血液浄化専門臨床工学技士とは?認定資格制度について詳しく解説
臨床工学技士は、医療機器の専門家としてチーム医療に貢献し、患者さまの生命を支える大事な役割を担っています。臨床工学技士の業務は、呼吸治療や血液浄化、心・血管カテーテル、内視鏡など多岐に渡りますが、それぞれの専門性を磨き、さらなるスキルアップを目指すのなら、各業務に合った「認定資格」を取得するのも一つの方法です。
当記事では、臨床工学技士向けの認定資格のなかから、血液浄化専門臨床工学技士をピックアップ。資格の概要や取得方法を解説します。併せて、臨床工学技士が取得できる主な認定資格についても紹介しますので、関心のある方はぜひご覧ください。
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目次
血液浄化専門臨床工学技士とは?
血液浄化専門臨床工学技士とは、日本臨床工学技士会が認定する専門臨床工学技士資格です。高齢化が進行するなか、日本では疾病予防や早期診断に関心を持つ国民が増加し、健康寿命の増進に向けた取り組みが重要視されつつあります。日本臨床工学技士会では、こうした流れに即した医療技術に精通する人材を育成するため、専門臨床工学技士資格制度を開始しました。
血液浄化専門臨床工学技士には、血液浄化業務に関する専門知識が求められます。血液浄化業務には、血液透析療法や血漿(けっしょう)交換療法、血液吸着法などがあり、現場における質の高い治療の普及や技術の発展を支えるのが、専門臨床工学技士の役割です。
血液浄化専門臨床工学技士になるためには、指定講習会を受講し、血液浄化専門臨床工学技士認定試験に合格する必要があります。認定試験の願書は、日本臨床工学技士会JACE学術機構のサイトからダウンロードできます。
血液浄化専門臨床工学技士認定試験は、全国のCBTS認定テストセンターで受験する方式です。なお、2021年に行われた、第14回血液浄化関連専門臨床工学検定試験の合格率は15.7%でした。
(出典:日本臨床工学技士会「試験情報」/https://ja-ces.or.jp/nintei-seido/test-information/)
合格を目指すには、血液浄化専門臨床工学技士予想問題集などを活用しながら、十分な事前準備を整える必要があります。検定試験終了後は、諸条件を満たす合格者が認定申請を行うことで、血液浄化専門臨床工学技士に認定されます。
認定血液浄化臨床工学技士との違い
認定血液浄化臨床工学技士とは、日本臨床工学技士会が認定する認定臨床工学技士資格です。認定臨床工学技士は、医療機器の安全な運用や適切な保守管理を行える人材を育成するために制定されました。
認定臨床工学技士と専門臨床工学技士では、認定を受けるために必要な実務経験年数が異なります。認定臨床工学技士になるためには2年、専門臨床工学技士になるためには5年の実務経験が必要です。
つまり、専門臨床工学技士は、認定臨床工学技士の上位資格に位置づけられます。また、同じ専門領域の専門臨床工学技士を取得すると、自動的に認定臨床工学技士の資格も取得することが可能です。
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日本臨床工学技士会が認定する各種の認定資格
血液浄化専門臨床工学技士や認定血液浄化臨床工学技士は、日本臨床工学技士会が認定する専門臨床工学技士資格、認定臨床工学技士資格の一つです。日本臨床工学技士会では血液浄化領域以外の認定資格も運営しており、関心分野に応じたステップアップが図れます。
血液浄化専門臨床工学技士、認定血液浄化臨床工学技士以外の認定資格の一覧と概要は、以下の通りです。
○専門臨床工学技士
- ・呼吸治療専門臨床工学技士
呼吸治療業務(呼吸の機能が低下した患者さまに装着する人工呼吸器の稼働状況を点検したり、メンテナンス・管理を行ったりする業務)の専門性を証明する資格です。
- ・手術関連専門臨床工学技士
手術室における医療機器の操作・管理の専門性を証明する資格です。指定講習会では、麻酔中のモニタリング項目や、手術室における感染防止対策も学習できます。
- ・心・血管カテーテル専門臨床工学技士
心臓カテーテル業務(検査結果を記録する装置、補助循環装置などを操作する業務)の専門性を認定する資格です。指定講習会ではカテーテル治療や、心電図に関する基礎知識も学習できます。
- ・高気圧酸素治療専門臨床工学技士
2018年の診療報酬改定以降、需要が高まる高気圧酸素治療を安全に実施するための豊富な知識を証明する資格です。
