臨床工学技士の仕事内容|魅力・やりがい・勤務先と資格の取得方法

更新日 2024年01月26日 公開日 2022年08月10日

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血液透析装置や人工呼吸器、人工心肺装置といった高度な医療機器に精通している臨床工学技士は、現代医療において必要不可欠な存在です。現場では人命を支える業務が多いため、臨床工学技士を目指す場合は「具体的にどのような業務を行うのか」を把握した上で、向き・不向きを判断する必要があるでしょう。

当記事では、医療機器のスペシャリストである臨床工学技士の魅力や、仕事内容について詳しく解説します。臨床工学技士になる方法や、資格取得の難易度なども紹介するので、臨床工学技士の仕事に興味のある方はぜひご覧ください。

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臨床工学技士の仕事内容|魅力・やりがい・勤務先と資格の取得方法

将来性のある職業として人気の臨床工学技士とは?

臨床工学技士は呼吸や循環、代謝など、生命の維持に直接関わる機能を代行・補助する生命維持管理装置(人工呼吸器、人工心肺装置、血液浄化装置など)を操作する職業です。生命維持管理装置のなかには、人体に影響を与えるものもあるので、常に安全に使用できるように管理し、メンテナンスを行うのも臨床工学技士の大事な業務となります。

なお、生命維持管理装置を操作する際は、医師からの具体的な指示が必要です。一方、生命維持管理装置の管理業務は、医師の指示がなくても行えます。

臨床工学技士の歴史

臨床工学技能士は、1987年に制定された、コメディカル職のなかでも比較的新しい職種です。資格は臨床工学技士法にもとづく国家資格です。

病院やクリニックで使用する生命維持管理装置は、もともと医師や看護師が扱っていました。しかし、医療機器の高度化・複雑化にともなって現場の負担が増加したため、装置を扱う専門職として臨床工学技士が誕生したのです。

臨床工学技士は、世間的な認知度こそ低いものの、医療機器の安全性・有効性がより高いレベルで求められる医療業界において、需要が右肩上がりの状況となっています。

臨床工学技士の魅力・やりがい

臨床工学技士は、多くの医療機器を取り扱うため、幅広い知識と技術が求められます。そのため、けっして容易な仕事ではありません。しかし、以下のような点に魅力、やりがいを感じて、臨床工学技士として活躍している方は数多くいます。

・人の命を救う一助になれる
・最先端の医療機器が扱える
・診療科や急性期・慢性期病院を問わず治療に関与できる
・医療機器に関する知識を持てる
・チーム医療の一員として活躍できる
・活躍できる場が幅広くある
・研究者になるなどの将来性がある

常に新しい技術や考え方に触れられるのが、臨床工学技士の最大の魅力です。新しい医療機器が次々と誕生している現代においては、最先端の医療機器を取り扱うための知識や技術をいち早く身に付けられるでしょう。

また、特定の医療機器に縛られず、検査・治療・処置など、あらゆる場面の医療機器を扱えるのも臨床工学技士の魅力です。努力次第では研究者や教育者になるなど、活躍の場が大きく広がります。

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臨床工学技士の仕事内容

臨床工学技士は、勤務する施設や診療科によって仕事内容が異なります。そのため、使用する医療機器の取り扱いや仕事の進め方をしっかりと理解した上で、現場に合った対応を心がけることが大事です。

ここでは、臨床工学技士が担う仕事を7つ紹介します。臨床工学技士を目指している方は、それぞれの内容をきちんと理解しておきましょう。

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呼吸治療業務

呼吸治療業務は、患者さまに取り付けられた人工呼吸器が問題なく稼働しているかをチェックしたり、人工呼吸器の保守点検やメンテナンス、管理を行ったりする仕事です。

人工呼吸器は、病室だけでなく集中治療室や手術室でも使用されているため、臨床工学技士の仕事のなかでも重要度の高い仕事と言えます。

また人工呼吸器は、正常に働かなくなった肺の代わりに取り付ける機器なので、日ごろから不具合が起こらないよう徹底管理することが大切です。

人工心肺業務

心臓手術を行う際は、心臓に流れる血液の循環を体外で管理する体外循環装置(人工心肺)の操作・管理を行います。場合によっては複数の医療機器を同時に扱うことになるため、臨床工学技士には専門的な知識だけでなく、的確な判断力や操作能力が求められます。

