理学療法士の職業病!? おすすめ「腰痛」対策
公開日:2015.08.27 更新日:2023.04.28
「腰痛」は理学療法士が抱えやすい症状のひとつ。日々、患者さんを抱きかかえたり持ち上げたりする理学療法士にとって、腰への負担は避けられません。しかし、腰痛を引き起こす原因を正しく理解し、作業動作に工夫を加えることで腰への負担を軽減することは可能です。理学療法士が腰痛になる要因と対策について紹介しましょう。
腰痛の原因
腰痛は、腰部を主とした痛みや張りといった不快感が表れる症状です。筋肉や筋膜の損傷によって突然起こるぎっくり腰のような症状もあれば、背骨のクッションの役割をする椎間板が飛び出して起こる椎間板ヘルニアのように、痛みだけでなく脚のしびれを伴うものもあります。そのほか、いくつかの原因が重なっている場合も。
理学療法士が腰痛になる要因
厚生労働省認可の「中央労働災害防止協会」は、理学療法士のようにリハビリ支援を行うセラピストが腰痛になりやすい背景として、以下3つの要因を挙げています。
- 動作要因
「脱力した患者さんを頻繁に抱きかかえる」「(補助器具のような)重いものを頻繁に持ち上げる、もしくは押したり引いたりする」といった動作に加え、「腰を深く曲げる」「腰をひねる」「急激に姿勢を変換する」「長時間同じ姿勢で仕事をする」などの作業動作や姿勢の面で、腰部に過度な負荷や負担が加わるとされています。 - 環境要因
「職場が乱雑で安全な移動が困難」「作業面や患者さんの部屋の床が滑りやすい」「ベッドや机などの配置が悪くて移動しづらい」など、不適切な設備の配置や作業空間といった環境も、腰痛の発症に影響を与えるようです。 - 個人的要因
「慢性化した腰痛がある」「腰が痛いときもゆっくり休むことができない」「自分より体格の大きな患者さんを介助することが多い」といった個別の要因も。年齢や性別、体格や筋力、そのほか腰痛に関わる基礎疾患の有無などが関係します。さらに、労働時間の違いを含め、勤務条件によっても個人差が生じるようです。
腰への負担を軽減するために
リハビリ支援において腰部への負担を軽減するためには、適度な小休止・休憩をとり、ほかの作業と組み合わせながら同一姿勢を長時間続けないことが基本です。しかし、休憩がとりにくい、または休憩だけで疲労回復しにくいという人は、以下のような工夫を取り入れてみましょう。
- 患者さんを抱きかかえる場合
座位の患者さんを持ち上げる場合、片足を少し前に出して膝を曲げてしゃがむように抱え、中腰の姿勢からゆっくりと膝を伸ばしながら抱え上げます。両膝を伸ばしたまま上体を下方に曲げる姿勢をとらないことがポイントです。 - 立ったまま患者さんを抱え、身体の前方で保持する場合
できるだけ身体の近くで支えるのが基本です。腰の高さより低い位置で持ち上げ、背筋を伸ばしたり身体を後ろに反らしたりといった腰部に負担がかかる動作を避けるようにしましょう。 - 移乗全介助、徒手介助を行う場合
1人で行うと、かなり腰に負担がかかる動作になります。なるべく複数人で対応することが望ましいですが、難しい場合は、リフトなどの福祉機器やスライディングシートなどの補助具を利用するようにしましょう。
ストレスも腰痛の大敵
腰痛を引き起こす3つの要因のほか、ストレスや過度な精神的緊張も腰痛の発症と関連があるとされています。なかでも「仕事の満足感が得にくい」「仕事中にイライラすることが多い」など職場環境にストレスを感じる人は、感じない人よりも腰痛を訴える比率が高く、腰痛が長引く傾向にあるようです。
普段からストレスを感じているなら、リラックスできる時間を増やし、上手にストレスを発散させることも腰痛予防、改善に重要なポイント。空いた時間に軽い運動を取り入れたり、好きな音楽を聴いたりしながら、ストレス緩和を意識しましょう。
日々の習慣で腰痛を軽減させよう
理学療法士にとって悩みの種となる腰痛も、作業動作の工夫で腰への負担を軽減できます。ストレスの発散も取り入れながら、腰痛予防と改善を意識したいものです。腰痛対策を日々の習慣にして、無理なくリハビリ支援を進めましょう。
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