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たんぱく質を摂り過ぎているときのサインとは? 摂り過ぎないポイントも解説

公開日:2024.08.09

たんぱく質を摂り過ぎているときのサインとは? 摂り過ぎないポイントも解説

文:中邑悠花(管理栄養士)

たんぱく質は不足しがちな栄養素であるため、積極的な摂取が求められます。

ダイエット中の方や筋トレをしている方のなかには、たんぱく質を摂るために食事を工夫したり、プロテインを活用したりしている方もいるでしょう。

ただ、不足しがちなたんぱく質は、摂り過ぎても体に悪影響があることをご存知でしょうか。もしかしたらあなたの体にも、たんぱく質を摂り過ぎているサインが出ているかもしれません。

そこでこの記事では、たんぱく質を摂り過ぎたときの体への影響や、摂り過ぎかどうかがわかるサインについて解説します。

たんぱく質の効果について

たんぱく質は私たちの体を作る主要成分です。皮膚、筋肉、臓器はもちろん、髪、爪、血液、ホルモンなどもたんぱく質から作られています。

また、たんぱく質は糖質・脂質と並んで三大栄養素の1つで、体を動かすエネルギーを作るのにも必要です。

たんぱく質が不足すると、筋力が低下したり、肌荒れしたり、疲れやすくなるなど、体にさまざまな影響が現れます。

このようにたんぱく質は、私たちの体を維持するために欠かせない栄養素なのです。

たんぱく質を摂とき過ぎるとどうなる?

体にいいイメージのあるたんぱく質は、取り過ぎたときにどうなるのかイメージしにくい方もいるでしょう。次からは、たんぱく質を過剰摂取したときの体への悪影響について解説します。

カロリーオーバーになる

たんぱく質はダイエットにいいことからヘルシーなイメージがあるかもしれません。しかし、たんぱく質は1gあたり4kcalのエネルギーを持っています。

これは太るイメージのある糖質と同等のエネルギー量です。

つまり、ダイエットのために糖質を控えても、たんぱく質を摂り過ぎるとカロリーオーバーになってしまうのです。

また、たんぱく質の多い肉・魚・卵は、脂質が多く含まれている場合もあります。脂質は1gあたり9kcalとカロリーの高い栄養素であるため、摂り過ぎに注意が必要です。

内臓に負担がかかる

たんぱく質はそのままでは吸収できないため、一度アミノ酸という小さな物質に分解されてから吸収され、体内で必要な形に生合成されて使われます。この分解と合成の過程で「窒素」という物質が生まれます。

体内で余分になった窒素は尿になって排泄されますが、このときに働くのが肝臓と腎臓です。たんぱく質を摂り過ぎると、これらの臓器に負担がかかり内臓疲労を引き起こすことがあります。

腸内環境が悪くなる

動物性たんぱく質を摂り過ぎると、腸での分解が追いつかずそのまま通過していきます。すると腸内に棲みつく悪玉菌のエサとなって悪玉菌を増殖させ、腸内環境のバランスを乱してしまいます。

塩分を摂り過ぎる

たんぱく質の多い肉や魚を食べるときは、味つけをする方がほとんどです。そのため、それらの食品を摂り過ぎると、自然と塩分の過剰摂取につながります。

塩分の摂り過ぎは血液中のナトリウム濃度を上げ、高血圧やむくみなどの症状が現れることがあります。

たんぱく質を摂り過ぎているサイン

たんぱく質を摂り過ぎているときのサインとは? 摂り過ぎないポイントも解説

続いて、たんぱく質を摂り過ぎたときに体に現れるサインを紹介します。心当たりのある方は、たんぱく質の摂取量を見直してみましょう。

体重が増える

たんぱく質を摂り過ぎるとカロリーオーバーとなり、エネルギーとして使われなかった分は体脂肪として蓄積されます。

糖質の量を抑えているにもかかわらず体重が増えている場合は、肉や魚の量が多過ぎる可能性があります。

おならが臭くなる・便秘になる

たんぱく質のなかでも、特に肉や魚などの動物性たんぱく質を摂り過ぎると、腸内の悪玉菌を増やしてしまいます。

すると腸内環境が乱れて、臭いの強い有害物質が発生し、おならが臭く感じられることがあります。

また、腸内環境の乱れは便秘の原因にもなります。なかでも食物繊維が不足している方は、たんぱく質の過剰摂取と重なると便秘に悩まされることが多いようです。

疲れやすくなる

たんぱく質の摂り過ぎで内臓に負担がかかると、だるさや倦怠感が現れることがあります。また肝臓と腎臓に負担がかかるので、腎臓病のリスクが高い方はそれが悪化する可能性があります。

