訪問リハビリだからこそできる家族ケアの重要性
公開日:2015.03.23 更新日:2015.03.30
訪問リハビリでは患者さんのみならず、その家族と接する機会が多くなります。在宅で患者さんを介護する家族は、相談相手がいないので思い詰めてしまうことも。訪問リハビリでは、そういった家族の不安をケアすることも重要な仕事の一つです。今回の記事では、訪問リハビリにおける家族支援の重要性とポイントを紹介します。
訪問リハビリだからこそ可能な家族との関わり
患者さんとその家族が同居している場合、家族は何らかの悩みを抱えていることが予想されます。介護者が困っていることの主な例としては、「介護がいつまで続くかわからないことへの精神負担」「介護による肉体負担」などが挙げられます。このことからも、介護を自宅で行う家族への精神的支援の重要性がうかがえます。また、介護に対して真剣であるからこそ、介護者は状況を客観的にみることができず、負担を感じてしまうことも多いようです。
最近では、訪問リハビリが介護負担感に与える影響も研究されていて、訪問リハビリを導入したことで、介護者の介護に対する否定的な感情が軽減されることが確認されています。例えば、専門職による介護方法の指導やアドバイスなどが不安の解消につながることから、定期的な介入が安心感を与えるようです。
訪問リハビリによって介護負担感が減少
ここで注目すべきことは、介護負担感のなかでもpersonal strain(以下PS)と呼ばれる「介護そのものから生じる負担」の減少に訪問リハビリが大きく貢献した、ということです。介護負担感を評価する方法として、もっとも有名なアンケート法であるZaritの「介護負担感尺度」には、下位尺度としては先述のPSのほかに、介護を始めたことにより、今までの生活ができなくなったことから生じるrole strain(以下RS)があります。
訪問リハビリの導入によりPSが減少したのは、専門家が定期的に訪ねてくる安心感や介護方法のアドバイス、障害や認知症などに関する正しい知識の伝達によって、介護に対する不安が減少したためと考えることができるでしょう。
今後、RSの低下を目指すには、介護者がある程度、要介護者から離れる時間を持つことが必要になります。そのためには、リハビリを担当するセラピストが患者さんの自立を支援すること、必要に応じて通所系サービスなどの移行などに介入することが必要となります。
また、生活空間に対するアドバイスができるのも訪問リハビリならではの利点です。例えば、手すりなどを設置することによって、患者さんは自立して行動できる範囲が増えます。専門家ならではの視点で、住環境に潜む危険を事前に発見することによって、介護者の負担は軽減されます。
家族支援のポイント
上記を実際に行うには、前提として訪問先の現状を把握し、信頼関係を構築したうえで、家族の支援を行うという意識を持つことが必要になるでしょう。そのためのポイントを4つピックアップして紹介します。
アセスメント(生活環境・状況の把握)
訪問リハビリを開始したら、患者さんとその家族からの情報収集によって、家族の介護力、家族の介護負担と介護意欲、現在の介護状況における危険性、家族内の人間関係などを徐々にアセスメントしていきます。
家族との関係構築
必要に応じて家族とのコミュニケーションをとるようにして、関係構築を図ります。
家族が何でも質問したり、時には介護における感情の動きなどについても話したりできるように、疑問の有無を尋ねたり、落ち着いて話をする機会をつくるなどのことを心がけます。
介護技術の指導
介護技術の指導が介護負担感の減少につながることは、すでに説明しましたが、家族が困難を訴えてきて指導の必要性が顕著なときは、タイミングをみて指導するようにしましょう。そして家族の知識、学習能力、意欲に合わせた指導を行うことも重要なポイントです。実際に家族が行ったことに関しては、なるべく肯定的なフィードバックをして励ましましょう。
生活スタイルの維持
旅行や子どもの学校行事など、家族が今まで参加してきたイベントや生活習慣が、できる限り維持されるように勧めることは肝要です。家族のそれぞれが、気分転換や自己実現を追求できるように支援しましょう。
家族ケアは介護の分野では常に注目されてきましたが、リハビリの分野でもこれから重要になってくるテーマです。訪問リハビリを行っている方は、ぜひ家庭全体を見ることを心がけてみてください。
【参考URL】
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