人工心肺業務で使用する医療機器は、正しく操作しないと回路内で血液が凝固するなどのトラブルに発展する恐れがあるので、長時間集中力を保つことも重要です。

血液浄化業務

血液浄化業務とは、腎臓が十分に機能していない患者さまの体内に溜まった老廃物を体外に排泄させる治療のことです。血液を浄化させる方法には、血液透析療法や血漿交換療法、血液吸着法などがあり、臨床工学技士は穿刺(せんし)や人工透析装置の操作を担います。

血液浄化業務を担当する場合は、主に透析室に勤務することになり、そこでの基本的な業務内容は、回路の組み立てや穿刺・返血、透析中の装置や血圧の確認などです。医療機関のなかには、人工透析を専門とするクリニック・病院も多く、人工透析装置の操作・管理・メンテナンスのみを担当する臨床工学技士も存在します。

高気圧酸素業務

一酸化炭素中毒や急性の心筋梗塞などの疾患では、突然血中の酸素濃度が低下することがあります。そのような状態に陥った場合は、高気圧酸素治療装置を使って血中の酸素濃度を素早くアップさせなければなりません。

具体的には、酸素濃度を大気圧の2倍ほどに上げた高気圧酸素治療装置で患者さまを安静に保ち、血液中の酸素を増やします。

なお、高気圧酸素療法は、体内の低酸素状態を改善できるほか、末梢循環の改善や抗菌効果も期待できます。

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集中治療業務

集中治療業務では、呼吸や循環などが急性機能不全に陥った重篤な患者さまに、生命維持管理装置を使用し、24時間体制で治療・管理を行います。

ただし、PCPS(経皮的心肺補助)による心臓のポンプ機能の補助や、持続透析装置による血液浄化は、患者さまの状態によって使用する装置が異なります。そのため、集中治療業務を行う際は、患者さまの状態をしっかり見極めることが重要です。

心血管カテーテル業務

心血管カテーテルの検査業務は、動脈圧、心電図、動脈血酸素飽和度など、複数のポイントから患者さまのバイタルサインをチェックしたり、心臓病の診断をしたりする仕事です。緊急時には、体外式のペースメーカーや補助循環装置を使用する場合もあります。そのほか、検査や手術がスムーズに進むように、清潔介助者として医師をサポートするのも臨床工学技士の役割です。

心血管のカテーテル検査は、術式を決定するための重要な仕事です。場合によっては、画像診断装置の結果をもとに、医師から治療の適応について意見を求められることもあるでしょう。

ペースメーカー・ICD業務

不整脈の患者さまにペースメーカー、ICD(植え込み型除細動器)といった心臓デバイスの植え込み手術を行う際に、機器の管理や操作、モニタリングを担当します。手術後の定期外来におけるメンテナンスも、臨床工学技士の重要な仕事です。

なお、手術に使用される医療機器のなかには、ペースメーカーに影響を与える恐れのあるものも存在するため、手術前には医療機器の設定調節や動作チェックが欠かせません。

手術室業務

手術室で使用する医療機器が正常かつ安全に作動するかどうか、始動前に点検を行うのも臨床工学技師の仕事です。麻酔器や生体情報監視装置、除細動器など、手術室には多種多様な医療機器があるため、臨床工学技師にはそれぞれの取り扱いについて深い理解が求められます。

手術中に医療機器に不具合が起これば、大きなリスクにつながりかねません。だからこそ、臨床工学技士は日常点検や修理対応を適切に行い、安全性の高い手術の実現を目指す必要があります。

医療機器管理業務

手術室以外にも、病院ではさまざまな医療機器が使用されており、院内での貸出・返却については医療機器管理室で一括管理されるのが一般的です。そのため、医療機器管理室で働く臨床工学技士は、透析装置や輸液ポンプといった各種機器の機能を維持するために、保守点検を行うことになります。

また、臨床工学技士は現場スタッフを対象に、医療機器の使い方についての講習会を開催することもあります。それを踏まえるなら、現場スタッフに正しい知識を普及させて、医療機器の効率的な使用と事故抑止を実現することも、臨床工学技士の大事な役割と言えるでしょう。

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臨床工学技士が活躍できる場所は?

