臨床工学技士の仕事内容|魅力・やりがいから資格の取得方法まで

更新日 2022年11月11日 公開日 2022年08月10日

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医療機器に精通している臨床工学技士は、現代医療において必要不可欠な存在です。現場では人命に関わる業務が多いため、臨床工学技士を目指す場合は「具体的にどのような業務を行うのか」を把握したうえで、向き・不向きを判断する必要があります。

当記事では、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士の魅力や仕事内容について解説します。臨床工学技士になる方法資格取得の難易度なども紹介するので、臨床工学技士の仕事に興味のある方は必見です。

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将来性のある職業として人気の臨床工学技士とは?

臨床工学技士は、呼吸や循環、代謝といった、生命の維持に直接関わる機能を代行・補助する生命維持管理装置(人工呼吸器、人工心肺装置、血液浄化装置など)を操作する職業です。生命維持管理装置のなかには、人体に影響を与えるものもあるので、装置を常に安全に使用できるように、メンテナンス業務も行っています。

なお、生命維持管理装置を操作する際は、医師の具体的な指示が必要です。一方、生命維持管理装置の管理業務は、医師の指示がなくても行えます。

臨床工学技士の歴史

臨床工学技能士は、1987年に制定された、コメディカルのなかでも比較的新しい職種です。資格は、臨床工学技士法に基づく国家資格となります。

病院やクリニックで使用する生命維持管理装置は、もともと医師や看護師が直接扱っていました。しかし、医療機器の高度化・複雑化に伴って現場の負担が徐々に増加。問題を解決するために、専門職として臨床工学技士が誕生したのです。

臨床工学技士は、世間的な認知度こそ低いものの、医療機器の安全性や有効性がより高いレベルで求められる現代医療において、需要が右肩上がりとなっています。

臨床工学技士の魅力・やりがい

臨床工学技士は、多くの医療機器を取り扱うため、幅広い知識や技術が求められます。そのため、臨床工学技士の仕事は決して容易ではありません。しかし、以下のような点に魅力ややりがいを感じて、臨床工学技士として活躍している方たちも数多くいます。

・人の命を救う一助になれる
・最先端の医療機器が扱える
・診療科や急性期・慢性期病院問わず治療に関与できる
・医療機器に関する知識を持てる
・チーム医療の一員として活躍できる
・活躍できる場が幅広くある
・研究者になるなどの将来性がある

常に新しい技術や考え方に触れられるのが、臨床工学技師の最大の魅力です。新しい医療機器が次々と誕生している現代だからこそ、最先端の医療機器を取り扱うための知識や技術をいち早く身に付けることができるでしょう。

また、特定の医療機器に縛られず、検査、治療、処置など、あらゆる場面の医療機器を取り扱うことも魅力の一つです。努力次第では研究者や教育者など、活躍の場を大きく広げられるでしょう。

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臨床工学技士の仕事内容

臨床工学技士は、勤務先の診療科や施設の規模によって仕事内容が異なります。そのため、使用する医療機器の取り扱いや、仕事の進め方をしっかりと理解した上で、チーム医療の一員であることを意識しながら仕事を行うことが重要です。

ここでは、臨床工学技士が担う仕事を7つ紹介します。臨床工学技士を目指している方は、きちんと把握しておきましょう。

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呼吸治療業務

呼吸治療業務は、患者さまに取り付けられた人工呼吸器が問題なく稼働しているかをチェックしたり、人工呼吸器の保守点検やメンテナンス、管理をしたりする仕事です。

人工呼吸器は、病室だけでなく、集中治療室や手術室でも使用されているため、臨床工学技士の仕事のなかでも重要度の高い業務といえます。

人工呼吸器は、正常に働かなくなった肺の代わりに取り付ける機器なので、日頃から不具合が起こらないよう徹底管理することが大切です。

人工心肺業務

心臓手術を行う際は、心臓に流れる血液の循環を体外で管理する必要があります。心臓に流れる血液を体外で管理するための体外循環装置(人工心肺)は、患者さまの体に合ったサイズを使用する必要がある他、専門的な知識や的確な判断、操作が求められます。

人工心肺業務で使用する医療機器は、正しく操作しなければ人工心肺の回路内で血液が凝固するなどのトラブルに発展する恐れがあります。そのため、長時間集中力を保つことが重要です。

血液浄化業務

血液浄化業務とは、腎臓が十分に機能していない患者さまの体内に溜まっている老廃物を体外に排せつさせる仕事です。血液を浄化させる方法には、血液透析療法や血漿(けっしょう)交換療法、血液吸着法などがあり、臨床工学技士は穿刺(せんし)や人工透析装置の操作も行います。

