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フレイルとは?定義からわかる予防・対策のコツ【チェックリストあり】

公開日:2021.04.08 更新日:2021.06.17

フレイルとは?定義からわかる予防・対策のコツ【チェックリストあり】

新型コロナウイルス感染症による自粛生活が長期化するなかで、要介護の一歩手前の「フレイル(虚弱)」と呼ばれる状態に陥ることが懸念されています。

フレイルは高齢者の身体機能や認知機能が低下して起きますが、早期発見によって予防・改善が可能です。リハビリテーションの専門家として正しい知識を身につけ、現場でのアプローチに活かしていきましょう。

文:新家 尚子
東京都言語聴覚士会 理事 保険局局長

フレイルとは?意味と定義をわかりやすく解説

「フレイル」とは、高齢者に多く認められる老年症候群のひとつです。

  • <代表的なフレイルの症状>
  • ・加齢に伴って、疲れやすくなった
  • ・動いたり外出したりすることが億劫
  • ・食欲がなく痩せてきた

こういったことは少なからず誰もが感じることですが、これらの症状に対して2014年に日本老年医学会が「フレイル」という用語を提唱しました。

「加齢に伴う様々な機能変化や予備能力低下によって健康障害に対する脆弱性が増加した状態 」と定義されており、高齢期における健康な状態と要介護状態の中間的な段階ととらえられています。
(参考:『フレイルの意義』荒井秀典 日本老年医学会雑誌 51巻6号2014年)

要介護状態に進む前に早期に発見し、適切な治療や介入をすることで、生活機能の維持・改善を図ることが可能であり、フレイル予防はより早い段階からの介護予防につながります。

「元気に自立して日常生活を送ることができる期間=健康寿命」を延ばすためにも「健康な人はフレイルにならないように」「フレイル状態の人は健康な状態に戻るように」アプローチすることが大切です。

フレイル予防はより早い段階からの介護予防につながる

「フレイル」と「サルコペニア」「ロコモ」の違い・共通点

フレイルと似た言葉として、「サルコペニア」や「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」が挙げられます。

いずれもフレイルと同じく要介護の危険因子ですが、それぞれ概念が異なります。

サルコペニア

加齢や疾患により「筋肉量が減少」し、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下」が起こった状態です。筋量低下に伴う身体機能の低下が見られる病態を指します。

<サルコペニアのおもな例>
・ペットボトルのふたがなかなか開けられない
・歩くスピードが遅くなる
・移動に杖や手すりが必要になる など

ロコモティブシンドローム

運動器の障害のために「移動機能の低下」をきたした状態です。

筋肉や骨、関節などの運動器の機能が衰えて、立ったり歩いたりすることが困難になり、介護が必要な状態、あるいは要介護になりやすい状態を指します。

フレイル

そして「フレイル」は、サルコペニアやロコモティブシンドロームなどの「身体的要素」に加えて、うつや認知症など「精神的要素」、孤独や閉じこもり、経済的困窮などの「社会的要素」という3つの要素で構成されます。

サルコペニアやロコモティブシンドロームは、フレイルに含まれる身体的要素であり、それだけではフレイルの正しい評価はできません。

サルコペニア・ロコモとフレイルは密接に関係している

フレイルの早期発見・進行予防のためには、これら3つの側面から総合的に対応する必要があります。

フレイルのきっかけは加齢に伴う身体の衰えですので、誰もがフレイルになるリスクを持っているのです。

①加齢などにより筋力や筋肉量が減少。活動量が減り、エネルギー消費量が低下する
②その状態では食欲が湧かないので食事の摂取量が減り、タンパク質をはじめとした栄養の摂取不足による低栄養の状態となる
③低栄養の状態が続くと体重が減少し、筋力や筋肉量が減少する

こうした悪循環を「フレイル・サイクル」と呼び、放置すれば健康長寿がどんどん奪われていきます。転倒や骨折、あるいは慢性疾患の悪化をきっかけとして要介護状態になるケースも少なくありません。

フレイルサイクル

出典:国立長寿医療研究センター「フレイルサイクル」より

フレイルの評価基準は?まずはチェックリストからはじめよう

フレイルの評価としては、FriedらのCHS基準 (Cardiovascular Health Study基準)が国際的に多く用いられています。Friedらは、フレイルの診断基準として、次の5つの徴候を挙げています。

