理学療法士が転職の際にチェックすべき4つのポイント
文:rana 理学療法士
理学療法士として働くなかで、年収アップを考えたり、違う分野に興味を持ったりして転職を検討する人は多いのではないでしょうか。理学療法士は専門職であることから転職しやすい傾向にあり、経験上、多くの理学療法士が転職を経験しています。今の職場に不満があるのなら、転職を機に環境を変えられるかもしれません。しかし、「転職して上手くやっていけるのか」「今より不満を感じる職場だったらどうしよう」という不安もあることでしょう。今回は、過去に3回の転職を経験した筆者が、転職に失敗しないためにチェックすべきポイントについてお伝えします。
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目次
理学療法士が転職を考えるきっかけ
理学療法士が転職を考え始めるきっかけは人によってさまざまですが、よく見かける理由としては、以下のようなものが挙げられます。
年収アップしたい
結婚、出産、マイホーム購入などをきっかけに、「今よりも年収を上げたい」と思い転職を考える人は多いです。経験上、理学療法士は昇給率の低い職場が多い傾向にあるため、転職は年収アップの有効な手段となるでしょう。
違う分野に興味がある
「今までは高齢者を対象にリハビリをしてきたけれど、スポーツをしている若い人を対象にリハビリをしたい」「入院中ではなく、退院後の生活期における分野に携わりたい」など、現在の分野とは違った分野に興味を持ったことをきっかけに、転職を考えるケースも多くあります。
勤務時間や休日に対する不満
「終業時間が遅い」、「有給休暇が取得しづらい」など、職場の勤務時間や休日の取り方に不満を持っている理学療法士は少なくありません。「土日に休みたい」「残業はあまりしたくない」といった理由から転職を希望する人も多いでしょう。
人間関係の問題
セラピスト同士や多職種間でのトラブルなど、一度人間関係が悪化してしまうと修復はなかなか難しく、環境を変えるために転職を希望するケースもあります。
転職する際に確認しておくべき4つのポイント
転職を考えるきっかけや理由は人によってさまざまですが、「より良い環境で働きたい」と思うのはだれしも同じでしょう。しかし、安易な転職活動は失敗に至る可能性があります。理学療法士が転職を成功させるために、確認しておくべきポイントを4つ紹介します。
ポイントその1:リハビリの対象、年齢層、分野は自分の方向性と合っているか
「スポーツ分野に携わりたいと思っていたが、転職先の患者さんはスポーツとは関係のない高齢者ばかりだった」といったように、自分の方向性と異なる環境に転職をしてしまうと、モチベーションを保つことが難しくなります。転職先の業務時間内に見学に行くなどして、リハビリ対象となる患者さんの年齢層や関わる分野についてしっかりとチェックしておくと良いでしょう。
ポイントその2:自分の知識や技術を生かせるか
転職先の候補となる病院や施設のなかには、治療概念や手技に制限がある職場もあります。テーピングやインソールを用いた治療が得意だとしても、それらを用いること自体が禁止であったり、特定概念の治療しか行えなかったりすると、イメージしていた働き方と異なることもあるでしょう。見学の際には、自分の得意な技術や理念をアピールし、それを用いて治療することは可能かどうか確認をしておくと良いでしょう。
ポイントその3:給与、加入保険、福利厚生
募集内容に記載される給与については、応募前に必ず確認したい項目の一つ。それに加えて、加入保険や各手当、福利厚生などもしっかりチェックしておくことが重要です。特にクリニックでは「医師国保」に加入する場合があり、それによって税金の額が大きく変わります。基本給がアップしても税金が上がれば、結果的に手取りが下がるケースもあります。また、家族手当、住宅手当などの有無によっても年収は変わるため、給与以外の待遇面についても事前に確認しておくことが大切です。
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ポイントその4:残業の有無、有休は取りやすいか
募集要項には、勤務時間や休日日数が記載されています。平均的な残業時間が記載されていることもありますが、実際の状況を把握できると安心です。また、有休が取りやすい環境かどうかも確認したいところ。記載されている情報だけでは実際の部分は把握しにくいため、見学の際に直接聞いてみるのが良いかもしれません。直接聞きづらい場合には、転職エージェントを利用するのもおすすめです。一般的な求人情報よりも、より詳しい内部事情を把握していることが多いため、具体的な労働環境を確認しやすくなります。
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理学療法士の転職のポイント。実体験に基づく成功例と失敗例
筆者の実体験から、転職の成功例と失敗例を紹介します。
成功例:やりがいと給料を最優先し転職に成功
筆者は、社会人4年目の時に療養型病院から整形外科クリニックに転職をしました。きっかけは「整形分野に進みたい」「給料をアップさせたい」というもの。スポーツ分野・運動器疾患の患者さんを対象にリハビリができること、今よりも年収が上がることの2つを優先して転職先を決めました。結果的に勤務時間が長くなり、休みも少なくなりましたが、自分としては仕事のやりがいを感じられ、給料も増えて満足できる転職となりました。
失敗例:加入保険の確認不足で失敗
社会人7年目を迎えるころ、整形外科クリニックの立ち上げを手伝ってほしいという話をいただきました。しかもリハ科の科長として迎えてくれるとのこと。給料はこれまでと同じ、年間休みも増えるということも私にとっては好条件でした。しかし転職後、給与明細を見て手取り額が少ないことに気づき、事務長に相談をしました。すると「加入している保険が医師国保だから引かれる額が増えた」と説明を受けたのです。「医師国保」は扶養している家族の人数の分だけ保険料が引かれてしまうので、以前加入していた「協会けんぽ」よりも保険料が高くなってしまいます。結局3年働いた後、別の整形外科クリニックに転職を決断。現在は給料、やりがいともにそれなりに満足のいく職場で働いています。
「これだけは譲れない」というポイントを明確に
明確な目的を持って転職しても、ちょっとしたことで不満を抱える可能性があります。転職の際は「これだけは譲れない」というポイントを明確にして、それを実現できる職場を選ぶことが成功のカギです。私の場合、給料面やリハビリ対象の分野を重視して転職に成功しています。特に給料面は、加入保険や手当などによっても大きく手取りが変わってくるため、事前にしっかりと給与以外の待遇面もチェックすることをおすすめします。
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著者プロフィール
rana(らな)
理学療法士
理学療法士として、これまで総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科で働きながら、訪問看護ステーションにて非常勤勤務を兼務。腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。
業務をこなす傍ら、webライターとしても活動し、健康、医療分野を中心にこれまで多数の記事を執筆している。
監修者プロフィール
マイナビコメディカル編集部
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