【後輩への指導編】新人や後輩指導で気をつけたい会話のマナー ②【第50回】
公開日:2020.11.30 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
会話マナーの2回目は、新人や後輩への指導の場面について考えてみます。指導の様子は、他のスタッフはもちろんですが、患者さんやそのご家族が見たり聞いたりしているかもしれません。乱暴な言葉づかいや命令口調は控え、部下からも周囲のスタッフからも信頼されるような会話を心がけましょう。
【新人が何を考えて何を言いたいのかを引き出す】
指導の際は、後輩や新人が何を考えているのか、何を言いたいのかを考え、それらを引き出す会話を意識しましょう。後輩への指導時に欠かせない会話マナーのポイントは次の通りです。

1.真剣に聴く姿勢を見せる
真剣な態度を示すことで、新人や後輩は自分の話に興味を持ってくれていると感じて自信を持って話すことができます。
2.話を途中で遮らない

後輩が口ごもったり返答に困ったりした時は、時間いっぱい待ちましょう。話を遮ると、相手の話す気を失わせてしまいます。会話の途中で疑問や質問を思いついたときはメモを取っておき、話が終わってから問いかけましょう。
3.否定語を使わない

悪気がなく、軽い気持ちで使った言葉でも、自分が思っている以上に相手が強く否定されたと感じてしまうことがあります。否定する場合には、その理由をきちんと伝えることで相手は納得しやすくなります。「無理」「できない」「嫌だ」といった否定的な言葉を無意識のうちに使う癖がついている人は十分気を付けましょう。
4.答えやすい質問をする

質問するときは、答える後輩の立場になって5W2Hを意識しましょう。何が、なぜ、いつ、どこで、誰が、どのように、といった質問であれば相手も答えやすいので、会話をスムーズに進めることができます。
5.結論から伝える

後輩にわかりやすく話を伝えるために、「結論が先、説明は後」の流れで話しましょう。特に悪い結論を伝えるときは、結論を後回しにして言い訳や理由から始めてしまいがちですが、かえって相手をイライラさせてしまう可能性もあります。「結論から先に」はビジネスの基本でもあります。
【新人や後輩の心の声を真剣に聴く】

新人や後輩に指導するときの会話では、「傾聴力」を強く意識してほしいと思います。傾聴とは、相手の話に耳を傾け、真剣に聴くこと。相手を理解しようと思って共感しながら聴くこととも言えます。傾聴力は、相手の話を聞くだけでなく、相手が言いたいことを引き出す力でもあります。
新人や後輩のセラピストは、指導者の話を聞いている最中に分からないことがあっても、「わからない」と言えないかもしれません。質問するのが恥ずかしかったり、指導者や上司の話を遮ると申し訳ないと思ったりして、質問できない人もいるでしょう。相手の話を真剣に聴くだけでなく、言葉にならない心の声までも聴こうと努力する姿勢が欠かせません。
指導中、部下の話を傾聴する際は、相づちとうなずきを意識しましょう。相づちやうなずきを入れながら聴くと、部下の話を真剣に聴いていると伝えることができます。熱心に聴いてくれる上司には、部下が自信を持って意見を言えるようになります。相づちは「ハイ」など同じ言葉を繰り返すのではなく、「そうですか」「いいですね」「よくわかります」「それから」といったように、いくつかのパターンを身につけておくと、会話が途切れることがありません。うなずきは、ゆっくりと深く、を意識しましょう。何度も速くうなずくと、相手は「催促されている」「早く終わらせたいと思っている」などと感じて、不快感や不信感を抱くことがあります。ちょっとしたことですが、相手の気持ちを思いやる姿勢が欠かせません。


村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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