新人教育のコツは教え方にあり!効果的な声掛けで理解を深めよう【第54回】
公開日:2021.03.30 更新日:2023.05.09
文:村尾 孝子
薬剤師/医療接遇コミュニケーションコンサルタント
先輩や上司の立場になると、部下や後輩に対して「この前、伝えたはずなのに」「あのとき、ああ言っていれば」と思うことがあります。とくに医療の現場では、ほんのちょっとしたミスやすれ違いが大きな事故につながりかねません。
先輩と後輩、上司と部下がお互いに理解を深めるには「伝え方の工夫」が大切です。若手(新人)の不安を取り除いて、業務をおぼえてもらうためにはどんな接し方をすればよいか、指導する立場から考えてみましょう。
伝える側からコミュニケーションを改善しよう
言ったはず・伝えたはずなのに、起こってしまうのがコミュニケーションエラー。
<コミュニケーションエラーの例>
・指導する側は言ったつもりでも、受け手には正しく伝わっていない
・受け手が間違ったかたちで理解してしまう
このようなコミュニケーションエラーは、「伝える側」の「伝え方」に原因がある場合が少なくありません。部下=指導される側は上司を選べないことを肝に銘じて、コミュニケーションエラーを防ぐ職場づくりを目指してほしいと思います。
指導のコツは新人が理解しやすい言葉や言い回しを使うこと
では、どのような伝え方をすれば新人は指導を受けやすいのでしょうか。大切なのは次の3つのポイントです。
①部下の理解を確かめながら話をする
一方的に言いたいことを言って終わりにするのでは、部下が話を理解できたかどうか分かりません。
「ここまでで質問はありませんか?」「先に進めてもいいですか?」などとその都度確認をしたり、状況に応じて復唱してもらったりするといいでしょう。
②部下が理解しやすい言葉や言い回しを使う
上司はいつものクセや自分流の話し方で進めてしまいがちです。しかし部下からすると馴染みのない言い回しや言葉が続いて、戸惑っているかもしれません。
その職種の専門用語を使う場面もあると思いますが、必ずしも言葉の意味を部下が正しく理解しているとは限りません。
また、部下も一人ひとり理解度が異なります。相手の反応によって言葉や言い回しを変えたり、丁寧に補足説明を加えたりするなど、臨機応変な対応が心がけましょう。
③「言ったつもり」にならない
お互いをよく理解しないうちから、あうんの呼吸を新人や部下に求めるのはハードルが高過ぎます。
言ったつもり、やったつもり、「たぶん大丈夫だろう」と過信せず、あやふやな点があればその都度確認をしたり、「先日伝えた●●はその後どうなっていますか」のように進捗をたずねたりして、確実に伝達するための努力が欠かせません。
日常の何気ない会話で「話しやすさ」のきっかけを探す
部下とのコミュニケーションは、業務中に限ったことではありません。むしろ、休憩時間などのちょっとした雑談でかわす言葉の中に、部下を理解するヒントが隠れているものです。
何気ない会話を通して人柄や趣味がわかれば、相手への興味や理解も深まります。
それまで「話しかけにくい」「コミュニケーションをとりづらい」と感じていた部下が、「案外話しやすい人なのかも」「話を聞いてくれそう」と思うようになり、業務中でも気軽に相談してくれるようになるかもしれません。
第53回「先輩・上司に質問するコツとタイミング」で、新人や部下の皆さんにコミュニケーションは「質より量」とお伝えしましたが、部下との信頼関係ができるまでの上司にとっても大切なコミュニケーションのポイントです。
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村尾 孝子(むらお たかこ)
薬剤師、医療接遇コミュニケーションコンサルタント。
株式会社スマイル・ガーデン代表取締役。
薬剤師として総合病院薬剤部、漢方調剤薬局、調剤薬局で20年以上にわたり調剤、患者応対を経験。管理薬剤師として社員の人材育成に注力する。
現在は医療現場経験を活かし、医療接遇コミュニケーションコンサルタントとして活躍中。
マイナビ薬剤師・連載コラムが書籍化された、
「患者さん対応のプロをめざす! 『選ばれる薬剤師』の接遇・マナー」が
2017年7月19日 同文舘出版より発売。
株式会社スマイル・ガーデン : https://smile-garden.jp/
ブログ「いつもワクワク Always Smiling!」: https://smilegrdn.exblog.jp/
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