<フレイルチェックリスト>
1.体重減少
2.倦怠感(疲れやすさ)
3.活動性低下
4.筋力低下
5.歩行速度低下

これらの3項目以上に該当する場合は「フレイル」、1~2項目に該当する場合は、「プレフレイル(フレイル予備軍)」と分類されます。

「国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター フレイル研究部 フレイル予防医学研究室」では、これをもとに日本人高齢者に合ったフレイル評価(J-CHS基準)指標を作成。

基本チェックリスト「厚生労働省が介護予防のために作成した25項目の質問票」を取り入れた日本版CHS基準(J-CHS基準)が、身体的フレイルの代表的な診断法として位置づけられています。

国立長寿医療研究センター「日本版CHS基準(J-CHS基準)によるフレイル評価」

出典:国立長寿医療研究センター「日本版CHS基準(J-CHS基準)によるフレイル評価」より

ちなみに、横断歩道の信号スピードは1.0m/秒です。信号を渡り切れなければ、フレイルの前兆かもしれません。

フレイルの予防・対策に不可欠な3つのアプローチ

前述したように、フレイルの進行には複数の要素が関わっています。フレイルを予防するためには、次の3側面からのアプローチが求められます。

<フレイル予防のための3つのアプローチ>
・栄養(食/口腔機能)
・身体活動
・社会参加

この3つは健康長寿に欠かせない3つの柱で、お互いに影響しあっているため、どれか1つだけで予防対策として働くわけではありません。

まずは、バランスよくしっかり噛んで美味しく栄養を摂り、身体の衰えを防ぐこと。そして、適度に運動して趣味を楽しむこと、社会との関わりを持ち続けることが、フレイル・サイクルに陥ることを防ぎます。

特に、社会とのつながりを失うことがフレイルの入り口と言われています。社会参加の場がなくなると、あらゆる意欲が失われ、身体の衰えを招きやすくなります。

フレイル・ドミノ
出典:東京大学高齢社会総合研究機構・飯島勝矢「フレイル予防ハンドブック」から引用

フレイル予防は「栄養・身体活動・社会参加の3つの柱」を基本にを考えてみましょう。人と会うことが億劫になったり、以前やっていたことが面倒になってきたりしたら、フレイルの危険サインかもしれません。

栄養面については言語聴覚士が、身体活動については理学療法士が、社会参加については作業療法士が、それぞれ得意とする分野ではないでしょうか。

私たちセラピストには「それぞれの専門分野でフレイルの危険サインをいち早く察知し、改善につなげていくこと」が求められています。

高齢者はフレイルが起こりやすい!ウィズ・コロナ時代のフレイル対策を

新型コロナウイルス感染症の蔓延による自粛生活は1年にもわたっており、これから先もコロナとともに生活を送る「ウィズ・コロナ」の時代が続きます。これまで当たり前だったことは、これからの当たり前ではなくなってしまいました。

心身の健康を維持することが容易ではない世の中ですが、人と人とのつながりを大切にし、健康で安全な生活を送ることは、高齢者のみならずあらゆる年代の課題です。

「フレイル/介護予防」と「感染拡大予防」を両立する様々な取り組みが、各団体や自治体で行われています。地域での取り組みを知ることが、地域リハビリテーションに携わる第一歩です。

セラピストの皆さんは「社会とのつながり」の一翼を担っています。現場でも地域でも活躍できるセラピストが、今後ますます必要とされていくのではないでしょうか。

【関連記事】
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オーラルフレイルの予防方法は?チェックリストと評価で事前の対策を
介護老人保健施設のセラピスト密着レポート

【参考】
在宅療養普及啓発冊子「住み慣れた街でいつまでも」(シリーズ全5作) 東京都福祉保健局
東京都介護予防・フレイル予防ポータル
国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター

著者プロフィール
新家 尚子
東京都言語聴覚士会 理事 保険局局長
大学を卒業後一般の企業で5年間社会人を経験した後専門学校に入学。卒業後は急性期、回復期病院への勤務を経て、現在は訪問看護ステーションに勤務。

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