臨床工学技士の知識と経験は、さまざまな職場で生かせます。臨床工学技士として就職・転職を目指す際は、活躍できる場所の特徴や自分がやりたいことをイメージした上で、希望に合った働き方ができる勤務先を選びましょう。

ここでは、臨床工学技士の主な勤務先とそれぞれの仕事内容をご紹介します。

病院

臨床工学技士の管理や保守点検を必要とする高度な医療機器は、主に病院で使われています。そのため、臨床工学技士の多くは病院に勤務しており、特に総合病院や大学病院といった大規模な医療施設からの求人が豊富です。

病院で働く臨床工学技士の主な仕事内容は、下記の通りです。

・呼吸治療業務
・人工心肺業務
・高気圧酸素業務
・血液浄化業務
・心血管カテーテル業務
・ペースメーカ(PM)/ICD業務
・内視鏡業務
・手術室業務
・集中治療室業務
・医療機器管理業務

病院で働く臨床工学技士に求められる役割は、人工呼吸器や人工心肺装置などの管理から操作、保守点検まで多岐にわたります。

病院や配属される部署によって任せられる業務は異なりますが、総合病院や大学病院で働く場合は、重症患者の治療サポートや手術時の対応など、大規模病院ならではの仕事があります。幅広い症例も経験できるため、さまざまな業務をこなしてスキルアップを目指したい方や、先端の医療技術を学びたい方にはよい環境と言えるでしょう。

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透析クリニック

透析クリニックは人工透析を専門としたクリニックです。人工透析とは、人工腎臓を使用して老廃物や余分な水分を取り除く治療法で、主に慢性腎不全などの患者さまに対して行われます。透析が必要な患者さまの割合は年々増加傾向にあり、それに伴って透析クリニックのニーズも高まっています。

人工透析には臨床工学技士の知識と経験が必須であるため、透析クリニックで働く臨床工学技士はけっして少なくありません。

透析クリニックで働く臨床工学技士の主な仕事内容は、下記の通りです。

・血液浄化業務
・医療機器管理業務

臨床工学技士の役割は、血液浄化業務のなかの血液透析業務に特化しており、血液透析の知識・スキルを磨きたい方にはおすすめの職場と言えるでしょう。ただし、臨床工学技士としてさまざまな業務を経験したい方には、物足りなく感じる可能性があります。

多くのクリニックでは入院設備がなく、当直やオンコール対応の必要もないため、プライベートと仕事のバランスがとりやすいのも透析クリニックの特徴です。

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医療機器メーカー

臨床工学技士が活躍できる職場の1つに、医療機器メーカーなどの一般企業があります。医療機器メーカーで働く臨床工学技士の主な仕事内容は、下記の通りです。

・医療機器の営業サポート
・医療機器の製造開発
・病院や研修でのデモンストレーション

医療機器メーカーで働く場合は、臨床工学技士の知識や経験を生かして、顧客に自社の医療機器の特徴や操作方法の説明を行います。つまり、医療機器の操作・管理業務が中心となる病院や透析クリニックとは違って、営業スキルやコミュニケーションスキルが重視されるわけです。

患者さまと接する時間はほとんどなく、医療従事者との関わりが中心となりますが、日々進化する医療機器への関心が高い方や医療従事者の力になりたいという方は、やりがいを持って働ける職場です。

病院やクリニックよりも年間休日数が多い傾向にあるため、ワークライフバランスを重視する方にもよい環境でしょう。

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臨床工学技士の年収は?

臨床工学技士の平均年収は約443万円です。ただし、これは「その他の保険医療従事者」のデータであるため、臨床工学技士だけでなく鍼灸師、柔道整復師などの年収も含まれています。

(出典:日本臨床工学技士会「技士免許取得の方法」/https://ja-ces.or.jp/for-students/how-to-obtain-an-engineers-license/

同じ医療技術者である臨床検査技師(約509万円)や診療放射線技師(約544万円)と比べると、臨床工学技士の年収はやや低めです。年収の水準が低い理由としては、臨床工学技士が比較的新しい資格であるため、働く方の年齢層が若く給与水準が低くなっている可能性が考えられます。

また、臨床工学技士の年収はどのような職場で、どのような働き方をするかによっても変わります。臨床工学技士の年収を左右する主な要素は、以下の通りです。

・職種
病院や透析クリニックよりも、医療機器メーカーに勤務する方のほうが、年収は高くなりやすい傾向にあります。仕事内容は大きく異なるものの、収入を重視する場合は医療機器メーカーへの就職・転職も検討してみましょう。
・夜勤の有無
24時間体制の病院で働く臨床工学技士は、交代制で夜勤が発生します。夜勤やオンコール対応がある病院の場合は、夜勤手当や待機手当が付くため年収が高くなりやすいでしょう。勤務先によっては、平均年収以上の収入を狙うことも可能です。
・勤務先のエリア
勤務先のエリアによっても、年収に差が生じることがあります。地方にある病院と比べると、都心部の病院のほうが年収は高めです。
・医療系資格の有無
臨床工学技士以外の医療系資格を取得している場合、資格手当が付いて年収が高くなる可能性があります。「専門臨床工学技士」「認定臨床工学技士」「透析技術認定士」など、取得できる医療系資格をチェックしておきましょう。

