理学療法士の専門用語を一般の人にわかりやすく説明するには?
公開日:2015.06.24 更新日:2015.07.02
専門用語を使いこなせることは、一人前の理学療法士としての基本です。しかし、理学療法士特有の専門用語は、患者さんにとっては難しいもの。同様に、施設内でやり取りを行う他職種のスタッフにも理解されにくいという一面もあります。患者さんに必要なリハビリや機能訓練の目標などを伝える言葉として最適な専門用語を選んでも、相手に通じなければ意味がありません。そこで、専門用語をよりわかりやすい言葉に代える工夫を取り入れてみましょう。
専門用語の必要性
ROMex、ガストロ、CVA、エントなど、理学療法士なら普段何気なく使っている専門用語。筋肉名や関節運動なども含め、医師への説明や同職種との共通言語として欠かせません。専門用語を使うことで、細かいニュアンスまで伝わり、患者さんへの対応がスムーズになります。
しかし、病院や介護施設内でのチームにおいて、他職種のスタッフにも専門用語を理解してもらうのは難しいもの。どんなにわかりやすく説明しようとしても、単語の持つ独特な背景までは伝わりにくく、大変な労力を伴います。
一方で、専門用語が通じる同業種間では、伝えたい内容が的確に表現できるため、ストレスなく会話が進むでしょう。自分の言葉が相手に通じるという安心感は、何よりも代えがたいもの。専門用語は、仲間との連帯感を深めるツールとしても、大きな役割があるのかもしれません。
他施設へのサマリーに専門用語を使用すること、どう思いますか?
専門用語は、理解する人にとっては非常に役立つものですが、伝える相手によって使い方をわきまえる必要があります。例えば、退院に伴って介護施設に移動したり、デイサービス利用に移行する場合、リハビリのサマリーを作成することになります。サマリーの送り先となる施設に理学療法士がいない場合、どんなに詳しい説明をしたつもりでも、専門用語の羅列であれば理解されません。施設によっては、ケアマネージャーや生活相談員、看護師などがサマリー管理を行っており、難解な指示書としてそのまま見過ごされてしまうことも。
他施設との連携において、先方に理学療法士が在籍するかどうか、また、どのような処理が行われるかによって、専門用語の使い方が変わります。本当に大切なのは、患者さんの改善に向けた理学療法の価値を理解してもらうこと。専門用語は便利なものですが、一般に向けてできるだけわかりやすい言葉で説明する技術も身につけておきたいものです。
わかりやすい言葉って?
専門用語をどれだけ正しく使えるか学んできた理学療法士にとって、それを他の言葉に変換するとなると悩ましいものですよね。専門用語を説明するために、さらにややこしい定義を持ちだしては一層伝わりにくくなってしまいます。
そこで言葉選びのヒントにしたいのが、テレビやラジオの健康番組。一般の人を対象とするテレビやラジオの表現は、公共の情報として誰にでも伝わりやすいように考えられた言葉が使われているからです。たとえば動的ストレッチと同様の動きに対し、あるテレビ番組では「ふりふりストレッチ」という言葉が使われています。簡潔な表現で、とてもわかりやすくなっていることがわかるでしょう。
かみくだいた表現を使うことで普段のリハビリ時にも活用でき、リハビリに対する患者さん自身の理解も深まることが期待できます。
相手を思いやる言葉選びを
専門用語をわかりやすい言葉に置き換えられるのも、その意味をしっかりと理解しているからこそ。伝えたい内容が細かいときほど専門用語に頼りがちですが、相手の立場に立った表現、言葉選びが必要です。理学療法士の仕事に、周囲との連携は欠かせません。専門用語の使い方に限らず、互いに配慮し合えるチーム医療を進めたいものです。
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