外国人の患者さんと上手にコミュニケーションをとる方法
公開日:2015.04.27 更新日:2015.05.14
グローバリゼーションで国内の外国人が増加傾向にある今、リハビリテーションでも日本語を母国語としない患者さんやその家族と接することがあるでしょう。今回は、セラピストが外国人の患者さんと上手にコミュニケーションをとるコツについてご紹介します。
外国人がリハビリテーション室に訪ねてきたら
日本語が流暢に話せる患者さんでも、医学用語やリハビリテーションの流れ、方向性などの込み入った内容について日本語ですべて理解できるとは限りません。外国人の患者さんには、普段行っているインテークの質問以外に、日本に住んでいる年数や普段の生活についても聞き取りを行いながら、どの程度の日本語ならわかるかを判断することが必要です。また、母国語と日本語以外にわかる言語があるかどうかも確認しておきましょう。
外国人の患者さんに上手に伝えるコツ
外国人の患者さんにリハビリテーション関係の用語や流れを理解してもらう場合、もっとも理想的な方法はその方の母国語に通訳することです。しかし患者さんごとに母国語は異なるため、すべてのケースに対応できるだけの通訳を配置することは難しいでしょう。相手の日本語スキルに合わせた説明を心がけることで、より伝わりやすくなります。
たとえば、下記のような工夫をしてみましょう。
- 1文をできるだけ簡潔にして、簡単な文法で要点をまとめる。
- 日本語が読める患者さんには、要点をまとめて箇条書きにする。
- セラピストとしてよく用いる重要な用語は、あえて言い換えず、代わりに説明を加える。
- アレルギーやリハビリテーション、ナースステーションをはじめとする外来語は、元のことばと発音やアクセントが異なる、和製英語であるなどの場合も多いので、事前に和英辞典などで確認しておくとよいでしょう。
- 「頭がガンガンする」「チクチク痛む」などの擬態語は、それぞれ「グー(ジェスチャーを添えて)で何度も殴られるように頭が痛む」「針で刺されたよう」のように言い換えると伝わりやすくなる場合があります。
会話例を参考にしてみましょう
日本語は主語を省く傾向があり、なにげない会話でも外国人の患者さんにはわかりづらいことが多くあります。意識的に主語を取り入れながら、ゆっくり、はっきりと短い文で伝えるように心がけましょう。
(外国人の患者さんで日本語がある程度話せる場合)
「あなたは、初めて、この病院に来ましたか? あなたは、日本語が読めますか?(読める場合)この紙に、あなたの名前、住んでいる場所、電話番号を書いてください。英語で書いてもOKです」
日本人の患者さん向けに用意された問診票は、ふりがながあっても外国人の患者さんには難しい部分が多くあります。最低限の情報のみ記入してもらい、それ以外は積極的に声かけをしてコミュニケーションを図りましょう。ボディランゲージも重要になります。また、外国人の患者さんは必要と思われる書類を多めに持参していることがあります。お薬手帳など、本人の情報が確認できそうなものは見せてもらえるか尋ねてみましょう。
(外国人の患者さんで日本語が話せない場合)
「Is this your first visit to this hospital ? Please write your name, address and phone number. 」
(イズ ディス ユア ファースト ヴィジット トゥ ディス ホスピタル? プリーズ ライト ユア ネイム アドレス エンド フォン ナンバー)
この場合、基本は英語で質問をしてみましょう。英語は、ほかの言語にも翻訳しやすいため、相手が英語圏出身の場合に限らずもっとも役立つ言語のひとつといえます。シンプルな英語を用いた問診票や診察の流れの説明書きを用意しておくなどの方法も、院内で相談してみましょう。
セラピストとして心がけること
外国人の患者さんや家族と接する場合、絵や図を描くなど、見える形での説明も加えると相手に情報を伝えやすくなります。また、自分の思いがうまく伝わらないことによる患者さんや家族のもどかしさ、不安を受け止めて対応することも必要でしょう。
コミュニケーションのルールや文化、習慣の違いもあるため、可能であれば事前に相手の国について調べることも心がけのひとつといえます。「相手にしっかりとわかってもらうにはどうすればよいか」を常に考えながら、患者さんと向き合うことが大切です。
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