- ・内視鏡業務専門臨床工学技士
内視鏡機器の操作・管理に関する専門性を証明する資格です。指定講習会では、内視鏡治療や、内視鏡関連法規に関する知識も習得できます。
- ・不整脈治療専門臨床工学技士
不整脈治療領域において、臨床工学技士が担当する電気生理学的検査、カテーテルアブレーション、医療機器の操作と管理などの専門性を証明する資格です。
○認定臨床工学技士
- ・認定集中治療関連臨床工学技士
集中治療室において、臨床工学技士が担当する生命維持管理装置の操作・点検スキルや、呼吸療法の基礎知識などを証明する資格です。
- ・認定医療機器管理臨床工学技士
臨床工学技士の職業倫理や、医療機器の保守・点検スキルを備えた人材であることを証明する資格です。
各認定資格の受験資格を得るためには、勉強会プログラムなどに参加したり、原著論文を執筆したりすることで、所定の単位を取得する必要があります。認定資格の更新にも所定の単位が必要とされるため、事前に条件を確認しておきましょう。
(出典:日本臨床工学技士会「臨床工学技士認定制度」/https://ja-ces.or.jp/nintei-seido/about-ninteiseido/)
仕事内容から必要となる資格の取得方法まで
資格取得と並行して進めたい学会発表・セミナーへの参加
臨床工学技士は自分自身の努力によって、職場における評価アップを目指したり、より待遇の良い職場への転職を図れたりする職種です。臨床工学技士としてのより良い将来を築くためには、資格の取得と並行して学会発表やセミナーに参加すると良いでしょう。
臨床工学技士が学会発表やセミナーに参加するメリットは、以下の通りです。
- ・自分自身の研究成果や見解に関して、第三者の意見を聞ける
- ・医療機器や治療法に関する最新情報を得て、知識の幅が広がる
- ・多くの仲間と出会い、モチベーションが高まる
また、学会発表やセミナーに参加した実績は、転職活動中の面接において向上心を示すための材料としてアピールできます。
学会の前後には、任意参加の意見交換会が開催されることもあります。意見交換会は臨床工学技士として働く仲間と出会い、仕事の悩みを共有したり最新の医学知識に関して論議したりするための良い機会です。意見交換会に著名な臨床工学技士が参加していれば、自分自身の研究についての意見を聞ける可能性もあるでしょう。
ただし、臨床工学技士が職場における評価アップを図るためには、普段の業務を着実にこなすことも大事です。任された仕事をきちんとこなすことを第一目標にしつつ、プラスアルファの試みとして、学会発表やセミナーへの参加を検討してみましょう。
臨床工学技士のキャリアアップにつながる転職
臨床工学技士の役職は限定されているため、職場によっては資格取得などの努力を継続しても、思うようにキャリアアップできないケースがあります。また、自分自身の関心分野や将来設計と職場の特徴が異なると、希望するキャリアプランを実現しにくいことも事実です。
現在の職場で理想的なキャリアアップが見込めない、もしくは希望するキャリアプランとのミスマッチを強く感じている場合は、転職を検討するのも一案でしょう。 なお、臨床工学技士転職活動を行う際は、自身が仕事に求める条件を明確にした上で、医療・介護分野の求人を多く扱っているエージェントを選ぶことが大事です。
マイナビコメディカルは、医療・介護分野に特化した転職エージェントとして求人の質にこだわり、ミスマッチを極限まで減らせるようにしている点が強みです。キャリアアップにつながる転職で失敗したくない方は、ぜひマイナビコメディカルの転職支援をご利用ください。
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まとめ
血液浄化専門臨床工学技士とは、血液浄化領域の専門性を身に付けたい臨床工学技士におすすめのスキルアップ資格です。血液浄化専門臨床工学技士を取得するためには日本臨床工学技士会の指定講習を受講し、検定試験に合格する必要があります。
ただし、職場の状況によっては、資格取得が必ずしもキャリアアップに直結するとは限りません。 自身の資格や希望に合った職場を探したい臨床工学技士の方は、ぜひマイナビコメディカルへの相談をご検討ください。
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※当記事は2022年6月時点の情報をもとに作成しています