栄養サポートチーム(NST)とは?職種別の役割・今後の将来性

更新日 2022年11月11日 公開日 2022年10月26日

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医療に関連する分野で働いていると、「栄養サポートチーム(NST)」という言葉を見聞きすることがあります。とはいえ、その詳細を学ぶ機会が少ないことから、栄養サポートチーム(NST)がどのような職種で構成され、どのような働きをするチームなのかについて、気になる方も多いのではないでしょうか。

当記事では、栄養サポートチーム(NST)の主な活動内容や参加する職種ごとの役割、日本における将来性について解説します。栄養サポートチーム(NST)の仕事内容が気になっている方は、参考にしてください。

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栄養サポートチーム(NST)とは?

栄養サポートチーム(NST)とは、患者さまに対する最適な栄養管理の提供を活動目的とする医療チームのこと。医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、歯科医師などさまざまな職種がチームに参加し、多角的な視点を持って患者さまの栄養状態の改善をサポートします。

栄養サポートチーム(NST)の主な活動内容

病院によって異なる部分もありますが、栄養サポートチーム(NST)の活動は主に次のような流れで行われます。

  • ・対象となる患者さまのピックアップ

    患者さまの血液データや食事摂取量、摂取・投与カロリーなどを記録して、栄養サポートチーム(NST)の活動の対象者となるかどうかを判断します。

  • ・病棟回診

    栄養サポートチーム(NST)は必要に応じて回診を行い、実際に患者さまの様子を観察して栄養状態をより詳細に把握します。

  • ・カンファレンスの実施
    回診などで得た情報をもとに栄養サポートチーム(NST)のメンバー全員で症例検討を行い、患者さまの栄養状態をより翌するための改善策を提案します。

その他、外部講師を招いて勉強会を開くなど、栄養サポートチーム(NST)全体の知識向上を目的とした活動を行う職場もあるでしょう。

栄養サポートチーム(NST)の働きは、患者さまにとって治療効果の向上や合併症予防につながります。

(出典:厚生労働省「(5)栄養サポート等の分野」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000015583.pdf

(出典:厚生労働省「令和4年度診療報酬改定の概要【全体概要版】」/https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000954822.pdf

【職種別】栄養サポートチーム(NST)における役割

栄養サポートチーム(NST)では、メンバーそれぞれが専門知識を生かして患者さまの栄養管理に努めます。患者さまの栄養状態の改善を包括的にサポートするには、さまざまな職種のスタッフでチームを構成することが大切です。

ここでは、栄養サポートチーム(NST)で各職種が担う主な役割や業務について解説します。

医師・歯科医師

栄養サポートチーム(NST)における医師の主な業務は、対象患者の現状について問題点を見つけ、それぞれに合った栄養補給や栄養管理の方法を提示することです。また、医師は栄養サポートチーム(NST)におけるリーダー的な立場として、チームの統括や栄養療法の方向性を示す役割を担う場合もあります。

(出典:チーム医療推進協議会「医師」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/doctor

栄養サポートチーム(NST)に参加する歯科医師は、患者さまの口腔機能状態を総合的に評価し、改善策を提示することを主な業務としています。

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

看護師

看護師は、栄養サポートチーム(NST)の対象となる患者さまのピックアップ業務を担当し、検査データや病態などの情報をもとに、栄養サポートチーム(NST)の対象者を選定します。

また、治療方針や患者さまの現状に対するご家族の反応を確認して、チームのメンバーに共有するのも看護師の業務です。

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

管理栄養士

管理栄養士は、主に栄養サポートチーム(NST)の対象となる患者さまの栄養状態を分析・評価する役割を担います。検査データから体重減少率や栄養摂取率を抽出するなどして、チームのメンバーに分析・評価結果を共有します。

医療機関によっては、栄養サポートチーム(NST)で提供する栄養指導のプランニングといった、重要な役割を任される場合もあるでしょう。

(出典:チーム医療推進協議会「管理栄養士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jda

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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仕事内容や待遇は?学びが多い環境!

