地域が求める理学療法士に! 地域包括ケアシステム参入へのススメ
公開日:2015.07.20 更新日:2015.07.27
高齢者が可能な限り住み慣れた地域で暮らし続けることを目的とする「地域包括ケアシステム」。厚生労働省が2025年を目途に進めている取り組みであり、今後の展開として地域に密着した介護施設の設置や、生活支援サービスの充実などが進められる予定です。介護現場で働く理学療法士が増えるなか、地域においてもさらにその必要性が高まることでしょう。地域貢献につながる活躍の場として、これから進むべき理学療法士のあり方を考えてみます。
地域包括ケアシステムでの理学療法士の役割
地域包括ケアシステムは、5つの構成要素と、4つの取り組みから成り立っています。「介護」「医療」「予防」と、その3点を支える「住まい」と「生活支援・福祉サービス」を合わせた5つの要素。そして「自助」「互助」「共助」「公助」という4つの取り組みです。
地域の包括的な支援に深く関わることで、理学療法士の専門性が生かせる機会は多くあります。これまでの支援領域を超えて、住居に関するアドバイスやセルフケア情報の提供など、地域住民に向けたさまざまな支援が行えるようになるでしょう。限られた回数でのリハビリ支援だけでなく、理学療法士の視点で日常生活をサポートできるのです。
5つの構成要素のうち「介護・医療・予防」でのやりがい
5つの構成要素のなかで、生活の基盤となるのが「住まい」と「生活支援」。その基盤を成り立たせるのは、「本人・家族の選択と心構え」です。健康寿命を延ばし、住み慣れた地域で暮らしていきたいという高齢者の思いを根底として、さまざまな福祉サービスが展開されます。
そうした条件のなかで理学療法士が担う役割は、なんといっても高齢者の生活機能改善にあります。住み慣れた家でいつまでも生活したいと考える高齢者を支えるには、在宅医療と介護の連携は必須です。心身機能の評価はもちろん、動作分析から対象者の運動能力を把握し、高齢者が望む目標実現に向けて対策を行います。
また、家屋評価(段差の有無、生活動線の把握など)、住宅改修(手すりの取り付け、段差解消など)に関わることで、住居をより安全に住みやすくする手助けも可能です。運動機能にトラブルを抱える高齢者の負担を軽減し、在宅生活復帰を支えるのが理学療法士の務め。地域の患者層に対する支援だけでなく、個別の介護指導を行うことで、介護現場の職員や在宅介護に励む家族のサポートにもつながります。
「自助・互助・共助・公助」のなかでのやりがい
4つの考え方において、特に積極的に取り組みたいのが「自助」へのサポートです。多くの理学療法士にとって課題となるのが、「高齢者が生きがいを持ち、機能改善に向けて自ら積極的に取り組んでもらうにはどうすればよいか」という点ではないでしょうか?
「自分のことを自分でする(自助)」という喜びを感じるためにも、理学療法士によるポジティブな取り組みが必要です。本当は自力で動ける状態でも、周囲が危険と判断し過介助を行ってしまえば、高齢者の自発的な行動を制限してしまうことになります。まずは、高齢者本人に機能改善の見込みがあることを理解してもらい、生活の質を高めるためにも身体機能の維持が必要であることを伝えましょう。理学療法の知識をいかし、自宅でできるかるい運動やリハビリ体操を周知することで、運動習慣作りにも役立ちます。体が動きやすくなり、日常生活で受ける身体への負担が軽減されていくうちに、自助努力も高まってくることでしょう。
こうした取り組みも、「できることを伸ばし、増やす」という理学療法士の考え方があるからこそ。高齢者自身の生きる力を支えるためにも、理学療法士の考え方を家族や提携する施設の職員にも広めていきましょう。
理学療法士の専門性が生かせる地域づくりに
地域包括ケアシステムの構築が進むなか、ただ待っていても活躍の場はつくれません。理学療法士の専門性を理解してもらうことが、地域貢献の第一歩といえます。医療費の更なる増加を受けて、ますます予防に対する施策は進むでしょう。自助努力、自立支援、予後予測が得意な理学療法士だからこそ、果たせる役割はまだまだありそうです。
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