肥満気味の方や糖尿病の既往がある方など、すでに肝臓や腎臓に病気のリスクのある方はたんぱく質を摂り過ぎないよう注意しましょう。

尿路結石や痛風になる

たんぱく質の摂り過ぎを続けていると尿路結石にかかることがあります。尿路結石は、動物性たんぱく質を摂ることで体内に増加する「シュウ酸」が原因です。

シュウ酸はカルシウムと結びつきやすい性質を持っており、通常は腸でカルシウムと結合して排泄されますが、摂り過ぎて腸で処理しきれなかったシュウ酸は尿へ溶け出します。

すると尿中のカルシウムと結合して石のようなものができ、それが尿管を詰まらせて尿路結石になってしまうのです。

また、肉や魚などの食品にはプリン体が多く含まれます。プリン体を摂り過ぎると血液中の尿酸値が高くなり、やがて足の指の関節などに結晶化して痛風を引き起こします。

たんぱく質を摂り過ぎないための食事のポイント

たんぱく質を摂り過ぎているときのサインとは? 摂り過ぎないポイントも解説

たんぱく質は多くても少なくても体に悪影響が出ます。適量のたんぱく質を上手に摂取するためには、次のポイントを押さえておきましょう。

1日3食に分けて摂る

日本人の食事摂取基準によると、1日あたりのたんぱく質の推奨量は、男性は65g、女性は50gとなっていますが、大切なのは1回で推奨量相当のたんぱく質を摂ろうとせず、3食に分けて食べることです。

その理由は、たんぱく質を一気に摂ると内臓への負担が大きくなってしまうからです。3食に分けて食べることで、内臓や胃腸に負担をかけずに必要量を満たすことができます。

手のひら1枚分を目安に

1食で食べる肉や魚の量は手のひら1枚分が目安です。手のひら1枚は肉や魚のおよそ100gに相当します。

100gに含まれるたんぱく質は大体20g程度ですので、1食に摂りたいたんぱく質量を満たせます。反対にこれより多く食べる習慣のある方は、量を減らすようにしましょう。

さまざまな食品から摂取する

たんぱく質の多い食品はさまざまありますが、それぞれたんぱく質を構成するアミノ酸の種類が異なります。

なかでも「必須アミノ酸」と呼ばれる9種類のアミノ酸は、体内で合成できない成分です。

そのため食品から積極的に摂る必要があります。アミノ酸の種類が偏らないようにするためにも、さまざまな食品を食べるようにしましょう。

また、肉などの動物性たんぱく質は、腸内環境を乱したり尿路結石などのリスクが高くなります。大豆などの植物性たんぱく質も取り入れて、肉に偏らないようにするといいでしょう。

プロテインは使い方に注意

筋トレをしている方のなかには、プロテインを摂っている方も多いと思います。不足しがちなたんぱく質が手軽に補え、筋トレ後の栄養補給として取り入れやすく便利です。

しかし、たんぱく質が食事でしっかり補えている方や、トレーニングをしていない方には必要ありません。

自分の必要量と摂取量を比較し、不足分を補う意識で活用しましょう。食事の代わりや水分補給としての常飲は避けるようにしてください。

まとめ:たんぱく質を摂り過ぎないように気をつけよう

今回はたんぱく質を摂り過ぎたときの影響や、摂り過ぎないためのポイントを解説しました。たんぱく質は私たちの体に欠かせない栄養素です。不足すると筋力低下や肌荒れを招くことから、積極的な摂取が求められます。

しかし、たくさん摂ったからといってその分健康になるわけではありません。摂り過ぎると内臓に過度な負担をかけたり、病気になるリスクを上げたりするため注意が必要です。

今回の記事で紹介したポイントを意識しながら、適切な量のたんぱく質を摂るようにしましょう。

中邑悠花

中邑悠花(管理栄養士)

前職ではリハビリ系デイサービスで高齢者向けに介護予防のための運動指導に従事。その後同施設で低栄養状態改善に向けた栄養相談を担当する。出産を機に退職し、現在は在宅でフリーランスのライターとして活動中。子育てをしながら食や健康に関する記事を中心に、幅広いジャンルの執筆を行う。

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