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フットケア指導士とは?資格取得者のセラピストが解説

公開日:2023.10.16 更新日:2024.01.11

フットケア指導士とは? 資格取得者のセラピストが解説

文:ひがし(理学療法士)

担当の患者さんや利用者さんの「足」をじっと見たことはあるでしょうか。高齢になると、体が硬くなり、目もよく見えず、自分で足の爪を切れなくなったり、足の異変に気づきにくくなったりします。
病気やケガによって引き起こされる足の問題は、取り返しのつかない結果につながることもあり、糖尿病の場合、小さな足の傷が下肢切断の危機に陥ったり、命取りになったりすることも少なくありません。
こうした背景から、フットケアへの関心が高まっています。セラピストにとってフットケアはあまり馴染みがないかもしれませんが、セラピストによるフットケアは実は重要な役割を担っています。
この記事では、フットケアのプロである「フットケア指導士」という資格について、またその取得方法、セラピストがこの資格を取るメリットなどをお伝えしたいと思います。

フットケア指導士とはどんな資格?

フットケア指導士とは、一般社団法人日本フットケア・足病医学会が認定する資格です。フットケアの専門知識と技術を身に付けた資格取得者は、それぞれの臨床現場で、足に起こるトラブルを予防・ケア・フォローアップして、人々の歩行を守りQOLを高める役割を担います。

糖尿病患者や高齢者もますます増えてくる昨今、足の病気の早期発見・早期予防が必要となる機会が増えています。一生歩くことのできる足を守るために、足の評価やケア、運動や歩行を指導する専門的な知識と技術を持つのが、「フットケア指導士」といえます。

どうしてセラピストがフットケアを学んだのか?

フットケア指導士とは? 資格取得者のセラピストが解説

私がフットケアに興味を持ったのは、通所リハビリに勤めていたとき、看護師さんから、「フットケア指導士の資格を一緒に取りに行かない?」と誘われたのがきっかけでした。

在宅生活を送る利用者さんは、確かに足のトラブルを抱えている人が多く、足の爪が伸び放題、水虫だらけの足、ひどい足の浮腫などが見られました。なかには、足の病気を悪化させて歩けなくなったり、在宅生活を続けられなくなったりしてしまう人もいました。知識が乏しくマンパワーも足りず、適切な対応ができずに悔しい思いもしました。

当時の私は、「フットケア」というと、爪切りや魚の目・タコの処置、足浴のような看護分野のものだと思っていました。しかし実際は、運動や歩行面、装具や靴へのアプローチも大切であることを知り、理学療法士でも何か力になれるのではと決意し、そこから本気になって学び始め、資格を取得することにしました。

受験の条件は国家資格と3年以上の実務経験

フットケア指導士の受験条件には、以下のものがあります。

・医師、看護師、准看護師、理学療法士、臨床検査技師、義肢装具士、臨床工学技士、介護福祉士、薬剤師、作業療法士、栄養士いずれかの国家資格を有すること
・上記資格取得後、3年以上の実務経験を有すること(施設長・院長による承認が必要になる)
・フットケアの実務経験があること
・フットケア指導士認定セミナーを受講していること
・日本フットケア・足病医学会の学会員であること

試験の勉強方法

フットケア指導士とは? 資格取得者のセラピストが解説

まず、日本フットケア学会(現・日本フットケア・足病医学会)が編集しているフットケアの教科書本『はじめようフットケア』をよく読み、基本を頭に入れました。あとは、認定セミナーで学んだ、フットケアの基礎的な知識を繰り返し復習して覚えるとよいでしょう。
私のときは、講師の先生が「ここは試験に出ます」とポイントを教えてくれました。もしそのような発言があったらそこは外さないように備えましょう。

過去問の問題集はありませんが、学会のホームページに問題が一部公開されているので傾向をつかんでください。出題形式は4肢択一問題、90分で50問のマークシート方式です。認定セミナーでの学習内容と、臨床でフットケアを経験していれば、答えられる問題がほとんどです。

難易度と合格率 ~平均合格率は65%前後~

基礎的な足の解剖学やフットケアの知識、臨床経験をしていれば答えられる問題がほとんどだったため、そこまで難易度は高いとは感じませんでした。私の受験時は、受験会場は東京で、試験は1年に1回、合格率は約60%でした。最近の合格率は上昇傾向で、直近の第13回の試験の合格率は84.2%となっているため、目指しやすい資格だと思います。

資格のメリット ~セラピストが資格を持っていると重宝される~

フットケア指導士の資格取得者のみが受けることができるものに、医療フットケアの実技セミナーがあります。現場で活躍されている先生から、評価の仕方や最新の実技を具体的に学ぶことができるため大変貴重な経験が得られます。

学会やセミナーなどで専門的な知識やフットケアの技術をしっかり学べるので、足の評価のほか、ケアを実践する力が身につきました。
自信を持って利用者さんのセルフケアや運動、歩行のアドバイスをしたり、足に合った靴の相談に乗ることができるようになり、利用者さんやご家族から喜ばれることが増えました。

近年、下肢の傷の処置などで診療報酬も得られる範囲が広がってきています。そのため、資格を持っていれば、専門知識があると認識されるので、フットケアの仕事を任せられるようになる機会も多くなるでしょう。給与アップも見込めるかもしれません。

私の場合、施設や訪問など在宅の現場でフットケアの専門資格を持っている人が珍しく、かつセラピストだと運動や歩行面からも見ることができるので、「足といえばあの人に聞けばいい」と認識されるようになりました。
お陰で、足を通して多くの利用者さんやご家族と関わることができ、他職種の職員から相談を受けることも増え、とてもやりがいのある仕事ができました。

資格の更新は5年ごと

資格の認定期間は5年間です。その間に70単位履修しなければなりません。単位は学術集会や実技講習に参加・登壇することで得ることが可能です。

学会では他職種の方の発表や、第一線で活躍されている先生の話を聞くことができブラッシュアップできます。スペシャルゲストが来たり参加型のイベントや交流会もあるのでとても楽しめ、なおかつ単位も取得できるよい機会です。5年で70単位を取るには年に1〜2回学会に参加すればいいため、それほど負担には感じませんでした。

資格を持つセラピストとして、足を守る役割とやりがいが持てる!

自分の足や、担当している方の足を1人ひとり見ていると、まさに千差万別です。外反母趾のように曲がった足指や爪の形、タコや魚の目の位置、扁平足など、足にはその人の歴史が刻まれているともいわれます。
私は担当している利用者さんの足を可能な限り見させてもらい、丁寧なケアをしていました。すると笑顔も多くなり心も通じ、リハビリがスムーズにいくこともありました。

医療や介護福祉の現場では、フットケア指導士の資格を持つ人も、フットケアに詳しいセラピストもまだまだ少ないのが現状です。
足はとても小さな面積で体重を受け止めており、かなり酷使しているにも関わらず、十分なケアをしていないことが多いと感じています。
足を守ることは人の生活や命を守ることにつながります。フットケアに興味がわいたら、ぜひ資格取得に挑戦してみてください。

■参考
一般社団法人日本フットケア・足病医学会 認定制度

ひがし

ひがし(理学療法士)

理学療法士/フットケア指導士・呼吸療法認定士・介護支援専門員
34歳で一念発起し、社会人から理学療法士免許を取得。総合病院から通所リハビリ、訪問看護に勤務。呼吸療法やフットケアに力を入れ、在宅利用者に15年寄り添う。2022年より、ライター業へ従事、医療コラムなどを執筆している。趣味はフットケア、一人旅。

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