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患者さんの「ありがとう」を聞くために。言語聴覚士の職場での工夫

公開日:2015.02.11

コミュニケーションの困難を抱える患者さんの手助けをしたいと言語聴覚士になったものの、患者さんへのリハビリだけでなく、家族との連携、職場でのストレスなど、毎日さまざまな悩みや不安が生じます。本当に患者さんや家族のサポートができているだろうか、患者さんに負担がかかっていないだろうか……。そんな悩みを持つ言語聴覚士さんたちを救ってくれたものは、発声の困難を乗り越えた患者さんの「ありがとう」の一言でした。その一言を聞くために、言語聴覚士たちは日々どのような努力をしているのでしょうか。

「ありがとう」の重み

患者さんの進歩を間近で見られることも仕事のやりがいですが、患者さんの「ありがとう」の一言は何にも代えがたいそうです。特に症状が重い患者さんであるほど、「ありがとう」の重みを感じられるのではないでしょうか。患者さんたちの喜ぶ顔を見るために、言語聴覚士の職場での工夫について実体験を交えてご紹介します。

楽しい環境づくりで患者さんの心を開く

言語聴覚士としての臨床経験が8年以上というある女性は、「コミュニケーションに困難を抱える患者さんの手助けをしたい」とこの職に就いたものの、たくさんの患者さんと接するうちにある悩みを抱くようになりました。
単に言葉が不自由なだけでなく、人と言葉を交わす楽しみや人とのふれあい、言葉による安心感、楽しいコミュニケーションの機会、そして生きる自信までもが奪われてしまう言語障害。そんな障害を抱える患者さんをどのようにうまくサポートし、生きる自信を取り戻してもらえるのか……。そんな悩みから彼女を救ってくれたのが、患者さんの「ありがとう」の一言だったのです。

彼女は、患者さんに喜んでもらうために次のようなことを心がけました。

  • 患者さんの好きなことを見つけて、患者さん自身が楽しめる環境を提供する
  • リハビリ以外の時間も施設内で会ったら声をかけたり、笑顔を絶やさないようにするなど、患者さんがコミュニケーションを図りやすい空気を作る
  • 家族を含めて周りの人たちにもリハビリの内容やその必要性を理解してもらう

試行錯誤した結果、患者さんが心を開き笑顔を見せてくれました。そして、その笑顔こそが自分の仕事の励みになることに気づいたのです。工夫は今でも絶やすことなく、コミュニケーションの喜びを感じてもらい、患者さんにも笑顔で社会に復帰してもらえるよう努力しているそうです。

母親を励まし、母親と共感する

一方、臨床経験6年で関わった患者さんの半分は小児患者であるという女性にとって、思い出深い患者さんは、広汎性発達障害・言語発達遅延と診断された4歳の男の子でした。最初はほとんどしゃべらず、誰とも視線を合わせず、1人で黙々と遊ぶお子さんだったそうですが、2年後にはよくしゃべる活発な男の子に。彼女は一体どんな工夫をしたのでしょうか。

小児患者さんの場合は家族とのかかわりが濃く、特に「お母さんが変わると子どもも変わる」と言われるほど母親との連携は大切です。この男の子の月1~2回のリハビリでも、母親に家での様子を聞き出し、質問に答え、適格なアドバイスをするという通常の業務に加え、とにかく母親を励まし、がんばりを褒めました。

最近の母親は仕事を持つ人が多く、家事と子育てを両立させながら忙しい日々を送っている方が多くいます。リハビリに通うことが更なるストレスにならないよう、リラックスした気持ちで通ってもらうことを心がけているとのこと。お子さんの進歩に気づいて母親と共感できたときのうれしさ、ずっと二人三脚でがんばってきた母親からの「ありがとう」の一言は、彼女の悩みを吹き飛ばしてしまったに違いありません。

患者さんを全力でサポートすることが自分の糧に

患者さんたちをサポートしたいと思えば思うほど、不安や悩みは生じてしまうものです。悩みを抱えながらも、患者さん一人ひとりのニーズを見極めて全力でサポートすることで、いつか患者さんも心を開いてくれるはず。ひとつでも多くの「ありがとう」を聞くための努力を怠らないようにしましょう。その行いが結果的に自分の悩みをかるくしてくれ、その経験すべてが自分の糧になっていることに、いつか必ず気づくはずです。

 

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