リハビリでも気をつけて!離床における点滴の注意点について
公開日:2016.10.14 更新日:2021.07.20
リハビリの時間になり、患者さんの病室を訪れると点滴中……そんな経験はありませんか?
点滴の入っている状態では、患者さんをどの程度動かしても大丈夫なのか、不安に感じることもありますよね。そのような場合でも、注意すべき点がわかっていれば、自信を持ってリハビリに取り組めます。点滴ラインの種類から離床における注意点まで紹介します。
点滴の基礎知識
点滴の取り扱い方を知るためには、まず器具の名称から理解しておきましょう。最初にチェックするのが、薬剤が含まれる「輸液ボトル」です。投与される薬剤の種類により、形状はさまざまです。
輸液ボトルからつながっているチューブをたどっていくと、滴下数の確認に使用する小さな筒、「点滴筒(チャンバー)」があり、すぐ下には「クレンメ(クランプともいいます)」と呼ばれる、滴下速度を調整する装置がついています。
場合によっては三方活栓(さんぽうかっせん)と呼ばれる薬剤の流路を調整する装置や、一定の速度で薬剤を持続投与する「シリンジポンプ」が取り付けてある場合もあります。
次に、知っておきたいのが点滴ラインです。以下の4種類があります。
- ・末梢静脈カテーテル(Vライン)
- ・末梢動脈カテーテル(Aライン)
- ・中心静脈カテーテル(CVライン)
- ・肺動脈カテーテル(S-Gライン)
なかでも使用頻度の高いのが、末梢静脈と中心静脈カテーテルです。
末梢静脈カテーテルは、末梢静脈へ注射針を刺入して薬剤を投与する一般的な方法です。高低差を利用して薬剤を投与しているので、輸液ボトルの高さで滴下速度が変わります。薬剤や輸液・輸血の投与、末梢静脈栄養の投与時に使用されています。
中心静脈カテーテルは、鎖骨下、内頸静脈からが多く、緊急時には大腿静脈が選択される場合もあります。昇圧・降圧剤など身体に影響の大きい薬剤で使われることが多く、そのほか高カロリー輸液、血管炎をきたしやすい薬剤の投与でも使用されています。
離床の際に必要なラインの管理
リハビリの前と後で、必ず確認したいポイントがあります。
末梢と中心静脈カテーテル、それぞれの観察ポイントとして、以下の3点が挙げられます。
- ・離床の前後で、刺入部の熱感、腫脹、発赤、疼痛の有無
- ・滴下数の確認(止まっている、あきらかに速いなど)
- ・ガラス製の点滴ボトルやハードプラスチックボトルの場合はエア針の有無
中心静脈カテーテルの場合は、カテーテル挿入部の固定糸の有無も、念のため確認しておいた方がいいでしょう。
離床における注意点
実際の離床の際には、以下の点に注意しましょう。
末梢静脈カテーテルの離床における注意点として
- ・離床範囲を考慮したラインの長さはあるか
- ・関節運動により刺入部の位置に影響はないか
- ・末梢静脈圧を超える滴下の落差は確保できているか(心臓から27㎝以上の落差が必要)
- ・筋収縮により、血液の逆流は起きていないか
中心静脈カテーテルでは、上記の注意点に加えて留置される場所ごとに、以下のようなことが考えられます。
- ・内頸静脈では体位変換時、頸部の下に敷かれることによるライン屈曲の可能性あり
- ・鎖骨下静脈では挿入側上腕の外転運動時、カテーテルが前後する可能性あり
- ・大腿静脈では長時間の座位によりカテーテルの屈曲をきたし、閉塞する可能性あり
以上のことを患者さんの離床時には確認し、少しでも異常を感じたら、すみやかに看護師に伝えるようにしましょう。
患者さんの安全なリハビリのために
理学療法士は基本動作に対してリハビリテーションを行うことが多いため、寝返りや起き上がり、端坐位などの体位変換において、点滴は阻害因子となりがちです。しかし、扱い方や注意点を理解し実践することで、患者さんの離床が図れます。日々の経験を積み重ね、より良い方法を模索してみましょう。
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