エレベーター内のマナー 乗り降りの際は挨拶と会釈を忘れずに【第32回】
公開日:2019.05.06 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
エレベーター内では仕事の話は厳禁~基本的に会話は控える
院内のエレベーターには、職員だけでなく患者さんや出入りの業者さんなど様々な人が乗ります。エレベーターは密室なだけに、マナー違反があればクレームに直結する場でもあります。エレベーターのマナーで大切な乗り降りの順番等は次回以降で取り上げることにして、今回はそれ以外のマナーについて考えてみます。
急いでエレベーターに駆け込み、間に合ってホッ。顔見知りのスタッフが先に乗っていたので、大きな声で「久しぶり~」と声を掛け合う……こんな経験、誰にでもありますよね。プライベートなら許されるこのような状況も、院内では要注意。誰が見ているか分かりませんから、細心の配慮が欠かせません。院内でエレベーターに乗る際は、私語に限らず会話は控えます。仕事の話、特に患者さんの名前や治療に関する話題はNG。個人情報漏えいの恐れもあるため、エレベーター内で仕事の話をするのは厳禁と心得ましょう。
では、仕事の話以外なら話してもいいのか?というと、それも考えもの。黙っていることに気詰まりを覚える人もいるかもしれませんが、日本ではエレベーター内ではあまり会話をしないのがマナーと言われています。とはいえ、無言でいればいいというわけでもありません。先に乗っている人に挨拶や会釈をしてから乗り込めば、場の雰囲気が悪くなることもないでしょう。
降りるときも、「お先に失礼します」などと声を掛けたり会釈をしたりすれば、礼儀正しい印象が残ります。知り合いと二人きりの場合は会話しても構いませんが、夢中になって話し込むと状況判断ができなくなる恐れがあります。誰かが乗り合わせたらすぐに会話を止めるなど、常に周囲を意識しましょう。
操作盤の前に立ち「相手の役に立つにはどうすればいいか」を考える
患者さんやそのご家族、また出入りの業者さんなどは、職員にとってはいわばお客様=目上の人です。目上の人とエレベーターに一緒に乗ったら、すばやく操作盤の前に立って「何階ですか?」と目的の階数を聞いたり、ドアの開閉操作をしましょう。
エレベーター内の席次は、操作盤が一か所の場合、操作盤の前が下座です。西洋では右上位の考え方があり、左右両方に操作盤がある場合は、エレベーター内から見て左の操作盤の前が下座になります。
操作パネルの位置に関係なく、最上位の人はエレベーター内から見て右奥(外から見ると左奥)に位置します。目上の人や上長、取引先の人と一緒にエレベーターに乗るとき、 目下の人は下座である操作盤の前に立ち、ボタンを操作する役割があります。誰かが降りるときには、ドアを手で押さえたり、開閉ボタンを押したりしましょう。
到着後は、目上の人が降りるのを待ち、自分は最後に降ります。自分が先にエレベーターを降りる場合は、「失礼します」と声をかけて降ります。自分以外に降りる人がいないとわかっている場合には、エレベーターを出る際に「閉じる」のボタンを押しても良いですね。
混雑している場合もあるため、その時々で臨機応変に判断することが大切ですが、常に意識してほしいのは「相手の役に立つにはどうすればいいか」考えること。エレベーターも「院内」ですから、職員にとっては勝手知ったる我が家=ホームです。アウェイの患者さんや外部の人がエレベーターから降りた後も安心して移動できるよう、気配りが欠かせません。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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