年収が高い働き方を希望する場合は、医療機器メーカーや24時間体制の病院がおすすめです。働くエリアにこだわりがなければ、都心部で就職先を探してみるのもよいでしょう。

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臨床工学技士に向いている方の特徴

臨床工学技士として活躍している方には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、代表的な特徴をいくつか紹介します。

●コミュニケーション能力が高い方
臨床工学技士は、医師や看護師、臨床検査技師などと連携しながら業務を行います。情報を共有したり、治療中に声をかけ合ったりする場面も多いので、臨床工学技士には一定のコミュニケーション能力が求められるでしょう。チーム医療には信頼関係が不可欠なため、相手の状況や心理を踏まえたやりとりをできるのが理想です。

●機械への興味や関心がある方
医療機器は特殊なパーツが多く使われており、構造も非常に複雑です。工学的な知識は養成課程で学べるものの、根本的に機械いじりやメンテナンスが好きでなければ仕事として続けていくのは難しいでしょう。最新機器が導入されれば、真っ先に操作方法などを覚える必要があるため、機械への興味・関心は大事な資質と言えます。

●人助けをしたい方
臨床工学技士が関わる患者さまは、心臓疾患、慢性腎不全など重度な症状を持つ方がほとんどです。また、人工透析(血液透析)を行う患者さまについては、週3日・1回4時間以上の治療が基本となるため、相応の労力と責任が伴います。そうしたことから、高度な医療機器を扱えるスキルだけでなく、「病気を持つ人を助けたい」という強い意志を持っていることも重要です。

●体力に自信がある方
臨床工学技士が24時間体制で働く病院も増えており、そうした職場では残業を含めて、日勤から夜勤までを幅広くこなせる体力が必要です(オンコール対応を行う場合も少なからずあります)。長時間の手術に立ち会うこともあるため、集中力や注意力も求められるでしょう。

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臨床工学技士の大変さ

医療チームの一員である臨床工学技士の仕事には、多くのやりがいがありますが、一方で大変なことや難しいこともあります。

以下では、臨床工学技士の仕事の大変さについて解説します。

当直がある

当直では、日中の業務を引き継いで夜間の対応を行います。当直時の具体的な仕事内容は、次の通りです。

・手術室対応
・緊急カテーテル治療
・急性血液浄化療法 など

病棟でのコール対応のほか、集中治療室での機器管理や手術室対応、緊急心臓カテーテル治療などに対応することもあります。当直時は、1人で臨床工学技士の仕事をこなすことも多いため、医療機器の知識だけでなく急性期領域に関する知識も必要になるでしょう。

当直には手当がもらえるというメリットがあるものの、いつ、どのような業務が必要になるか分からないことから、不安やプレッシャーを感じる方も少なからずいます。

当直がつらいと感じるようであれば、勤務先を見直すのも1つの方法です。例えば、医療機器メーカーや透析クリニックであれば、基本的に当直はありません。

緊急時の対応がある

急患や患者さまの急変で呼び出しがあれば、就業後であっても対応しなければなりません。緊急時の具体的な仕事内容は、次の通りです。

・心肺停止や急変への対応
・緊急透析
・緊急カテーテル治療
・機器のトラブル対応 など

医療機器の準備や操作には臨床工学技士の知識と技術が不可欠です。とはいえ、緊急時の対応には精神的なプレッシャーが大きく、そうした環境に大変さを感じる方も多く見られます。緊急時の呼び出しに不安を感じる場合は、緊急時対応が少ない慢性期医療の施設で働くことも検討してみましょう。

常に勉強をする必要がある

医療技術や医療機器は日々進化しているため、国家資格取得後も関連分野の勉強を続ける必要があります。

ただし、臨床工学技士の業務範囲は幅広く、すべての内容をアップデートするには時間がかかります。特に医療機器は進化のスピードが速いため、病院や透析クリニックで働く方はもちろん医療機器メーカーで働く方も、意識的に勉強時間を確保することが求められるでしょう。また、認定資格の取得を目指している方であれば、知識・スキルのアップデートに加えて資格取得の勉強も必要です。

そうしたことから、「臨床工学技士は大変」と感じる方はけっして少なくありません。しかし、日々の努力によってチーム医療に貢献できたときや、患者さまに感謝されたときは、大きな充実感とやりがいを感じられるでしょう。