薬剤師

薬剤師は、栄養サポートチーム(NST)が栄養療法で使用する栄養剤についての調査など、主に生化学知識を生かした業務を担当します。

服用している他の薬に影響がないことを確認した上で、患者さまへの服薬指導や栄養製品の情報提供などを行います。

(出典:チーム医療推進協議会「薬剤師」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jshp

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

臨床検査技師

栄養サポートチーム(NST)に参加する臨床検査技師が担当するのは、栄養評価の指標となる検査データの管理業務です。患者さまごとに検査データをまとめてチームのメンバーに共有するなど、チームの活動に必要不可欠な役割を担います。

検査データをより深く考察するために、病棟回診に同行して患者さまの様子を確認したり、他の職種の担当者の意見を集約したりする業務にあたる場合もあります。

(出典:チーム医療推進協議会「臨床検査技師」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jamt

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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理学療法士

理学療法士は、主に全身を使ったリハビリテーションを担当します。身体を動かして体力をつけることで食欲増進や栄養吸収の向上が期待できるため、理学療法士は栄養サポートチーム(NST)の活動において重要な職種と言えるでしょう。

患者さまの病態によっては、嚥下しやすい食事の姿勢などを提案することもあります。

(出典:チーム医療推進協議会「理学療法士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/pt

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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仕事内容や作業療法士との違いについて

言語聴覚士

栄養サポートチーム(NST)に参加する言語聴覚士は、主に嚥下運動など口腔機能にかかわる患者さまの状態観察・評価などを担当します。提供する食事の量や形状など、患者さまにとって最適な食事環境を考えて、チーム内で改善策を提案することがよくあります。

栄養サポートチーム(NST)のメンバーに歯科衛生士がいない場合は、患者さまの口腔清掃などのケアを行う場合もあります。

(出典:チーム医療推進協議会「言語聴覚士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jas

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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作業療法士

作業療法士は、主に患者さまの腕や手先のリハビリテーション、嚥下訓練指導などを行います。食事の際に必要な一連の動作の訓練は、食事の摂取量を増やすために有効な取り組みです。

栄養サポートチーム(NST)における活動の一環で、患者さまやご家族と一緒に食事の準備に関わるリハビリテーションを行う場合もあります。

(出典:チーム医療推進協議会「作業療法士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/ot

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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仕事内容について

臨床工学技士

臨床工学技士は、医療機器を扱う専門職です。栄養サポートチーム(NST)に参加する臨床工学技士は、主に患者さまが使用する医療機器の保守・点検業務を担当します。

また、患者さまが直接利用する機器だけではなく、施設内の医療機器全般について、適正使用されているかどうかの確認を行うこともあります。

(出典:チーム医療推進協議会「臨床工学技士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jace

(出典:チーム医療推進協議会「栄養サポートチーム」/https://www.team-med.jp/archives/team/eiyosuport

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歯科衛生士

歯科衛生士は、栄養サポートチーム(NST)の対象となる患者さまの口腔環境を評価したり、機器を使った口腔清掃を行ったりします。

口腔ケアは食事と密接に関わることから、きわめて重要な業務です。栄養サポートチーム(NST)に参加する歯科衛生士は、患者さまとご家族に対して口腔ケアの提案・指導をする場合もあります。

(出典:チーム医療推進協議会「歯科衛生士」/https://www.team-med.jp/archives/specialist/jdha

今後の栄養サポートチーム(NST)はどうなる?

近年、問題視されているのが、身体に必要な栄養素が不足する「低栄養」状態の高齢者の増加です。低栄養は褥瘡(じょくそう)の原因にもなるので、高齢者や長期入院の患者さまは特に栄養摂取に気をつける必要があります。

適切な栄養を摂取することは、健康な状態と要介護状態の中間である「フレイル」の予防にも効果的です。

栄養サポートチーム(NST)は、患者さまの栄養状態を改善するために、適切な食事や栄養管理の提案、口腔ケアの指導、口腔機能のリハビリなどを行います。これらは低栄養やフレイルの予防に役立つ内容であることから、社会の高齢化が進むにつれて栄養サポートチーム(NST)の需要はさらに高まっていくと予想されます。

(出典:厚生労働省「食べて元気にフレイル予防」/https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf

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まとめ

多職種によって構成される栄養サポートチーム(NST)は、患者さまの栄養状態改善を主な活動目的としています。各職種の専門性を生かした多角的なアプローチは高齢者のフレイル予防につながるため、今後も栄養サポートチーム(NST)の需要は高まっていくことでしょう。

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※当記事は2022年8月時点の情報をもとに作成しています

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