スポーツトレーナーとは?仕事内容や向いている人の特徴を解説
公開日:2022.09.12 更新日:2023.05.23
理学療法士は医療分野だけでなく、スポーツ分野においても、その知識とスキルを活かして働くことが可能です。スポーツトレーナーとして活躍している理学療法士も多く、体や運動の専門家として、プロスポーツ選手や地域のスポーツチームなどに関わります。では、実際に、スポーツトレーナーとはどのような職業なのでしょうか。今回はスポーツトレーナーについて、その特徴や仕事内容、なるための方法などをお伝えします。
目次
スポーツトレーナーとは?
スポーツトレーナーとは、アスリートをはじめとしたスポーツを行う人が、競技において最良のパフォーマンスを発揮できるよう、怪我の予防やコンディショニング、トレーニング指導を行う人のことをいいます。選手の健康管理はもちろん、怪我から復帰するためのリハビリや栄養指導、メンタルケアなどもスポーツトレーナーの役割です。プロリーグや実業団レベルのチームと契約して選手をサポートするほかにも、フィットネスクラブや地域のスポーツチーム、学校の部活動での指導など、さまざまなスポーツシーンにおいて、スポーツトレーナーが幅広く活躍しています。
スポーツトレーナーの仕事内容
続いて、スポーツトレーナーの仕事内容について見てみましょう。
運動スキル・パフォーマンスを高めるトレーニング指導
指導対象者が、競技において良いパフォーマンスを発揮できるよう、運動スキル向上を目標としたトレーニングメニューを作成し、計画に沿って指導します。個々の特性や、各スポーツの競技特性を踏まえ、柔軟性を高めたり、筋力をアップしたり、フォームを矯正したりと、必要な能力の向上をサポートします。
怪我の予防と応急処置
怪我を予防するためのマッサージや、怪我後の対応を行うこともスポーツトレーナーの仕事です。競技中に怪我をした際には、アイシングやテーピングなどで応急処置を施し、必要に応じて医療機関の受診を促します。ただし、緊急時の怪我の治療について、その内容や範囲によっては、医師以外では柔道整復師や鍼灸師などの国家資格を取得しておく必要があります。
競技復帰に向けたリハビリ
怪我をした選手が競技復帰できるようにリハビリを行います。患部の回復具合に合わせてトレーニングの強度を上げていき、元のパフォーマンスを発揮できるようにサポートしていきます。選手の体だけでなく、メンタル面をサポートすることもスポーツトレーナーの重要な役割です。ただし、治療としてのリハビリを提供する場合、理学療法士や作業療法士の資格を有し、医師の指示の元で行う必要があります。
スポーツトレーナーの種類
スポーツトレーナーは、活躍する場所や対象者の違いによって、いくつかの種類に分けられます。主なスポーツトレーナーの種類についてみていきましょう。
アスレチックトレーナー
アスレチックトレーナーは、怪我の応急処置や予防指導、怪我からの復帰サポートを行うのが主な役割です。スポーツチームに帯同し、選手の健康管理やコンディショニングなども行います。柔道整復師や鍼灸師など、治療に関われる医療系の国家資格を取得しておくと有利です。
メディカルトレーナー
メディカルトレーナーは、主に病院や整形外科クリニックなどに勤務し、怪我をしたあとの復帰サポートを行います。理学療法士や柔道整復師などの医療系国家資格を有しているケースがほとんどです。アスレチックトレーナーがスポーツ現場でサポートするのに対し、メディカルトレーナーは医療機関に所属して、アスリートだけでなくスポーツをする一般の人も対象に医学的なサポートをするのが特徴です。
ストレングストレーナー
ストレングストレーナー(ストレングスコーチ)は、選手の身体的な強みや体力を向上させるトレーニングに特化したトレーナーのことをいいます。ストレングスには「強さ」という意味があり、主に選手の強化を目的にトレーニングメニューの作成や指導などを行います。
フィットネストレーナー
フィットネスクラブやスポーツジムなどで、一般の方向けに運動やトレーニング指導を行うのがフィットネストレーナーです。対象者は幅広く、スポーツ愛好家から運動があまり得意ではない人、子どもから高齢者まで年齢に合わせた指導を行います。
コンディショニングトレーナー
コンディショニングトレーナーは、試合や練習の前後で選手のコンディションを整え、より良いパフォーマンスを発揮できるようサポートするトレーナーです。試合や大会の日にベストコンディションとなるよう、トレーニングの計画を立てたり、疲労回復メニューを組んだりするのが主な役割です。
スポーツトレーナーになるには?
