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相手の思いがわかる質問力の鍛え方~すぐに使えるセラピストの会話術~

公開日:2021.01.19 更新日:2021.03.31

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文:山川弘輝(理学療法士、ライター)

医療現場や介護事業所では、さまざま職種と関わりながら仕事を進めることになります。しかし、職種によって知識や経験、立場が異なることから、ちょっとしたことですれ違い人間関係がうまくいかないこともあるものです。

こうしたズレを生じないために、活用したいのが「質問をする」スキル。

どんな質問を投げかければ、よりお互いが納得できるコミュニケーションが成り立つのか。

スムーズに仕事を進めるためにも身につけておきたい「質問力」を高めるポイントをお伝えします。

「質問」は信頼関係を得るために必要なアクション!

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私が機能訓練特化型の通所介護施設に勤めていた時のこと。

介護スタッフに対して「○○さんは施設内であれば杖無しで過ごしてもらうことにしましたので、よろしくお願いします。」と伝えたところ、そのスタッフが難色を示したことがありました。

理学療法士として適切な評価を行ったうえでの判断であるのに、なぜ介護スタッフが渋るのか、当時の未熟な私には理解できませんでした。そこで私は質問を投げかけました。「○○さんが家の中で、独歩で生活するための練習です。なぜ反対されるのですか?」と。

すると、そのスタッフからは「○○さんの杖は娘さんからのプレゼントだから持っておきたいと思っているかもしれない。それに、本当に杖無しで歩けるのか心配だから。」という声が返ってきました。

介護スタッフの考えを聞くことで、改めて自身がどのように対応すべきかを考えるきっかけとなった事例です。

こうしたすれ違いは、さまざまな現場で起こりやすいものです。お互いの意見の相違に気づかないまま強行すれば、誤解やトラブルに発展しかねません。ちょっとしたことであっても、その後の人間関係に影響することもあるでしょう。

相手の思いを知るには相手に聞くのが近道です。

「質問」は意見を共有するために必要なことであり、信頼関係を気づくために欠かせないやり取りなのです。

質問は「自分の意見」+「相手の意見を聞く質問」をセットで

上記のようなシーンでは、「○○さんに杖無しでの生活に慣れてもらうために施設内独歩で過ごしていただきたいのですが、どう思いますか?」「私が評価した限りでは問題なかったのですが、今日一日は介護スタッフさんにサポートしていただきたいのですが、大丈夫ですか?」といった会話を行っていれば、介護スタッフが難色を示すことはなかったかもしれません。

お互いの意見を共有するためには、「自分の意見」+「相手の意見を聞く質問」をセットで使うことが大切です。

コミュニケーションとしての「質問」を考える

「質問」はただ業務的に意見を交換するための手段ではなく、信頼関係を築くコミュニケーションの一環なのです。

質問とは相手の思いを確認するアクションなのだということを意識しておきましょう。

相手は質問をされることで、自分の考えを聞いてくれる・尊重してくれている・受け止めてくれるといった印象を受けるため、信頼関係が築きやすくなります。それぞれの職種や立場によって、相手に壁を感じてしまうと質問以前に心を開くきっかけも作りにくいものです。

最初は難しく考えずに、コミュニケーションとして「どう思いますか?」と気軽に質問するところから始めてはいかがでしょうか。

「質問力」を高めよう!ポイントは質問の「具体性」

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「質問力」を磨くには、「質問の質」を高めることが大切です。その際に注意したいのが、使用する言葉の選択。

あなたが普段使っている言葉は他職種にとっては当たり前に使われる用語ではなかったり、言い回しによって正確に伝わらなかったりするケースもあります。

より相手の気持ちを引き出す回答を得るための「質問の質を高めるポイント」をまとめました。

「なぜ、その質問をするのか?」と考えたうえで、会話に組み込む

相手の本心を引き出すには、まず、自身が相手に伝えたいポイントを深めることが大切です。

質問をする前に、まずは自分自身が「なぜ、その質問をするのか」という目的を明確にすることで、質問の意図が伝わりやすくなり、相手もそれに応じた思いで回答してくれるでしょう。

例)「施設内独歩で過ごせませんか?なぜなら、生きがいである一人旅行に行ってほしいから。」

「それで?」と次のステップまで考える

「なぜ?」に続いて、「それで?」と自身に問うこともおこなってみましょう。質問をする意図に組み込まれた「結果」を具体的にイメージしてもらうことで、相手も回答しやすく、前向きなアクションをとってもらいやすくなります。

例)「施設内独歩で過ごせませんか?それで屋内独歩が可能になれば、一人で温泉に入れるから」

「なぜ?」「それで?」と自身に問い、そこから出てきた言葉を紙にまとめるのも有効です。紙にかかれた言葉を俯瞰で眺めることで、本当に伝えたいポイントはどこなのか、相手からどんな回答を引き出したいのかについて、理解を深めることが可能になります。

「質問力」を磨いて、より良いチーム作りを目指そう

他職種だから、経験年数が違うから、上司と部下だからといった理由で気軽に質問できない環境にいる人もいるでしょう。良い質問は、現場を活性化させ、お互いの思いを共有するきっかけになります。

積極的に質問を行うと同時に、質問しやすいチーム作りに貢献してみてはいかがでしょうか。

【参考文献】

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