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作業療法士が介護施設で車椅子の方と一緒にすぐできるレクリエーション

公開日:2019.04.15 更新日:2019.05.08

文:田口 昇平(作業療法士、福祉住環境コーディネーター2級)

作業療法として提供されるレクリエーションは、病気や障害のために1人では自由に動きづらい利用者さんたちに向けて、遊びであると同時に治療的要素をもって行われるものです。しかし、介護施設においては、利用者さんの身体的条件は幅広く、集団で同じレクリエーションを行っても、できる人とできない人が出てきてしまいます。そうした状況下で、ご利用者さん全員にできるだけ楽しんでもらいながら、日常生活の動作能力や心身機能を維持・向上するためには、どのようなレクリエーションを行えばよいのでしょうか。すぐにでも取り入れられるレクリエーションをいくつか紹介します。

介護施設のレクリエーションの役割とは?

作業療法士が介護施設で行うレクリエーションには、「余暇時間をつくる」「利用者さん同士のコミュニケーションを促す」「心身機能を維持・向上させる」などの役割があります。介護施設では、作業療法士が利用者さん一人ひとりに関われる時間は限られています。介護レベルによっても条件が異なるため、グループでのレクリエーションを行う場合には、車椅子を使っている人に合わせた活動にすることで、より多くの利用者さんを支援できるでしょう。

車椅子の利用者さんと一緒にできるレクリエーション

車椅子の利用者さんと一緒にできるレクリエーションを4つ紹介し、その利点をまとめました。

1.風船バレー

風船バレーは、風船をボール代わりに使って全員でパスをおこなうレクリエーションです。このレクリエーションでは、車椅子から上体を起こす動きを促せます。上体を起こす時に、体幹や骨盤を前傾させたり、上肢を前方へリーチさせたりする動きは、机の上の物を取る、トイレで手すりに手を伸ばす時などに必要となる動作です。利用者さんに、円を作ってもらい、お互いに顔が見える形で行うと交流しやすくなるでしょう。風船があたってもケガをせず、笑いが起こるのも、風船バレーの良いところ。
風船バレーを行う時は、フットサポートから足をおろして、足を床につくようにしましょう。足が床についていないと、車椅子から上体を起こす力を出せません。

2.ちぎり絵

ちぎり絵では、手指の細かい動きを促せます。スプーンや衣類など、物をつまんだり、つかんだりする時には、拇指の力や指の動きが重要です。日常生活で、手を使う機会が少ないと、手の中の筋肉(拇指球筋、骨間筋、虫様筋など)が萎縮し、指の力や動きが出せなくなります。紙をちぎることが難しい利用者さんには、切れ目を入れたり、台紙に紙を貼りつける作業からはじめたりすることで、参加しやすい環境が作れます。また、ちぎり絵の作品を飾ることで、利用者さんの達成感や自信にもつながります。

3.歌(唱歌、童謡、昭和の歌謡曲)

歌は、男女や年齢を問わず、喜ばれるレクリエーションです。みんなで歌うことで場の雰囲気を和ませたり、作業療法士と利用者さん、利用者さん同士の関係を作れたりするため、レクリエーションの最初に取り入れると良いでしょう。なかでも、「ふるさと」や「春の小川」といった唱歌は、高齢者にとってなじみ深く、人気があります。音源と歌詞カード(歌詞を印刷した紙)を用意することで、誰もが気軽に参加しやすいレクリエーションとなるでしょう。

4.棒体操

棒体操は、棒を持った状態で、上肢を上げ下げしたり、体幹を回旋したりする運動につながるレクリエーションです。肩や体幹の柔軟性を維持・向上できるとともに、手先に物(棒)を持っていることで、肩周りの無駄な力が抜けて、上肢や体幹を運動させやすくなります。棒体操を行う時は、足を床につけて、車椅子から上体を起こす力が発揮できるようにしましょう。体操に使う棒には、業務用ラップの芯や杖などが活用できます。他職種にも参加してもらい、利用者さんの活動能力などを評価する機会として行うのもおすすめです。

作業療法や理学療法のレクリエーションを行う前の注意点

レクリエーションを行う前には、利用者さんの身体的・内科的リスクを確認しておくことが大切です。特に、身体を大きく動かす時には、血圧、脈拍、呼吸数などが著しく変動する可能性があります。また、頸部や腰部などに、運動器疾患の既往歴がある利用者さんには、首や腰などに関節可動域の制限がかかる場合があります。利用者さんの記録から、現病歴や既往歴を確認しましょう。

車椅子で参加可能なレクリエーションのまとめ

介護施設内において、集団リクリエーションを通した支援をする際には、車椅子の利用者さんも参加できる活動を選ぶことで、誰もが参加しやすい状況をつくれます。利用者さんに遊びを楽しんでもらいながら、日常生活動作や心身機能の維持・向上などの要素を取り入れたレクリエーションが行えるように意識しましょう。

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