局・ドラッグストアで働く管理栄養士(薬局管理栄養士)も増えてきました。みなさんのなかにも、薬局への就職・転職を考えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
当記事では、管理栄養士が薬局で求められる理由や、薬局で働く管理栄養士の仕事内容・給与について紹介します。あわせて、管理栄養士として薬局で働く際のやりがいや、薬局管理栄養士のキャリアプランについても解説します。栄養士・管理栄養士の方はぜひご覧ください。
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目次
薬局が管理栄養士を求めるのはなぜ?
管理栄養士は食事と栄養のスペシャリストであり、病院や診療所、学校、行政、福祉施設など、さまざまな職場で活躍しています。最近では、薬局やドラッグストアが管理栄養士を募集するケースも見られるようになり、活躍の場がさらに増えてきました。
では、薬局やドラッグストアは、なぜ管理栄養士を求めるようになったのでしょうか。それには、2016年からスタートした「健康サポート薬局制度」が大きく関係しています。
健康サポート薬局制度とは?
「健康サポート薬局制度」とは、薬局やドラッグストアを「地域住民の健康をサポートする身近な拠点」として位置づける制度のことです。厚生労働省から「健康サポート薬局」の認定を受けた事業者は、お客さまからの健康相談に応じて医療機関を紹介したり、アドバイスを行ったりできます。
(出典:日本薬剤師会「健康サポート薬局について」/https://www.nichiyaku.or.jp/activities/support/about.html)
健康サポート薬局で相談対応を行うのは主に薬剤師ですが、管理栄養士が配置されていれば、食生活などの相談にも対応できます。また、ドラッグストアでは医薬品や化粧品、日用品以外に、健康食品やサプリメントといった商品も販売しています。管理栄養士はそうした商品の摂取についてアドバイスできるので、販促にもつながるでしょう。
健康サポート薬局には健康に関する啓蒙活動も求められますが、管理栄養士がいれば、栄養相談会など食に関するイベントを開催できるようになります。
薬局管理栄養士の仕事内容・役割
薬局管理栄養士には、食事面・栄養面などから地域住民の健康をサポートすることが求められます。ここからは、薬局管理栄養士の主な仕事内容について解説しましょう。
栄養指導・運動指導
薬局で働く管理栄養士の主な仕事として、薬局やドラッグストアに来店したお客さまの健康相談に対応し、適切な個別指導を行うことが挙げられます。その際は、「どのような食事・栄養を心がけるとよいか」「どのような調理法だと効率よく栄養を摂取できるか」など、具体的な回答を心がけることが大切です。
また、食事や栄養についての相談だけでなく、健康の維持・増進につながる運動についてアドバイスを求められることも珍しくありません。管理栄養士の資格に加えて、健康運動指導士などの資格を取得しておくと、仕事の幅が広がるでしょう。
測定サービス
健康サポート薬局制度が始まったことで、店内に無料で利用できる血圧計や体組成計を設置する薬局やドラッグストアが増えました。そうした店舗で働く薬局管理栄養士は、お客さまが測定機器を使用する際のサポートを行ったり、測定結果をもとに健康アドバイスをしたりする業務も担います。
簡易血液検査や口腔内環境チェックなどのサービスを提供している場合は、薬剤師と一緒にそれらの検査を行うことも、薬局管理栄養士の仕事の1つです。
訪問による栄養指導
薬局やドラッグストアへの来店が困難なお客さまには、自宅に訪問して在宅での栄養指導(訪問栄養指導)を行うこともあります。
訪問栄養指導では、食事の内容や量について確認し、より適切で実践しやすい食事の取り方を提案します。訪問栄養指導の主な対象は、寝たきりの方や体が不自由な方など、普通食が取れないお客さまです。それぞれの状況に合った献立や食事方法をアドバイスするのはもちろん、お客さまにとって健康的で楽しい食事になるように、家族や訪問介護員、ケアマネジャーなど、周囲の方たちときちんと連携することを心がけましょう。
栄養関連イベントの企画・開催
薬局やドラッグストアで行われる栄養関連イベントを企画・開催することも、薬局管理栄養士の仕事として挙げられます。管理栄養士だけでなく、薬剤師や他の店員と一緒にイベントをこなすことも少なくありません。イベントの内容は店舗によってさまざまですが、「生活習慣病予防」「ダイエット」「健康診断の結果解説」など、身近な健康問題に関する相談会や講座が代表的です。
子育て世帯が多いエリアでは無料栄養相談や育児相談会を行うなど、お客さまのニーズに合わせたイベントテーマを選ぶことも大切です
