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【仕事の目標が思いつかない人へ】目標設定のコツと考え方のヒント

公開日:2021.11.08 更新日:2021.11.10

セラピストが仕事の目標を見つけるには?

文:中山 奈保子
作業療法士(教育学修士)

「皆さんはどんな将来を思い描いていますか?」

仕事に対するモチベーションや集中力は、「近い将来、自分がどんな姿でありたいか」を具体的に思い描いたり言葉にしたりすることで高まります。

もし、目標がなく日々なんとなく業務をこなすだけなのであれば、困難が立ちはだかったとき、何もかもがイヤになってしまいかねません。

では、仕事の目標が思いつかないとき、まず何に目を向けたら良いのでしょうか。

自分は何を目指しているのか。
数年後、どんな仕事をしていたいのか。

いまはまだ、この質問に対する回答がすぐ浮かばなくても大丈夫です。仕事の目標作りのヒントとなる「目標が思いつかないときの対処法や目標設定を考えるコツ」について、作業療法士としての私の経験をもとにご紹介しましょう。

仕事の目標が思いつかないのは「自分らしさ」を見失っているから

新人のころは、職場のルールや上司の指示に従って1日を過ごすのが精いっぱい。目の前の仕事に向き合うだけで1年目、2年目があっという間に過ぎていくでしょう。

少しずつ現場に慣れ、自分ひとりでこなせる仕事が増えてくるとともに、ただ指示に従うのではなく、自分なりの理想や目標が見えてくるものだと思います。

そこで仕事の目標を掲げられないまま、決められた仕事をこなすだけの毎日になってくると、出勤するのがおっくうになったり、同僚との温度差に不快感を抱いてしまったりするかもしれません。

仕事の目標が思いつかないなら、振り返りが必要なサイン

「目標」と言われても、すぐに言葉にならないモヤモヤした気持ち。そのようなときは、「自分らしさ」を発揮できているかどうか振り返る時間を欲しているサインなのではないでしょうか。新人から中堅に移行する時期に「目標が見つからない」と感じた方は、まずは自分自身の気持ちに向き合い、自分らしさを思い出す時間を持ってみましょう。

また、知らず知らずのうちに、周囲の期待に応えるのが目標になっていないでしょうか。「こうなりたい」ではなく「こうしなくてはならない」という考えにとらわれているとき、与えられた仕事をこなすだけで精いっぱいになっているときには、なかなか自分らしさを言葉にすることはできません。

中堅でも必要な「自分らしさ」を考えてみる時間

中堅でもベテランでも、同じことが言えます。目標を持てず、意欲が湧いてこないときは、まずは「自分らしさとは何か?」を考えてみることをおすすめします。苦手なこともあるけれど、他の人にはない強みや得意なことだってあるはずです。

「自分らしい自分として、これまでを振り返る」ことで、どんな自分でありたいのか、何を目指せばいいのかが見えてくるかもしれません。

無理に目標を立てる前に、まずやってみてほしいこと

自分らしさって何?
自分らしく働くって、どういうこと?

このように感じた方には、仕事の目標を見つける第一歩として、まずは休暇を上手に使って、自分らしく過ごす時間、好きな時間、自由な時間を過ごすことをおすすめします。

なぜなら「職場にいるときの自分」と「本当の自分」をいったん切り離すための時間が必要だからです。ありのままの感覚のなか、仕事という枠にとらわれず「好きなこと(やりたいこと)」「嫌いなこと(やりたくないこと・避けたいこと)」をすべて書き出してみる方法は、私も時折実践するおすすめの方法です。

<好きなこと>
少しだけ冷めたコーヒーとチョコレート、ひとりで眺める映画、臨時収入、年末年始の休暇、大役を終えた後の乾杯、猫のあくび……
<嫌いなこと>
玄関に出しすぎた靴、からまったハンガー、満員電車、長過ぎる会議、今日の髪型……

こんなふうに、思いつくまま自由に書き出します。深く考える必要はなく、いまの感覚そのもので大丈夫。だんだん楽しくなってくると思いますよ。SNSでつぶやいても良いでしょう。

こうすることによって、自分が何をしたいか、自分がどのような毎日を過ごしたいのか・過ごしたくないのかが少しずつ「見える化」されます。

自分らしさが見える化できると、仕事の目標も見えてくる

思いつくまま書き出したことは、必ずしも仕事上のことだけではないかもしれません。しかし、自分らしさと「今」とのギャップに気づくきっかけになります。何が自分らしさを遠ざけているのでしょうか。もしかすると、今の職場の環境や働き方そのものが阻害要因になっているかもしれません。