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臨床工学技士になるには?資格の取得方法を解説

臨床工学技士になるには、下記のような養成校で厚生労働大臣の指定する科目を修了した上で、国家試験に合格しなければなりません。

・大学(4年)臨床工学科・医用生体工学科など
・短大(3年)臨床工学科
・専門学校(3~4年)臨床工学科・臨床工学技士科など
・専攻科(夜間2年・昼間1年)
・専攻科(昼間2年・夜間2年)

養成校はいずれも、大学受験資格のある方が入学対象となります。そのため、高校中退や中卒から臨床工学技士を目指す場合は、通信制高校・高卒認定試験で高卒資格を得る必要があります。

専攻科は、医療系国家資格養成所や大学で指定年数を修業し、厚生労働大臣指定の科目を履修した方が対象の専門教育課程です。看護師や臨床検査技師として働いている方は、専攻科を選ぶことで通常よりも短期間で受験資格を得られます。夜間制もあるのでぜひ検討してみましょう。

(出典:日本臨床工学技士会「技士免許取得の方法」/https://ja-ces.or.jp/for-students/how-to-obtain-an-engineers-license/

養成校は大学・専門学校のどちらがおすすめ?

学生や異業種で働く社会人が臨床工学技士を目指す場合、選べる養成校は大学と専門学校の2択となります。自分にとってどちらが適切かを判断するために、それぞれの特徴を押さえておきましょう。

●大学
臨床工学を4年間じっくりと学べるのが特徴であり、研究室では高度な研究にも参加できます。また、卒業後は大学院に進学して、修士課程・博士課程に臨むパターンも多い傾向です。将来的に大学病院や企業で研究職に就きたい方は、大学を選ぶのがよいでしょう。留意点としては、「カリキュラムに一般教養が含まれる」「専門学校と比べて学費が高い」などが挙げられます。

●専門学校
即戦力の養成に力を入れているのが、専門学校の大きな特徴です。授業では実践を見据えた内容が多く、人工呼吸器実習、人工心肺実習、透析実習などを行うほか、実際の医療機器の操作方法も学びます。医用工学の資格であるME検定や、国家試験に関わる学習が積極的に行われている点も魅力です。

専門学校は2年制なので、「少しでも早く現場で経験を積みたい」という方にはおすすめです。ただし、短期間で技術・知識を学ぶため、「カリキュラムに自由度がない」ことは理解しておきましょう。

国家試験の難易度・合格率

臨床工学技士の国家試験は毎年1回実施され、令和5年3月の「第36回臨床工学技士国家試験」では、受験者数2,706人のうち2,311人が合格しています。合格率は85.4%となっており、例年よりもやや高めの水準でした。

(出典:厚生労働省「第36回臨床工学技士国家試験の合格発表について」/https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2023/siken17/about.html

臨床工学技士は、受験資格を得るまでの期間が長いものの、試験の難易度自体はそう高くありません。地道に学習した上で十分な受験対策を行えば、合格できる可能性は大いにあります。

また、臨床工学技士の資格は、一度取得すれば一生涯有効です。それを考えれば、苦労して勉強するだけの価値は十分にあるでしょう。

国家試験を受けるために必要な知識

臨床工学技士の試験を受けるためには、幅広い分野の知識が求められます。まずは過去5年分ほどの過去問から、出題のポイントをつかむのがよいでしょう。

以下は、臨床工学技士の試験を受ける際に必要となる知識です。

・医用電気電子工学
・情報処理工学
・医用機械工学
・生体物性材料工学
・生体機能代行装置学
・医用治療機器学
・生体計測装置学
・医用機器安全管理学

臨床工学技士の国家試験を受ける際は、医学概論で医学全般を理解するほか、上記の分野の知識をしっかりと身に付けておきましょう。それによって、国家試験の合格率をアップさせられるだけでなく、臨床工学技士として働く際にも知識を役立てられます。

【関連リンク】臨床工学技士の国家試験の詳細|
合格率や出題される科目まで

まとめ

臨床工学技士は医師の指示のもと、生命維持管理装置の操作や管理、保守点検を行います。また、透析室や集中治療室、手術室など、さまざまな現場で活躍できるのも臨床工学技士の特徴です。臨床工学技士になりたい方は、国家資格を得るための養成校選びから始めてみましょう。

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※当記事は2023年9月時点の情報をもとに作成しています

監修者プロフィール

マイナビコメディカル編集部

 

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履歴書や職務経歴書の書き方から、マイナビコメディカルサイト内での求人の探し方のコツや、転職時期ごとのアドバイス記事などを掲載。
転職前の情報収集から入職後のアフターフォローまで、転職活動の流れに添ってきめ細やかなフォローができる転職支援サービスを目指しています。

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