血液浄化業務を担当する場合は、主に透析室に勤務することになり、そこでの基本的な業務内容は、回路の組み立てや穿刺・返血、透析中の装置や血圧の確認などです。医療機関のなかには、人工透析を専門とするクリニック・病院も多く、人工透析装置の操作、管理、メンテナンスのみを担当する臨床工学技士もいます。

高気圧酸素業務

一酸化炭素中毒や急性の心筋梗塞などで、突然血中の酸素濃度が低下することがあります。そのような状態に陥った場合は、血中の酸素濃度を素早くアップさせるために、高気圧酸素治療装置を操作します。

酸素濃度を大気圧の2倍ほどに上げた高気圧酸素治療装置で、患者さまを安静に保てば、血中にある酸素濃度をアップさせることが可能です。

高気圧酸素療法は、体内の低酸素状態の改善が期待できる他、末梢循環の改善や抗菌効果も期待できます。

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集中治療業務

集中治療業務では、呼吸や循環などが急性機能不全に陥った重篤な患者さまに、生命維持管理装置を使用し、24時間体制で治療・管理を行います。

ただし、PCPS(経皮的心肺補助)による心臓のポンプ機能の補助や、持続透析装置による血液浄化は、患者さまの状態によって使用する装置が異なります。そのため、集中治療業務を行う際は、患者さまの状態をしっかりと見極めることが重要です。

心血管カテーテル業務

心血管カテーテルの検査業務は、動脈圧、心電図、動脈血酸素飽和度など、複数のポイントから患者さまのバイタルサインをチェックしたり、心臓病の診断をしたりする仕事です。緊急時には、体外式のペースメーカーや補助循環装置を使用する場合もあります。その他、清潔介助者として、検査や手術がスムーズに進むように医師をサポートすることも、臨床工学技士の役割です。

心血管のカテーテル検査は、手術の術式を決定するための重要な仕事です。そのため、画像診断装置の結果をもとに、医師から治療の適応について意見を求められることもあります。

ペースメーカー・ICD業務

ペースメーカー・ICD業務では、不整脈の患者さまに対してペースメーカー、ICD(植え込み型除細動器)といった心臓デバイスの植え込み手術を行います。

植え込まれる心臓デバイスの確認や植え込み手術中の装置モニタリングはもちろん、手術後の定期外来におけるメンテナンスも、臨床工学技士の重要な仕事です。

なお、手術に使用される医療機器のなかには、ペースメーカーに影響を与える恐れのあるものも存在します。医療機器による影響を避けるためにも、手術前には医療機器の設定調節を行うなど、機器のチェック業務が欠かせません。

手術室業務

手術室で使用する医療機器が正常かつ安全に作動するかどうか、始動前に点検を行うのも臨床工学技師の業務です。麻酔器、生体情報監視装置、除細動器など、手術室には多種多様な医療機器があるため、臨床工学技士にはそれぞれの取り扱いについて深い理解が求められます。

手術中に医療機器に不具合が起これば、大きなリスクにつながりかねません。だからこそ、臨床工学技士は日常点検や修理対応を適切に行い、安全性の高い手術の実現を目指す必要があります。

医療機器管理業務

手術室以外にも、病院ではさまざまな医療機器が使用されており、院内での貸出・返却については医療機器管理室で一括管理されるのが一般的です。したがって、医療機器管理室で働く臨床工学技士は、透析装置や輸液ポンプなど、各種機器の機能を維持するために保守点検を行うことになります。

また、現場スタッフを対象に、医療機器の使い方などを説明する講習会を開催する場合もあります。それを踏まえれば、現場スタッフに正しい知識を普及させ、医療機器の効率的な使用と事故抑止につなげることも、臨床工学技士の大事な役割といえるでしょう。

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臨床工学技士に向いている方の特徴

臨床工学技士として活躍している方には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、代表的なものをいくつか紹介します。

●コミュニケーション能力が高い方
臨床工学技士は、医師、看護師、臨床検査技師などと連携しながら業務を行います。情報共有をしたり、治療中に声をかけ合ったりする場面も多いため、一定のコミュニケーション能力が必要でしょう。信頼関係があってこそ成り立つのがチーム医療であり、相手の状況や心理を踏まえたやり取りができることが理想です。

●機械への興味や関心がある方
医療機器には特殊なパーツが多く使われており、構造も非常に複雑です。工学的な知識は養成課程で学べるものの、根本的に機械いじりやメンテナンスが好きでなければ仕事として続けていくのは難しいでしょう。最新機器が導入されれば、真っ先に操作方法などを覚える必要があるため、機械への興味・関心は大事な資質だといえます。

●「患者さまを助けたい」という気持ちが強い方
臨床工学技士が関わる患者さまは、心臓疾患、慢性腎不全など重度な症状を持つ方がほとんどです。また、人工透析(血液透析)を行う患者さまについては、週3日・1回4時間以上の治療が必要であり、相応の苦労と責任が伴います。そのため、高度な医療機器を扱えるスキルだけでなく、「病気を持つ人を助けたい」という強い意志を持っていることが大前提となるでしょう。

