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第7回障害者水泳、成田真由美選手復活! 日本記録更新でパラリンピックへ

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障害者スイマーが目標にしている国内最高峰のレース、東日本大震災復興支援 IPC Swimming公認2016ジャパンパラ水泳競技大会が7月17日からの2日間、横浜国際プール(横浜市都筑区)で開催されました。リオパラリンピックまで1カ月半、日本代表の選手たちは前哨戦として臨んでいました。

45歳、伝説のスイマーが自己ベストを更新


成田真由美選手はこの夏、46歳。現役復活してからベストタイムを連発。世界ランク7位のレジェンドスイマー。

2大会ぶりのパラリンピック出場となる成田真由美選手(横浜サクラ)は1996年のアトランタ大会から北京大会まで、4大会連続で出場。これまでに金メダル15個を含む計20個のメダルを獲得したレジェンドです。一旦は引退したものの、東京オリンピック・パラリンピックが決定してから、選手として東京大会に貢献したいと現役復帰を決めました。
 
成田選手は今大会、女子50mと200m自由形S5クラスで日本新記録を樹立しました。50m自由形は世界ランキング7位。メダルも狙えます。リオ大会には46歳で挑戦します。長いブランクを経て復帰したばかりか、北京大会のころよりも伸びている記録は驚異的です。
 
成田選手は、「若い頃よりも練習量が増えているので、心身ともに良くなっています。とくに持久力がついてきました」と言います。40歳代でも世界レベルで活躍する選手はいますが、通常運動能力の衰えを経験や技術でカバーするところ、成田選手は逆に記録を伸ばしています。現役復帰後も成長を続けることができたのは、トレーナーによる科学的な分析と障害者ならではの条件があったからのようです。
 
専属トレーナーは障害のない残存機能を最大限に引き出すことを考えてきました。その一つが胸郭を広げることで可動域を増やすトレーニングです。そうすることで、競技や日常生活で使うことがなかった機能を呼び覚ましました。

全盲選手がまっすぐ泳ぐ難しさ


視覚障害者が安全に泳げるよう、棒で泳者の頭をたたくタッピングで壁が近いことを知らせる。

リオパラリンピックで日本代表水泳チームのキャプテンを務める山田拓朗選手(NTTドコモ)は、得意としている50m自由形S9クラスで大会新記録を出しました。100m自由形S9クラスも自己ベストタイムで優勝。「練習の疲労があるなか、良いタイムが出ました」と手応えを感じていました。


全盲スイマーの木村敬一選手は、100mバタフライで世界ランキング1位。金メダルに最も近い男。

全盲の木村敬一選手(東京ガス)はバタフライの世界ランキング1位。リオ大会では金メダル獲得が期待されています。報道陣が詰めかける中、大会初日の100m平泳ぎSB11クラス決勝では隣のレーンに入ってしまい失格になってしまいました。代表チーム監督の峰村史世さんは「スタートしたときの微妙な角度で起こるミス。世界一を目指している木村でもしてしまう。本番までに修正していきます」と話していました。

安全に障害者が泳ぐための工夫


入出水するプールサードに敷かれたマットは、感覚のない下肢の怪我を予防するためのもの。

水泳競技は肢体不自由、切断、脳性麻痺、視覚障害、知的障害などの障害種別や程度によって分けられた14クラスで行われます。視覚障害の選手は壁に近づいたことが分かりません。そのため安全確保と恐怖心を取り除くため、棒の先端についたスポンジで頭を叩いて知らせるタッピングをします。また麻痺などのためスタート台で身体を保持できない選手を支える例外事項も選手ごとに認定されています。また水泳は肌の露出が多い競技ですが、脊髄損傷などによって触覚が失われていると、本人が気づかないうちに肌を傷つける危険性があります。そのためプールへ出入りするところにマットを引いて、怪我を予防しています。

プールでは自由自在に動ける

水泳は障害者スポーツのなかでも人気の種目です。その理由の一つに、プールの中では自由に動けるという楽しさがあります。障害の重い選手のなかには、移動介助を必要とする人もいます。大会でも、下肢の装具を外してからクラッチを使ってどうにかプールサイドへ移動したり、車椅子から床に降りて、上腕のプッシュアップでスタート位置に行くという選手もいるため、一般の水泳大会よりも競技進行はゆっくりです。ところが、そうした選手たちも泳ぎはじめると、ダイナミックで素晴らしく速いのです。この躍動感は、プールサイドでの様子とはまったく違うものでした。選手たちの障害は麻痺や四肢の切断とさまざまですが、じつに自由自在に泳いでいます。
 
水の中では浮力を使うことができるので、歩行や体幹保持に障害があってもスポーツがしやすいという特長があります。ただし、身体障害があると身体の左右がアンバランスになっていることが多くあります。片腕切断、片麻痺、下肢障害などのケースです。そうすると左右均等ではない泳ぎ方をすることになります。片腕で自由形やバタフライを泳ぐ選手も多くいます。

トップ選手の身体障害と泳法

そして身体の左右バランスをとるために選手たちは工夫しています。成田真由美選手は麻痺のある左手は手のひらを広げられないので、握り拳のようにして水をかきます。左右で推進力に差があるはずなのですが、「右に曲がらないのが自分でも不思議です。無意識に調整しているようです」と話していました。けれどもこれはトップスイマーの話。初心者向けの水泳指導では、左右のバランスをとる練習が大切です。
 


学生スイマーの一ノ瀬メイ選手。パラリンピックは初出場ですが、世界選手権では100m自由形で6位入賞するなど、成長期待の選手。

一ノ瀬メイ選手(近畿大学)は、先天性の障害で右肘から先が欠損しています。同じような障害の選手には、片手でバタフライや自由形を泳ぐ人もいますが、彼女は両腕で泳いでいます。
「片手で、速いピッチで泳いだ方がタイムは速くなるかもしれません。けれど左右それぞれに筋力をつけることでバランスが良くなると考えて、両手で泳いでいます。世界のトップ選手でも、両腕で泳ぐ選手は多いです」


パラリンピック初出場の森下友紀選手は、成田選手らの指導を受けてきました。生活面でもアドバイスを受けられるのが障害者スポーツの良い所。

水泳競技には4泳法がありますが、運動機能障害に合わせて工夫します。そのため水泳指導するときには麻痺の状態や関節の可動域などを理解した上で、その人に合った泳法を作っていくことになります。
 
水泳はリオパラリンピックでメダル獲得の期待されている注目種目です。代表監督の峰村さんは、「リオ大会の経験を東京オリンピック・パラリンピックに向けての力にしてほしい」と長期的な選手育成を考えています。20歳前後の若い選手が多数いる「トビウオジャパン」の活躍が楽しみです。

安藤啓一

安藤啓一(あんどう けいいち)

福祉ジャーナリスト。大学在学中からフリー記者として活動を始める。1996年アトランタパラリンピックをきっかけに障害者スポーツの取材をはじめる。夏冬パラリンピックや国内大会を多数取材。パラリンピック関係者に読み継がれている障害者スポーツマガジン「アクティブジャパン」「パラリンピックマガジン」記者などを経験。日本障がい者スポーツ協会発行誌『No Limit』などの媒体にも寄稿している。取材活動のほかチェアスキー教室講師としてもスポーツに取り組んできた。共著に「みんなで楽しむ!障害者スポーツ」(学習研究社)がある。


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