スポーツトレーナーは、必ずしも資格が必要とされるわけではありません。ですが、選手の体を管理したり、トレーニングメニューを立てたりするうえで、身体的な知識や医学的な知識は必須といえます。そのため、活躍しているスポーツトレーナーは、トレーナーの資格や理学療法士、柔道整復師などの資格を持っていることがほとんどです。また、プロスポーツなどレベルの高い領域では、資格だけではなく、トレーナーとしての経験や実績などが求められるでしょう。
スポーツトレーナーに向いている人
スポーツトレーナーは、対象者のパフォーマンス向上、怪我の予防に尽くしていかなければなりません。そのため、対象者やチームのことを最優先に考え、他人のために尽くすことができる人が向いているといえます。また、自分にスポーツ経験があれば選手の気持ちを理解しやすいこともあり、指導にも役立つことが多いでしょう。
もし、スポーツ経験がなかったとしても、スポーツが好きで向上心のある人、人から信頼される頼り甲斐のある人なども、スポーツトレーナーに向いているでしょう。
スポーツトレーナーの給料事情
公益財団法人日本スポーツ協会がスポーツトレーナーの一種であるAT(アスレティックトレーナー)資格保有者を対象として行った調査によると、約40%のトレーナーが年収100万円以下とされています。日本人の平均年収に相当する年収401万〜500万円に該当する割合は、全体の約7%となっており、スポーツトレーナーだけで生計を立てるのは少々難しいかもしれません。
多くのトレーナーが他の仕事と掛け持ちしながら、週末や夜にトレーナー活動を行うなどして、副収入を得ているのが現状ではないでしょうか。しかし、なかには年収1,000万円以上のトレーナーもおり、働き方によっては高収入を得られる可能性も秘めています。
スポーツ分野に特化して働きたいのならスポーツトレーナーがオススメ
スポーツトレーナーは、スポーツ分野に特化した仕事ができるのが一番の魅力です。スポーツ選手のサポートに関わりたい、スポーツ分野でスキルを活かして活躍したいと考えている人にとっては、スポーツトレーナーはまさに天職といえるでしょう。
実績や人脈によってはプロ選手と関わったり、高収入が得られたりするかもしれません。自分の将来のビジョンと照らし合わせて、スポーツ分野で活躍したいと考えるなら、必要な知識を身につけながら、スポーツトレーナーとしての働き方に挑戦してみてはいかがでしょうか。
関連記事
>>スポーツトレーナーになるには資格が必要?関連する国家資格一覧を紹介
参考
第一回日本のトレーナー実態調査|公益財団法人日本スポーツ協会
rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
他の記事も読む
- スポーツトレーナーで年収1000万円は可能?働き方や必要な条件などについて解説
- 退院時リハビリテーション指導料とは?算定ポイントと実際の指導内容を紹介
- スポーツトレーナーにはどんな種類がある?仕事や資格の違いなどについて解説
- 医療・介護現場でよく耳にする「見当識」とは?見当識障害の症状や適切な関わり方について解説
- 理学療法士のセカンドキャリアには、どんな働き方があるのか?
- 椎間板ヘルニアでやってはいけないことは?悪化させないための予防法についても解説
- 坐骨神経痛でやってはいけないこととは?痛みの原因となる疾患やストレッチ方法も紹介
- リハビリ助手はきつい?仕事内容や向いている人などについて解説
- 理学療法士になるには最短何年かかる?資格取得までの流れを解説
- 言語聴覚士の国家試験の合格率はなぜ低い?受験難易度や試験内容について解説
- 疾患別リハビリテーション料とは?算定要件や施設基準などについて解説
- 作業療法士の離職率は高い?よくある退職理由や長期的に働ける職場を見つけるコツを解説
- 寝たきりで起こる筋力低下に対するリハビリ方法を解説
- 作業療法士の有名な先生はどこで探せばいい?認定制度や研修についても解説
- 気胸の原因とリハビリの重要性とは?禁忌事項も合わせて解説!
- 福祉住環境コーディネーターの合格率は?難易度や試験の概要も解説
- 自費リハビリは違法?正しい選び方や料金や効果について解説
- リハビリ職が副業をするメリット・デメリットは?おすすめの副業5選を紹介
- 理学療法士は生活できない?そういわれる理由と解決策について解説
- 小児領域の言語聴覚士になるには?役割や仕事内容、需要について解説