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第25回車椅子バスケ~障害者スポーツだからこそ、理学療法士の専門性が生きてくる

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運動機能障害の重い選手が中心の選手構成で対戦する車椅子バスケットボールのHigh8選手権。理学療法士の山名智也さん(32)は医療機関に勤務しながらボランティア活動するパラスポーツトレーナーとして、「世界」を目標とするアスリートたちのアグレッシブなプレーを支える。

 運動機能障害の重い選手が中心の選手構成で対戦する車椅子バスケットボールのHigh8選手権。今年の第18回大会で優勝した埼玉ライオンズは多くの日本代表選手を輩出してきた強豪チームです。理学療法士の山名智也さん(32)は医療機関に勤務しながらボランティア活動するチームトレーナーとして、「世界」を目標とするアスリートたちのアグレッシブなプレーを支えています。

医療職PTとして障害者スポーツに深く関わる

 職場の医療法人社団協友会メディカルトピア草加病院ではリハビリテーション科のPTリーダーとして後輩の育成を担う中堅職員。そして地域では草加市リハビリテーション連絡協議会理事として地域包括ケアに取り組んでいます。
 とても忙しい日々ですが、山名さんは障害者スポーツ(パラスポーツ)と出会った頃のことを、「自分のキャリアとして、医療職が深く関われることを探していました」と振り返ります。
 今から6年ほど前、埼玉県理学療法士協会の事業でパラスポーツのサポートを経験しました。元々、高校球児でスポーツ好きだったこともあり、PT仲間と埼玉ライオンズの練習会を見学しにいきました。そのときは「理学療法士として自分にできることがあれば」と自己紹介したそうです。そして「正式に依頼されたわけじゃありませんが、チームに居ついたようなもの」と、チーム所属のトレーナーになりました。一時期、職場の異動でボランティア活動から遠ざかってしまったことがあり、本格的にかかわるようになったのは3年ほど前。徐々に選手たちの信頼を得てきました。そのために車椅子バスケの専門資格を取得しました。

選手の回復をチェックするトレーナー怪我をした選手の回復をチェックしながらトレーニングを提案。

理学療法士の専門性でパラスポーツ選手の残存機能を引き出す

 山名さんはPTとして職場以外での活動場所を模索していたころ、いくつものスポーツイベントに参加してみた中でパラスポーツに惹かれました。

「車椅子バスケの選手は下肢に運動機能障害があります。なのに残像機能を引き出しながらレベルの高いプレーしていることに驚きました。そして理学療法士からみると、もっと残存機能を引き出せば、さらに高いパフォーマンスができるだろうと、すごく興味を持ちました。
 理学療法はサイエンスです。計測したデータから動作解析する理学療法士の専門性を、運動機能障害の重い選手たちのサポートに生かしていきたいです。
 健常者のアスリートとはだいぶ異なります。残存機能をどこまで引き出せるか、さらにどうすればコンディションを高めることができるのか考えるのが面白い仕事です」

怪我した選手のケアをするトレーナー試合中に怪我した選手のケアをすることも。

一般的なトレーニング論ではないパラスポーツ

 現在はヘッドコーチからの指示で、コンディショニングを担当。ストレングス(筋力向上)や重要な大会に向けた練習メニュー作りにも関わっています。

「選手の中には誤った知識でトレーニングしている人がいます。練習後に痛みがあるからマッサージしてほしいと言ってきたときは、毎回同じような痛みがあるのなら身体の使い方を見直したほうがいいとアドバイスしました。そして身体のここが弱いけれど、ほかの部分はもっと使えるはずだという話もできるようになりました」

 運動機能障害のあるアスリートの場合、一般的なトレーニング論が通用しないときもあります。そして理学療法士はどこまで残存機能があるのか解析しながらその選手ごとに理想的な身体の使い方を提案できます。ここに理学療法士がパラスポーツに関わっていく意義があると山名さんは言います。

フィールドを知り、選手の生活像をはっきりと意識する

 スポーツに関わったことは理学療法士としての自らを高めることにもなりました。
「スポーツしている患者さんは多くいます。そしてレジャーや競技でスポーツしているフィールドを理解していれば、それを再開するためには訓練室でどこまで負荷をかけなければならないのか推察できます。中途半端な準備でスポーツを再開すると、怪我が再発するリスクが高まります」
 医療機関には在宅支援が期待されており、一般に生活像を意識した生活期リハビリテーションが必要だといわれています。同じようにスポーツの現場を意識したリハビリテーションも大切なのです。

競り合う車椅子バスケ選手激しいプレーの多い車いすバスケ。チームに帯同するトレーナーの役割は増えている。

スポーツチームのPTとして、目標は日本選手権の優勝!

 山名さんの目下の悩みはチームと関わる時間の捻出です。あらかじめ日程のわかっている大会は有休休暇を申請して参加できるように調整しています。しかし平日の練習会には、20時ごろになってしまうときがあり、退勤後では間に合いません。そこで選手の故障については山名さんに報告してほしいと選手には頼んでいるほか、勤務している病院に来てもらうそうです。

 競技スポーツの大きな魅力は、勝負の緊張感です。山名さんもそこに魅入られました。
「昨年の日本選手権ではトレーナとしてベンチ入りさせてもらいました。車椅子バスケに関わったからには、いつか優勝したいですね。
 負けたときのことはよく覚えています。アップのメニューを工夫したら、もっと選手もパフォーマンスを引き出せたかもしれないと、スタッフとは議論になります。選手がいいコンディションで出場できるようにするのが理学療法士としての自分の役目だと思っています」。

車椅子バスケ試合場の山名さん山名智也さんは医療機関で理学療法士として勤務しながら、
チーム専属トレーナーとして日本選手権の優勝を目指す。

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安藤啓一

安藤啓一(あんどう けいいち)

福祉ジャーナリスト。大学在学中からフリー記者として活動を始める。1996年アトランタパラリンピックをきっかけに障害者スポーツの取材をはじめる。夏冬パラリンピックや国内大会を多数取材。パラリンピック関係者に読み継がれている障害者スポーツマガジン「アクティブジャパン」「パラリンピックマガジン」記者などを経験。日本障がい者スポーツ協会発行誌『No Limit』などの媒体にも寄稿している。取材活動のほかチェアスキー教室講師としてもスポーツに取り組んできた。共著に「みんなで楽しむ!障害者スポーツ」(学習研究社)がある。


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