臨床工学技士になるには?資格取得に向けた進学先と取得後の認定制度

最終更新日:2021年12月27日
 公開日:2019年8月26日

臨床工学技士は、医療現場で使用する各種医療機器を常に安全かつ的確に使用できるように、保守・点検・管理を行う専門職です。医療機器は人の生命に関する重要な役割を担うことも多く、機器の性能も高度化しつつあるため、専門的知識はもちろん強い責任感や使命感も重要となります。

医師・看護師だけでは対応できない医療機器分野を担当する臨床工学技士の需要は年々高まっており、医療チームをサポートする重要なポジションとして注目を集めてきています。

今回は、臨床工学技士になるために必要な条件から、進路設定、専門性を高める方法までまとめて解説します。

1. 臨床工学士になるには?

臨床工学技士として実際に医療機関で業務に携わるには、国家試験に合格して免許を取得しなければなりません

国家試験は誰でも受験できるわけではなく、受験資格を得るためには以下の要件を満たした養成機関にて専門的な知識と技術を学び、修了する必要があります。

1.大学に入学する資格のある者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(1)において3年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの
2.大学、高等専門学校又は厚生労働省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所(ア)において2年(高等専門学校にあっては5年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目(A)を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(2)において、1年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの
3.大学、高等専門学校又は厚生労働省令で定める学校、文教研修施設若しくは養成所(イ)において1年(高等専門学校にあっては4年)以上修業し、かつ、厚生労働大臣の指定する科目(B)を修めた者で、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した臨床工学技士養成所(3)において、2年以上臨床工学技士として必要な知識及び技能を修得したもの
4.大学(短期大学を除く)で厚生労働大臣が指定する科目(C)を修めて卒業した者<参考>大学(一部紹介)
5.外国の生命維持管理装置の操作及び保守点検に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で臨床工学技士の免許に相当する免許を受けた者で、厚生労働大臣が前各号に掲げる者と同等の知識及び技能を有すると認定したもの

(引用元:公益財団法人医療機器センター「医療機器センター・臨床工学技士国家試験」 https://www.jaame.or.jp/rinsyo/rinsyo.html)

試験は年1回、3月に実施されており、毎年約3,000人が受験しています。合格率も、70~85%の間を推移しており、決して狭き門ということではありません。

高度な知識と技術が必要となる国家資格ですが、前述したように試験通過率は高く、養成学校で組まれたカリキュラムを真剣に学び、国家試験の対策を行っていれば十分に合格できる難易度です。養成学校によっては、ほぼ全員が合格しているところもあります。

試験合格後は免許が発行され、この免許を所持していなければ実際の業務に携わることは許されません。将来的に臨床工学技士の職に就きたいという方は、高校卒業後の進学先を検討する段階からよく考えて進路を決める必要があります

2. 受験資格を得るための進学先と各メリット・デメリット

前述したように、臨床工学技士になるためには国家試験に合格する必要があります。しかし、臨床工学技士の受験資格を得るためには、臨床工学の養成課程が設けられた大学・短大・専門学校等の養成学校で専門的内容を習得して、卒業しなければなりません。

ただし、すでに医療系の大学・短大を卒業しており、臨床検査技師などの医療系国家資格を有している場合は、1年で基礎から臨床までを学ぶ1年制の臨床工学専攻科を卒業することで受験資格を得ることもできます

臨床工学技士の養成校として認められている大学・短大・専門学校どれを選択しても国家試験の受験資格を得ることはできますが、どの進路を選ぶかによって進学後及び卒業後の進路に大きな影響を与えます。

ここでは、臨床工学技士の受験資格を得るための各進学先の特徴、そしてメリット・デメリットについて解説します。

専門学校

臨床工学技士を目指すための専門学校は3年制で、大学で学ぶよりも短期間で知識・技術を身に付けることができるため、早くから医療現場で活躍することができます。期間が短いぶん、カリキュラムもより実践的なものが多く用意されていることが特徴です。

ただし、短期間で学ぶため学習スケジュールは過密となり、また実践的なカリキュラムが多いだけに、基礎的な知識は自主的に補完しなければならない場面も出てきます。

また、近年の傾向として病院や医療系企業といった就職先では、偏差値の高い大学卒を優先する傾向があります。

短期大学

短期大学は、大学よりも短い期間でカリキュラムを消化するため、専門学校と同じく1年早く医療従事者として現場に出ることができます。一般的な短期大学は2年制ですが、臨床工学技士を含む医療系の短期大学は3年制となっています。