接客などの店舗業務
薬局管理栄養士も他の店員と同様に店舗業務を行います。薬局やドラッグストアにおける店舗業務には下記が挙げられます。
■薬局の主な店舗業務
●処方せんの受付業務
●レジ対応
●品出し
●発注業務
●POPの制作
●パンフレットや広告の作成(健康的な料理レシピやおすすめ食品の紹介、イベントの開催案内など)
●事務作業
薬局では、管理栄養士としての仕事以外にも行うべき業務が多数あります。店舗運営に興味のある方や、さまざまな業務に携わりたい方にとって、薬局はおすすめの職場といえるでしょう。
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薬局管理栄養士の1日のスケジュール例
薬局管理栄養士の平均的な1日のスケジュール例を見てみましょう。
8:45~9:00 | 出勤、開局準備 |
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職場に出勤した後は、朝礼を行います。その後情報共有やスケジュール確認をし、開局時間までに準備を終わらせます。 |
↓
9:00~ | 開局、お客さま対応など |
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開局後は、お客さまへの応対(接客・レジ会計)や商品管理、健康食品の提案などを行います。また、メイン業務の合間を縫ってさまざまな事務業務も進めます。 |
↓
12:00~ | 休憩 |
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午前中の業務が一区切りついたら、お昼休憩に入ります。 |
↓
13:00~14:00 | ミーティング |
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薬剤師らとともに定期ミーティングに参加します。定期ミーティングでは、お客さまの情報を共有したり今後の対応について話し合ったりします。 |
↓
14:00~17:00 | お客さま対応、事務業務 |
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午後業務では、来局するお客さまへの応対のほか、栄養相談・生活相談への対応、さらに商品の発注や本部指示事項のメール報告、処方せん入力などの事務業務全般も行います。 |
↓
17:00~18:00 | 閉局準備、終礼、退勤 |
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閉局時間に近づいたら、店内の清掃や売り場補充、在庫管理と価格チェック、レジ清算などを行います。閉局準備が終了したら、全員で終礼をして退勤です。 |
なお、スケジュールや業務内容は職場によって異なるため、上記はあくまで参考としてお考えください。
薬局管理栄養士として働くやりがい
薬局管理栄養士は、地域に住む幅広い年代のお客さまを対象に、専門性を生かしたさまざまな方法で健康面のサポートを行います。日々の業務がそのまま地域貢献につながる点は、薬局管理栄養士として働く際の大きなやりがいになるでしょう。
また、薬局管理栄養士は、「未病」の状態にあるお客さまに栄養指導や運動指導を行って改善を図ることもできるため、「自分の業務がお客さまの健康の維持・増進につながっている」という実感を得やすいでしょう。
薬局管理栄養士の平均給与
収入もやりがいを大きく左右する要素ですが、薬局管理栄養士の平均給与はどのくらいなのでしょうか。
下記は、厚生労働省が実施した賃金構造基本統計調査による「管理栄養士・栄養士」の平均年収と、マイナビコメディカルを含む求人サイトの情報から推算した、一般的な管理栄養士や薬局管理栄養士の平均年収です。
管理栄養士と栄養士の平均年収(※) | 一般的な管理栄養士の平均年収 | 薬局管理栄養士の平均年収 |
---|---|---|
約379万円 | 約350万〜450万円 | 約320万〜390万円 |
(※出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/)
データを見ると、薬局管理栄養士の給与は一般的な管理栄養士と比べてやや低い傾向にあります。しかし、年収は各種手当やキャリアなどで変わるため、経験年数の長い薬局管理栄養士であれば、平均年収を超えるケースも珍しくありません。
事実、薬局管理栄養士の求人には、年収600万円を超えるものも存在します。管理栄養士専門の求人サイトを上手に活用して、自分の希望に合った年収、働き方ができる薬局・ドラッグストアを見つけましょう。
年齢や施設ごとに総まとめ!