●体力に自信がある方
臨床工学技士が24時間体制で働く病院も増えており、残業を含めて日勤から夜勤までを幅広くこなせる体力が必要です。長時間の手術に立ち会うこともあり、集中力や注意力も求められます。また、オンコール対応を行う場合も少なからずあります。

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臨床工学技士になるには?資格の取得方法を解説

臨床工学技士になるには、下記のような養成校で厚生労働大臣の指定する科目を修了した上で、国家試験に合格しなければなりません。

・大学(4年)臨床工学科・医用生体工学科など
・短大(3年)臨床工学科
・専門学校(3~4年)臨床工学科・臨床工学技士科など
・専攻科(夜間2年・昼間1年)
・専攻科(昼間2年・夜間2年)

養成校はいずれも、大学受験資格のある方が入学対象となります。したがって、高校中退や中卒から臨床工学技士を目指す場合は、通信制高校・高卒認定試験で高卒資格を得るのが最初の一歩です。

専攻科は、医療系国家資格養成所や大学で指定年数を修業し、厚生労働大臣指定の科目を履修した方が対象の専門教育課程です。なお、看護師や臨床検査技師として働いている方は、通常よりも短期間で受験資格を得ることができます。夜間制もあるのでぜひ検討してみましょう。

(出典:日本臨床工学技士会「技士免許取得の方法」/https://ja-ces.or.jp/for-students/how-to-obtain-an-engineers-license/

養成校は大学・専門学校のどちらがおすすめ?

学生や異業種で働く社会人が臨床工学技士を目指す場合、養成校は大学と専門学校の2択となります。自分にとってどちらが適切かを判断するために、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

●大学
臨床工学を4年間じっくり学べるのが特徴であり、研究室では高度な研究にも参加できます。卒業後は大学院に進学し、修士課程・博士課程に臨むパターンが多い傾向にあります。将来的に大学病院や企業で研究職に就きたいと考える方は、大学を選ぶのがおすすめでしょう。留意点としては、「カリキュラムに一般教養が含まれる」「専門学校と比べて学費が高い」などが挙げられます。

●専門学校
即戦力を養成することに力を入れているのが大きな特徴です。授業は実践を見据えた内容が多く、人工呼吸器実習、人工心肺実習、透析実習などを行う他、実際の医療機器の操作方法なども学びます。医用工学の資格であるME検定や、国家試験に関わる学習が積極的に行われている点も魅力です。専門学校は2年制なので、「少しでも早く現場で経験を積みたい」という方にはおすすめですが、短期間で技術・知識を学ぶため、学習スケジュールが過密になる傾向にあります。

国家試験の難易度・合格率

臨床工学技士の国家試験は毎年1回実施されており、令和4年3月の「第35回臨床工学技士国家試験」では受験者数2,603人のうち2,096人が合格しています。ちなみに、合格率80.5%という数値は例年並みです。合格者の内訳に目を移すと、過半数が新卒者となっています。

(出典:厚生労働省「第35回臨床工学技士国家試験の合格発表について」/https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2022/siken17/about.html

臨床工学技士は、受験資格を得るまでの期間が長いものの、試験の難易度自体はそう高くありません。地道に学習した上で十分な受験対策を行えば、合格できる可能性が大いにあります。資格は、一度取得すれば一生涯有効です。大学を選ぶにせよ、専門学校を選ぶにせよ、苦労して勉強するだけの価値は十分にあるでしょう。

国家試験を受けるために必要な知識

臨床工学技士の試験を受けるには、幅広い分野の知識が求められます。まずは、過去5年ほど遡り、過去問からポイントをつかむのが良いでしょう。

以下は、臨床工学技士の試験を受ける際に必要となる知識です。

・医用電気電子工学
・情報処理工学
・医用機械工学
・生体物性材料工学
・生体機能代行装置学
・医用治療機器学
・生体計測装置学
・医用機器安全管理学

臨床工学技士の国家試験を受ける際は、医学概論で医学全般を理解しておく他、上記の分野の知識をしっかりと身に付けておきましょう。上記の分野の知識を身に付ければ、試験合格の可能性がアップするだけでなく、臨床工学技士として働く際にも役に立ちます。

【関連リンク】臨床工学技士の国家試験の詳細|
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まとめ

臨床工学技士は医師の指示のもと、生命維持管理装置の操作や管理を行います。また、臨床工学技士は透析室や集中治療室、手術室など、さまざまな現場で活躍しています。臨床工学技士になりたい方は、国家資格を得るために養成校選びから始めてみましょう。

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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています

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