理学療法士が患者さんから恋愛感情を持たれたら?適切な対応と注意点
公開日:2021.12.13
文:rana(理学療法士)
理学療法士はリハビリを通して一定期間、患者さんと1対1で関わります。そのため、他の医療従事者と比べて患者さんとの信頼関係が深まりやすい傾向があります。
そうしたなかで、ときには患者さんから好意を持たれたり、連絡先を渡されたりすることもあるでしょう。しかし、理学療法士は医療従事者であり、患者さんとの関わり方には注意が必要です。
今回は「理学療法士が患者さんから恋愛感情を持たれたときの対処法」や「逆に恋愛感情を抱いてしまったときの対応」についてお伝えします。
理学療法士が患者さんに好意を持たれやすい3つの理由
理学療法士は仕事柄、患者さんから好意を持たれやすい傾向にあります。その理由として次の3点が考えられます。
(1)理学療法士は患者さんとの信頼関係を大切にする
理学療法士はリハビリをより効果的に進めるためにも、患者さんとの信頼関係構築を意識し、良い印象を与える接し方をします。
優しい言葉をかけたり、患者さんに対して興味を示したりしているうちに、ときに誤解され、好意として受け止められることがあります。
(2)リハビリ中の距離が近い
リハビリでは、ベッド上で徒手的な治療を行ったり、体を密着させながら歩行訓練を行ったりします。
そのため、理学療法士は患者さんとの距離が近く、常にスキンシップをとっているような状況にあります。身体的な距離が近いことをきっかけとして意識されやすい環境にあるのも、好意を持たれる理由のひとつに挙げられます。
(3)リハビリで患者さんと関わる頻度が高い
症状にもよりますが、リハビリは20分から60分程度、外来の場合は週に1〜2回、入院の場合は基本的に毎日行われます。そのため、患者さんと関わる頻度も高く、親密な雰囲気になりやすいのです。
患者さんに好意を持たれた場合の対処方法
リハビリ中に患者さんから好意を伝えられたり、連絡先を渡されたりした場合はどうすれば良いのでしょうか。医療従事者としてとるべき行動についてまとめました。
(1)連絡先を伝えられても返信をしない
もし連絡先を渡された場合には、自分から連絡をしないこと。
個人的な連絡を取り合ってしまうと、親密度がより深まってしまったり、相手に過度な期待を持たせてしまったりすることにもなりかねません。患者さんと直接連絡を取り合うことは、病院の方針で禁止されているなどといった旨を相手に直接伝えるようにしましょう。
もちろん、自身の連絡先を教えるのもNGです。
(2)プライベートな質問に対しては濁すようにする
患者さんから好意を持たれている場合、リハビリ中などにプライベートな質問を受けることがあるかもしれません。患者さんとの信頼関係を維持するために、プライベートな質問にも答えることもあるでしょう。
しかし、答えたくない質問に対しては、返答を濁しておいた方がよいでしょう。趣味や出身地などの差支えない話は仕方ないとしても、好みのタイプや過去の交際人数など、恋愛に直結するような質問には答えない方が無難です。
(3)既婚者であることや付き合っている人がいることを伝える
既婚者や付き合っている人がいる場合は、その旨をさりげなく会話にだすとよいでしょう。相手がいることを察してもらえれば、これ以上距離を縮めることを避けられます。
適切な距離で対応できれば、リハビリにも支障がでにくくなるはずです。実際には相手がいなくても、ときには「相手がいる」と伝えるのも有効かもしれません。
好きな患者さんができてしまっても、理学療法士の立場を忘れずに
理学療法士もひとりの人間です。ときには、患者さんに好意を抱いてしまうこともあるでしょう。
しかし患者さんと理学療法士という立場で恋愛に発展してしまうと、周りのスタッフからも、他の患者さんからも信頼を失いかねません。
理学療法士業界は意外と狭いため、他の施設にも噂が広がる可能性もあります。日頃から次の2点を意識して、業務を遂行するようにしましょう。
公私混同しない
連絡先を交換したり、リハビリ以外に外で会ったりするような行動は控えましょう。
公私混同をしてしまうと、リハビリにも支障が生じて、思うように結果がでないこともあります。あくまでいち患者として関わり、特別扱いをしないように対応することが大切です。
周りの目が向いていることを念頭に
自分が思っている以上に、周りのスタッフや他の患者さんは、他人のリハビリ中の会話を聞いています。もし、疑われるような言動があった場合、簡単に噂が立ってしまいかねません。
自分の言動は、常に周りから見られているという意識を持つようにしましょう。
理学療法士として公私混同しないことが大切
理学療法士は仕事柄、患者さんから好意を持たれてしまうことがあります。実際に私の友人には、患者さんとリハビリ終了後に交際に発展したケースもありました。
しかし、理学療法士は医療従事者であり、患者さんに対して平等に接し、身体回復を促すことが求められる職種です。公私混同するとリハビリに支障がでるだけでなく、周りからの信頼を失い、場合によっては職場にいられなくなることもあり得ます。
患者さんにとって理学療法士はどのような存在であるべきかを念頭に置き、公私混同をしない接し方を意識しましょう。
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rana(理学療法士)
総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科に加え、訪問看護ステーションでも勤務。 腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。 業務をこなす傍らライターとしても活動し、健康、医療分野を中心に執筆実績多数。
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