職場別の平均給与を公開
薬局管理栄養士のキャリアプラン
管理栄養士が大手チェーンの薬局やドラッグストアに新卒採用で入社した場合、入社後の数年間は店舗で基本業務を行うのが一般的です。
店舗での業務経験を積んだ後は、新人管理栄養士の教育係や、配属部門の責任者を任されることもあるでしょう。また、そこから店舗の責任者である副店長・店長を目指すことも可能です。まずは店舗での基本業務を学びながら、先輩や上司を参考に希望のキャリアパスを考えてみるとよいでしょう。
薬局管理栄養士のキャリアプランは、職場の形態によってさまざまです。就職・転職活動の際は、求人情報や募集先のサイトで「どのようなキャリアを形成できるか」をよく確認してください。
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薬局管理栄養士に役立つ資格
管理栄養士が薬局で働く際に必須となる資格は、管理栄養士の免許以外、特にありません。しかし、高度なスキルを証明できる資格を取得することによって、活躍の幅がより広がり、年収アップも期待できます。
ここからは、薬局管理栄養士に役立つ資格を3つピックアップし、役立つ理由や取得方法とともに紹介します。
登録販売者
登録販売者とは、薬剤師でなくても一般用医薬品(第2類・第3類)を販売できる専門資格です。2006年に行われた薬事法の改正によって誕生しました。
一般用医薬品には、かぜ薬や鎮痛剤など薬局やドラッグストアにおいて特に需要のあるものが含まれます。登録販売者がいれば、薬剤師のいない店舗でもそれらを販売できるようになるため、管理栄養士が登録販売者の資格を取得すれば、より重宝される存在となるでしょう。
■登録販売者の資格を取得するには
●販売従事登録をして一定期間、研修を行う
●実務経験年数などの条件を満たすと、正規の登録販売者になれる
在宅訪問管理栄養士
在宅訪問管理栄養士とは、「在宅療養者のQOL(生活の質)向上に資する栄養食事指導技術を備えた管理栄養士に与えられる資格」です。薬局管理栄養士が、お客さまの自宅を訪問して栄養指導を行う場合に役立つ資格といえるでしょう。
地域包括ケアシステムを推進するために在宅医療が注目されているなか、在宅訪問管理栄養士の資格を有する管理栄養士は、需要の高い人材となっていくことが予想されます。
■在宅訪問管理栄養士の資格を取得するには
●認定試験に合格する
●「在宅訪問栄養食事指導実施・実践症例検討報告レポート」を提出し、認定審査に合格する
なるための条件・将来性
薬剤師
薬剤師は、医薬品全般についての知識を有する「薬のスペシャリスト」です。薬局やドラッグストアのほか、病院などでも活躍できる国家資格であり、管理栄養士と薬剤師のダブルライセンスを取得する方も一定数存在します。
薬剤師の資格をもつ管理栄養士は、調剤業務のほか健康状態や薬物療法を考慮した食事指導も行えるため、幅広い職場で重宝されるでしょう。
■薬剤師の資格を取得するには
●薬剤師国家試験に合格する
薬局管理栄養士に向いている方
薬局管理栄養士に向いている方の特徴として、下記の3つが挙げられます。
●薬と食品の関係について興味がある方
症状の改善や治療のために服用する薬は、食品との組み合わせによってその効果を妨げてしまう可能性があります。こうした薬と食品の関係について興味がある方は、薬局管理栄養士に向いているでしょう。
●接客が好きな方
薬局には、年齢や健康状態の大きく異なるさまざまなお客さまが訪れます。どのような属性のお客さまであってもコミュニケーションに苦手意識がなく、むしろ積極的に接客したいという方は薬局管理栄養士に向いています。
●幅広い業務に挑戦したい方
薬局管理栄養士は管理栄養士としての仕事だけでなく、会計業務や発注業務、品出しなど食と関係のない業務も多く担います。管理栄養士の枠にとらわれず、幅広い仕事にチャレンジしたい方であれば、1つひとつの経験に大きなやりがいを感じられるでしょう。
まとめ
「健康サポート薬局制度」の施行などにより、薬局管理栄養士のニーズが増加しています。薬局管理栄養士は、地域に住む人々の健康を未病段階からサポートしたり、育児や介護の悩みを解決に導いたりと、非常にやりがいの多い仕事です。さまざまなキャリアプランが考えられるため、自分に合う働き方がきっと見つかるでしょう。
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※当記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています
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