バーセルインデックスとは?セラピストが理解しておきたい特徴や評価項目について解説
公開日:2023.03.10 更新日:2023.05.19
病院や介護現場では、日々のリハビリを通じて、患者さんの日常生活動作を評価するスキルが求められます。日常生活動作の評価バッテリーは多々存在しますが、その1つが「バーセルインデックス(Barthel Index)」です。
バーセルインデックスは比較的簡単に点数化できるため、広く用いられており、実際に活用しているセラピストも多いのではないでしょうか。
今回は、「バーセルインデックス」の特徴や評価項目について、詳しく解説します。
バーセルインデックスとは
バーセルインデックスとは、「食事」「移乗」「整容」「トイレ動作」「入浴」「歩行」「階段昇降」「着替え」「排便コントロール」「排尿コントロール」という10項目の日常生活動作の能力を点数化する評価方法を指します。
リハビリだけでなく、看護や介護の場で活用されており、広く認知されている評価方法です。
最近では介護報酬のADL維持等加算や個別機能訓練加算などを算定するための評価方法として用いられており、今後もさまざまな場面で活用されていくことが予想されます。
バーセルインデックスのメリット
バーゼルインデックスには以下のようなメリットがあります。
・世界共通の評価基準である
・ 一目で自立度がわかる
細かい検査は必要なく、簡単に実施可能で、結果もわかりやすいということが特徴です。
バーセルインデックスのデメリット
一方、簡易的な評価なので以下のようなデメリットもあります。
・変化を捉えにくい
・具体的な動作と異なることもある
バーセルインデックスは他の日常生活検査と比べ、大まかにしか評価できないため、より細かな状態把握には向かないのがデメリットと言えるでしょう。
バーセルインデックスの評価10項目について
では、実際にバーセルインデックスを活用するために、評価10項目における、採点方法と簡単な特徴について確認しておきましょう。
1.食事
10点:自立(自助具などの装着可、標準的時間内に食べ終わる)
5点:部分介助(おかずを刻んでもらうなど)
0点:全介助
誰の手も借りずに食事ができれば10点ですが、時間がかかり過ぎてしまうと、部分介助とみなされます。
2.移乗
15点:自立(ブレーキ、フットレストの操作も含む)
10点:軽度の部分介助または監視を要する
5点:座ることは可能であるが、ほぼ全介助
0点:全介助または不可能
移乗は車椅子からベッドに移るまでを評価します。ベッド上での寝返りや起き上がりも動作に含まれます。
3.整容
5点:自立(洗面、整髪、歯磨き、髭剃りなど)
0点:部分介助または不可能
整容は多くの動作が含まれますが全て自立していることが5点の要件となります。
4.トイレ動作
10点:自立(衣服の操作、後始末も含む)/ポータブル便器などを使用している場合はその洗浄も含む
5点:部分介助/身体を支える、衣服・後始末に介助を要する
0点:全介助または不可能
衣服の上げ下ろし、清拭など誰の手も借りずにできることが10点の要件となります。
5.入浴
5点:自立(シャワーのみも含む)
0点:部分介助または不可能
入浴は日常生活の中でも難易度の高い動作です。洗体、浴槽に入るといった動作全てが自分でできれば自立とみなされます。
6.歩行
15点:45m以上の歩行が可能/補助具(車椅子、歩行器は除く)の使用の有無は問わない
10点:45m以上の介助歩行が可能(歩行器使用を含む)
5点:歩行不能の場合、車椅子45m以上の操作可能
0点:上記以外
装具や杖を使用していても45m以上の歩行ができれば15点とみなされます。ただし、車輪付きの歩行器の場合は部分介助となり、10点となります。
7.階段昇降
10点:自立(手すりや杖の使用の有無は問わない)
5点:介助または見守りを要する
0点:不能
階段の段数は問われません。自分1人で登り降りできれば10点とみなされます。
8.着替え
10点:自立(靴、ファスナー、装具の着脱を含む)
5点:部分介助(標準的な時間内、半分以上は自分で行える)
0点:上記以外
上衣、下衣、下着、コルセットの着脱など、全ての着替え動作が1人で可能であれば自立とみなされます。
9.排便コントロール
10点:失禁なし/浣腸、座薬の取り扱いも可能
5点:時に失禁あり/浣腸、座薬の取り扱いに介助を要する場合も含む
0点:上記以外
便秘で看護師や介護士に浣腸を手伝ってもらう場合は部分介助となり、5点とみなされます。
10.排尿コントロール
10点:失禁なし(尿器の取り扱いも可能)
5点:時に失禁あり(尿器の取り扱いに介助を要する者も含む)
0点:上記以外
常時オムツ着用の場合は全介助とみなされ、0点となります。
バーセルインデックスを活用し日常生活を評価しよう
バーセルインデックスは、リハビリに関わるセラピストがよく使用する評価スケールですが、介護や看護の分野でも活用されています。評価は簡便で、道具も必要ないため、すぐに実施可能ですが、より細かな状態の把握はできないといった特徴があります。正しく理解したうえで、状況に合わせて、患者さんの日常生活評価に役立てましょう。
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バーセルインデックスを用いたADL評価の注意ポイント
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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