ただし、専門学校と同じく短期間で基礎から実習までのカリキュラムをこなす必要があるため、過密なスケジュールとなってしまうことがデメリットです。

また、臨床工学技士の受験資格を得るための学科がある短期大学は絶対数が少ないため、選択肢にはなり難いという側面もあります。

大学

大学では、4年間というゆとりある時間で、臨床工学技士の専門科目だけではなく、一般科目までじっくりと学ぶことができます。卒業後に国家試験を通過して医療現場に出ることもできますが、大学院へと進みさらに学びを深めるという選択肢もあります。

就職の際にも大学卒の方が好まれる傾向にあり、偏差値の高い大学であれば更に優位に立てることも大きなメリットです。強く希望する勤務先がある方は高校在学中から勉学に励み、偏差値の高い大学へ入学できるように努力しておくと良いでしょう。

デメリットとしては、専門学校よりも学費が高くなる点と、卒業までの期間が長くなる点です。

現実的には、大学または専門学校の2つの選択肢から選ぶこととなります。また、各進学先もどの学校を選ぶかによってカリキュラムや就職への影響も異なります。
そのため臨床工学技士を目指すのなら、可能な限り若いうちから詳細な進路設計をしておく方が良いでしょう。

3. 臨床工学士の専門性を高めるための2つの「認定制度」

臨床工学技士は、国家資格を取得すれば実務に携わることができます。しかし、より活躍の幅を拡げたい場合や、確かな知識・技能を有していることを証明したい場合、専門性を高めたい場合には、関連資格を取得することがおすすめです。

国家資格ではありませんが、臨床工学技士には関連する団体が主催する「日臨工認定制度」と「学会認定制度」という2つの認定制度があります。ここでは、それぞれの団体の認定制度について詳しく解説します。

日臨工認定制度

日臨工認定制度とは、臨床工学技士の資質向上を目的とした専門家の団体である、日本臨床工学技士会が定める認定制度です。

現在以下にある5つの認定制度が設けられており、各分野の実務経験年数や講座の受講等一定の要件を満たした会員に向けて、各分野の専門認定士の認定を付与しています。認定を受けるには同会が開催する試験に合格する必要があります。

・不整脈治療専門臨床工学技士認定制度
・血液浄化専門臨床工学技士認定制度
・呼吸治療専門臨床工学技士認定制度
・高気圧酸素治療専門臨床工学技士認定制度
・手術関連専門臨床工学技士認定制度

どの分野も厳しい受験要件が設定されており、また試験も難しいため通過率も高くありません。厳密には資格ではありませんが、権威ある団体であるため専門認定士として認定されれば臨床工学技士としての確かな知識・技術を証明することができます。指導する立場になりたい方にもおすすめの制度です。

学会認定制度

日本臨床工学技士会以外の医療に関連する団体も、臨床工学技士に対して認定制度を実施しています。医療団体は分野によって多数の団体があり、複数の団体が共同で認定している制度もあります。

日本臨床工学技士会の公式ホームページによると、以下のような学会認定制度が設けられています。

透析技術認定士
日本腎臓学会、日本泌尿器科学会、日本人工臓器学会、日本移植学会、日本透析医学会
体外循環技術認定士
日本人工臓器学会、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本体外循環技術医学会
3学会合同呼吸療法認定士
日本麻酔科学会、日本呼吸器学会、日本胸部外科学会
臨床ME専門認定士
日本生体医工学会 一般社団法人日本医療機器学会
臨床高気圧酸素治療技師
一般社団法人日本高気圧環境・潜水医学会
日本アフェレシス学会認定技士
日本アフェレシス学会

(引用元:公益財団法人日本臨床工学技士会「学会認定制度」 https://www.ja-ces.or.jp/for-ce-medical-staff/clinical-engineer/professional-certification-system/)

以上の認定士の取得も、各分野の専門性を証明する効果的な手段となります。実務に関連が高い認定士を取得すると良いでしょう。
しかし、定まっていない場合には汎用性・需要が高い「透析技術認定士」「体外循環技術認定士」「3学会合同呼吸療法認定士」の3つを視野に入れてみることをおすすめします。

4. まとめ

臨床工学技士になるための方法から進路の選び方、そして高みを目指すためにおすすめの認定制度までを紹介しました。

医療現場における医療機器の必要性は今後ますます高くなり、新しい機器も次々と登場することが考えられます。各種医療機器の保守点検のスペシャリストとして、医療チームをサポートする臨床工学技士についても、今後医療業界から重宝される存在となるでしょう。病院はもちろん、医用機器を取り扱う企業での活躍も期待できます。

医療機器に高い関心があり、高度な専門性を以って人々の役に立ちたいという方は、臨床工学技士を志してみてはいかがでしょうか。

信頼と実績のマイナビが運営する
安心のサービスです

臨床工学技士(ME)の転職ノウハウ

臨床工学技士(ME)の記事一覧を見る