仕事上の目標を掲げる前に、まず自分がどのような「人」でありたいかを、具体的にイメージすることが大切です。

数年後にどう働いていたい?仕事の目標設定の考え方とヒント

セラピストが仕事の目標を見つけるには?
「好きなこと(やりたいこと)」「嫌いなこと(やりたくないこと)」をあらためて見つめ直し、どんな「人」でありたいかを明確にするプロセスは、目標を立てるうえでも役立ちます。

どんな業務をしているときが、もっとも自分らしさを発揮できるのか。
苛立ちや違和感を覚えるのは、どんなときか。
出勤日の1日を、どのように過ごし、どのように終えるのが理想なのか。

1日がイメージできたら、1週間後、1ヶ月後、1年後……と長いスパンで、理想とする自分のあり方を想像してみてください。

どれほど素晴らしい目標を立てても、「自分らしさ」からかけ離れていれば、モチベーションを維持するのは困難ですし、実現しても充足感を得られないかもしれません。ですから、あくまで「自分」を軸として欲する目標を見つけることが重要だと思います。

「好きなこと(やりたいこと)」「嫌いなこと(やりたくないこと)」を折に触れて見つめ直すと、今よりも多く関わりたいことや、知識や技術を深めたい分野などが見えてくると思います。

そこまではっきりすれば、将来どんな場所で働いていて、どんな人になっていたいかが、より明確な目標として浮き上がってくるはずです。

自分らしさを考えるコツは、別記事「セルフコントロールとは?自己管理能力を高める4つの方法」でもご紹介しています。

今後の目標を立てる際にもお役に立てる考え方だと思いますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

目標とする先輩がいない!目指すべき方向が見えないときの目標の見つけ方

セラピストが仕事の目標を見つけるには?

臨床現場などで働くセラピストから、このような言葉を聞くことがあります。

身近に憧れの先輩や「こうなりたい!」と思える存在がいない。
切磋琢磨できる同僚に恵まれていない。
だから、自分がどんな理想像をもてばいいかもわからない……。

私自身も、これまで何度かそのような時期を過ごしてきました。ひとりで悩みを抱える時期も短くありませんでしたが、新人時代に忘れられないひとつの出会いがありました。

相手は、当時働いていた病院のベテラン看護師長。何かと相談に乗ってくれたこと、看護師長と話し合った時間は、今でも忘れられません。

看護師長は、私が病院周辺にある人気レストランや観光名所を全く知らないことに気づき、たくさん行き先を教えてくれました。目の前のしか見えなくなっていた私に、自分らしさを取り戻す時間をくれたのだと思います。看護師長と話すことで、形にならない自分の思いが形になり、セラピストとしてどんな仕事がしたいのかも見えてきました。

もっとも印象的だったことは、「ここならあなたの思いに沿った仕事ができるかもしれない、知り合いの看護師が師長をしているの」と転職先を紹介してくれたことです。結果、転職は大成功でした。病院長、他職種スタッフ、みんなみんな尊敬できる方ばかりで、そのなかで得た経験は、今でも私の一部となっています。

同じ職種の人に絞らず、他職種の人とも接点をもつこと

もし、いま働いている場所で目標を見つけるのが困難だと感じたときは、近い職種の人だけではなく他職種の現場にも目を向け、違う立場の方と話してみてください。

セラピストの方には長くその職場で働いている事務職員の方と話すのがとってもおすすめです。病院の歴史を知っていますし、セラピストがいったん現場に出てしまうと見ることができない風景をもたくさん見ているからです。

自分が目標とすべき存在は、同職種とは限りません。ふだんあまり接しない職員さんにも、病院のために、患者さんのために苦慮されてきた方々がいます。セラピスト以外の方の思いや考え方に触れることで、セラピストとして理想とする姿や目指すべき方向を見出せることもあります。

「この現場ではもうやっていけない」と思い詰めたときも、少し視点を変えて周りを見回せば、自然体の自分を生かせる場が、すぐそばにあるかもしれません。

セラピストである前に、私たちは一人ひとり異なる個性と可能性を持った存在です。

「数年先、自分はどんな姿でありたいのか」「どういう仕事をしていたいのか」

仕事の目標が思い浮かばないときは「自分らしさを思い出すこと」、そして「視点を変えて他職種の人とも話してみること」を、ぜひ思い出していただきたいと思います。

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中山 奈保子

中山 奈保子

作業療法士(教育学修士)。1998年作業療法士免許取得後、宮城・福島県内の医療施設(主に身体障害・老年期障害)に勤務。
現職は作業療法士養成校専任教員。2011年東日本大震災で被災したことを期に、災害を乗り越える親子の暮らしを記録・発信する団体「三陸こざかなネット」を発足し、被災後の日常や幼くして被災した子どもによる「災害の伝承」をテーマに執筆・講演活動を行っている。

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