理学療法士(PT)が整形外科クリニックで働くメリット・デメリット
文:rana(らな) 理学療法士
理学療法士が働く職場の一つに、整形外科クリニックがあります。病院やデイケアなどとは患者さんの層が異なるため、求められる能力や学べるスキルも異なります。
これから整形外科クリニックで働きたいと考える理学療法士に向けて、過去の経験を元に、整形外科クリニックにおける仕事内容の特徴や、勤務するメリット、デメリットについてお伝えします。
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目次
整形外科における理学療法士の仕事の特徴
整形外科クリニックで働く理学療法士の仕事内容には、どのような特徴があるのでしょうか。3つの特徴を具体的にみていきましょう。
リハビリ対象は外来患者さん
整形外科クリニックでのリハビリ対象は、自分で通院が可能な外来患者さんが中心です。日常生活は自立して行える人がほとんどで、腰痛や膝痛といった疼痛や、「肩があがらない」といった可動域制限など、機能障害に対するリハビリが主となります。
また、小児から高齢者までと、幅広い年齢層の患者さんが来院してくるのも特徴といえるでしょう。
1日にリハビリを行う人数が多い
一般的な病院では1人に対して3単位でリハビリを行うこともあり、ゆっくりと時間をかけて関わる機会が多いものです。しかし、整形外科クリニックでは1人に対するリハビリは1単位となることが多く、1日に10〜15人程度のリハビリに対応することになります。
患者さん一人ひとりに対して、時間をかけずにスピーディーな対応が求められます。
多職種との関わりがほとんどない
病院では、カンファレンスや担当者会議などを通して、他職種と関わる機会が多いものです。今後の方針や現在の状態などについての情報交換を定期的に行っているところがほとんどでしょう。
それに対して整形外科クリニックでは、患者さんの状態に関する情報交換を医師と行う程度で、他職種との関わりはほとんどありません。
理学療法士が整形外科クリニックで働くメリットとデメリット
整形外科クリニックで働くメリットとデメリットとして以下のことが挙げられます。
理学療法士が整形外科を選ぶメリット
整形外科クリニックは、運動器疾患の患者さんが中心です。そのため、筋肉や関節の解剖運動学的な知識や、徒手療法の技術など、運動器に特化したスキルを身につけることができます。
部活やスポーツで怪我をした人も来院するので、将来スポーツ分野に携わりたい人にとっては貴重な経験を積むことができるのもメリットです。また、各患者さんに対して限られた時間のなかでリハビリを実施することになるため、短時間で評価や治療内容を組み立てていく能力も高まるでしょう。
加えて、病院勤務時のような書類業務や委員会の仕事がほとんどないため、リハビリ業務のみに集中して取り組めるのも大きなメリットです。
そのほか、クリニックの休業日に合わせて、祝日やお盆、正月など、カレンダー通りに休日が取りやすいのも利点といえるでしょう。
理学療法士が整形外科を選ぶデメリット
一方で、対象が運動器疾患中心となる整形外科クリニックでは、脳血管障害や呼吸器疾患といった分野に関わることがほとんどありません。
幅広い分野の疾患を経験したいと考えている人にとっては、臨床現場で学べるスキルに限界があることがデメリットといえるでしょう。
また、上述したように、病院と比べると1日にリハビリを行う人数が多く、患者さんが目まぐるしく入れ替わります。一人ひとりの治療時間も短く、スピーディーに評価と治療をこなしていかなければならないため、じっくりと時間をかけて患者さんと関わりたい人や、自分のペースで仕事をしたい人にとってはデメリットになるかもしれません。
加えて整形外科クリニックは、病院よりも帰宅時間が遅くなる傾向があります。多くのクリニックでは昼休みを長く設けていますが、夕方からの診察があるなら終業時間も夜遅くなることが多いでしょう。
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整形外科クリニックで働く理学療法士に求められること
整形外科クリニックでの勤務は、病院とは異なるスキルを求められます。整形外科クリニックへの就職を考えるときは、次の3つのポイントを意識してみましょう。
運動器に特化したスキル
整形外科クリニックの患者さんの大半は、痛みを訴えて来院します。そのため、痛みを引き起こしている原因を追求するために必要な解剖学や運動学、生理学の知識や、動作分析能力が求められます。
また、痛みを軽減させるための徒手療法や運動療法といった治療技術が必要です。病院やデイケアと比べ、より運動器に特化したスキルが求められるでしょう。
短時間で治療効果を出せる能力
患者さん1人あたりのリハビリ時間が限られるため、スピーディーに評価と治療を組み立てていく能力が求められます。臨機応変に判断・対応できる能力とともに、評価と治療の引き出しをいくつも持っておくとよいでしょう。
信頼を得るための対応力
整形外科クリニックに来院する患者さんは、通院できるクリニックを比較的自由に選択できる状況にあります。そのため接遇態度が悪かったり、患者さんが治療効果を感じられなかったりする場合、違うクリニックに移ってしまう患者さんもいます。
勤務先に不利益を与えてしまわないためにも、コミュニケーション力や患者さんから信頼を得られるような対応力も必要といえるでしょう。
運動器のスペシャリストを目指すなら整形外科クリニックがオススメ
整形外科クリニックは、1日当たりの患者数が多く、治療時間も短いため、短期間で結果を出す能力が求められます。そのため、運動器に特化したスキルや、短い時間でも結果を出す対応力を身につけたいと思う人にとっては、大きく成長できる職場です。
また、病院やデイケアと比べ、若い層の患者さんと関わる機会が多く、スポーツ復帰に向けたリハビリや、痛みに特化した治療の経験を積むことができるのも特徴です。自身の適性と進みたいキャリアを考えながら、より良い働き方を考えてみてください。
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著者プロフィール
rana(らな)
理学療法士
理学療法士として、これまで総合病院やクリニックを中心に患者さんのリハビリに携わる。現在は整形外科で働きながら、訪問看護ステーションにて非常勤勤務を兼務。腰痛や肩痛、歩行障害などを有する患者さんのリハビリに日々奮闘中。
業務をこなす傍ら、webライターとしても活動し、健康、医療分野を中心にこれまで多数の記事を執筆している。