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書道がもたらす効果とは?作業療法として取り入れることの意義

公開日:2015.06.11 更新日:2024.06.04

”書道がもたらす効果とは?作業療法として取り入れることの意義“/

書道は東洋独自の芸術であり、日本人にとってなじみ深い文化のひとつ。

年齢を問わず、経験者が多いため、作業療法でもよく扱われています。では、実際に書道をリハビリとして取り入れることで、具体的に書道がもたらす効果があるのでしょうか。

詳しく解説していきます。

書道は日本人にとって身近な芸術活動

書道は音楽や絵画のような芸術と一緒で、毎日使っている「文字」を使います。絵を描くのが苦手な人でも、書道なら大丈夫。なぜなら、文字は誰でも使っているものだからです。だから、書道はどんな人でも楽しめる芸術活動と言えます。

書道はただの文字を書くだけではなく、さまざまな効果があります。

そのため、書道はただ楽しむだけではなく、自分自身を成長させるための良い活動でもあり、どんな人でも受け入れやすい芸術活動だといえるでしょう。

次に書道がもたらす効果について解説していきます。

書道がもたらす効果5選

”書道がもたらす効果5選“/

一般的に書道がもたらす効果として、以下のことが挙げられます。

・字がきれいになる
・姿勢が改善する
・ストレスの発散に繋がる
・集中力が増す
・脳の活動が活発になる

順番に見ていきましょう。

字がきれいになる

書道は、一つ一つの文字を丁寧に書き上げるため、自然と筆使いが上手くなり、文字の美しさが増します。また、書道では、文字のバランスや形を重視するため、普段の筆記にもその効果が現れ、字がきれいになると言われています。

姿勢が改善する

書道を行う際には、正しい姿勢で座ることが重要です。これにより、自然と良い姿勢が身に付き、日常生活でもその効果が現れます。

ストレスの発散に繋がる

書道は一種の瞑想でもあり、心を落ち着ける効果があります。筆を滑らせる静寂な時間は、日常の喧騒から離れ、ストレスを発散するのに効果的です。

集中力が増す

書道は一文字一文字を心を込めて書く行為であり、その過程で自然と集中力を要します。また、静寂の中で筆を進めることで、集中力を鍛えることが可能です。

脳の活動が活発になる

筆を使って文字を書く行為は、脳の右半球を活性化させ、創造性や直感力を高めます。また、文字の形を覚え、それを表現することは記憶力を鍛え、脳全体の活性化に繋がります。

書道は作業療法としても効果が期待できる

書道の療法効果については、まだ十分に研究が進んでいないのが実情です。しかし、その中でも効果的な検証を行ったものがあります。

論文、「芸術療法における書道の意義―書道療法の可能性―」(著者:小松恵里香、公開元:大阪教育大学リポジトリ)を元に、具体的な事例をご紹介します。

実験の概要

書道の治療効果を調査するために、統合失調症の患者7名を対象とした検証が行われました。彼らは薬物療法や作業療法を続けつつ、6ヵ月間で毎週1回、病院内で開催される書道のレクリエーションに参加しました。その結果、患者の症状が改善された場合、書道の治療効果があると推測されます。

改善の判断基準は、「PANSS」という評価尺度を用いて行われました。これは統合失調症の精神状態を全面的に理解するためのツールで、検証前後に適用されました。また、「書道は言語を使った芸術活動で、右脳と左脳の両方を活性化する可能性がある」という仮説を基に、脳血流の変化も検証が行われました。

検証結果

検証の結果、右側の眼窩回(前頭葉の底部)、前帯状回(前頭葉の内側)、および基底核において、明らかな血流の増加が確認されました。一方、左の眼窩回や背外側では、有意とは言えませんが、増加の傾向が見られました。

また、評価尺度「PANSS」の30項目中、「なか」や「情動的引きこもり」の項目には明確な改善が見られました。さらに、「受動性/意識低下による社会的引きこもり」や「敵意」の項目では、統計的に有意とは言えませんが、改善の傾向が見られる結果となったのです。

作業療法として書道を取り入れることの意義

この実験結果に基づき、病院の精神科長が書道における認知神経心理学的意義を次のように考察しました。

・視覚的認知力の向上
・注意力、集中力の強化
・統制された行動の遂行、衝動の抑制
・モニタリング能力の強化(自らの字体の良否を判断し、修正する)
・作業記憶力の強化(手本と自分の字体を比較しながら書道を進める)
・遂行能力の強化(「計画→実行→見直し→修正→実行」という作業工程の繰り返し)

これらの効果は、それぞれ前帯状回、眼窩回、背外側面の脳機能と関連していると考えられます。さらに、4つの項目が「PANSS」で改善したことから、書道が統合失調症の症状改善に寄与したと言えます。

論文の著者による考察では、書道が毎週行われた結果、患者の集中力が鍛えられ、興奮状態が徐々に落ち着いたと推測されています。また、穏やかな空間が自己統制を促し、敵意の改善につながったと考えられます。規則的なグループ活動が、情動的引きこもりの改善、そして書道の多頻度の制作が社会的引きこもりの改善につながった可能性も示されています。

書道は、絵画とは異なり、手本を見ながら作成され、一つの作品に対する短時間の集中力が求められます。その結果、被験者の意欲が促された可能性があります。

今回ご紹介した論文は、書道が統合失調症の患者にもたらした効果について述べています。今後は、統合失調症の患者だけでなく、さまざまな障害や疾患に対する書道の効果についての研究が進められることを期待したいところです。

まとめ:書道がもたらす効果として作業療法にも期待できる

書道は、誰でも楽しむことができる日本独自の芸術で、その効果について一部の研究が行われています。

一般的な書道がもたらす効果効果として、以下のことが挙げられます。

・字がきれいになる
・姿勢が改善する
・ストレス発散
・集中力の増加
・脳の活動の活発化

などが考えられます。

また、統合失調症の患者を対象にした実験では、書道が集中力を鍛え、興奮状態を落ち着け、自己統制を促し、敵意を改善する効果が実験結果から確認されています。

以上のことから書道は様々な効果が期待できるといえるでしょう。

書道がもたらす効果についての研究が今後進められることを期待し、その結果がより多くの人にとって役立つことを願います。

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