理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の違い

更新日 2023年11月09日 公開日 2023年11月09日

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「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」は、いずれも医療や福祉の現場で活躍するリハビリテーションの専門職です。これらの職種に興味のある方や目指している方のなかには、それぞれの職種について詳しい内容を知り、理解を深めたい方も多いのではないでしょうか。

当記事では、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の仕事内容や役割、活躍できる職場、やりがいなどについて詳しく解説します。自分に合った仕事を選ぶためにも、当記事でそれぞれの職種に関する理解を深めてくださいね。

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理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の違い

理学療法士(PT)とは?

理学療法士(PT:Physical Therapist)とは、病気やけがなどで身体に障害がある方、あるいは障害の発生が予見される方に対して、自立した日常生活を送れるようにサポートする専門職です。理学療法士は、座る、立つ、歩くなどの基本動作能力の回復・維持、身体状況の悪化予防を目的に、運動療法や物理療法を用いたリハビリテーションを行います。

(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET「理学療法士(PT)」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167

なお、理学療法士は「理学療法士及び作業療法士法」で以下のように定義されています。

この法律で「理学療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、理学療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、理学療法を行なうことを業とする者をいう。

(引用:e-Gov「理学療法士及び作業療法士法 第二条」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000137/引用日2022/10/07)

理学療法士は名称独占の国家資格であり、有資格者でなければ「理学療法士」と名乗れないことを押さえておきましょう。

理学療法士の仕事内容

理学療法士の仕事内容は多岐にわたり、患者さまが行うさまざまなリハビリをサポートします。理学療法士の主な仕事内容は以下の通りです。

■理学療法士の主な仕事内容

患者さまの状態確認と評価・計画設計 患者さまの疾患や既往歴、生活状況、運動機能、神経機能などを検査した上で、患者さまに必要なリハビリ(理学療法)の計画を設計。医師や看護師、その他の医療スタッフとともに、治療の方針を決定します。
リハビリの実施 医師の指示のもとで、運動療法(身体を動かすことで運動機能の改善を目指す方法)、物理療法(電気、温熱などの物理的なエネルギーを利用して、痛みや筋肉機能、血液循環の改善を目指す方法)を中心としたリハビリを行います。
補装具の判定とサポート つえや車いす、義肢などの補装具を必要とする患者さまに対して、義肢装具士などと連携しながら適合判定や調整、使い方のレクチャーなどを行います。
退院後の環境調整 患者さまが退院後の生活で不便な思いをしないように、自宅や周辺の環境を調査し、必要があれば住空間の改造提案や生活指導を行います。また、退院後のケアを担う家族との連携体制も整えます。
記録作成 リハビリの実施記録を作成します。

理学療法士が活躍する場所

理学療法士が活躍できる主な職場として、病院・クリニックなどの医療機関や介護老人福祉施設、障害者福祉施設が挙げられます。そのほかにも、理学療法士の専門性が求められる職場は多く存在するので、それぞれの特性を把握した上で、自分に合った職場を選ぶようにしましょう。

■理学療法士が主に働く場所

・病院やクリニックなどの医療機関
・介護老人保健施設
・訪問看護ステーション(訪問リハビリ)
・リハビリテーションセンター
・身体障害者福祉施設
・児童福祉施設
・保健所・行政機関
・フィットネス施設・スポーツ施設
・民間企業
・専門学校・大学(教員)
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作業療法士(OT)とは?

作業療法士(OT:Occupational Therapist)とは、応用的動作能力(食事や衣服の着脱、料理など)や、社会適応能力の回復・維持をサポートするリハビリ専門職です。身体機能に障害がある方や障害の発生が予見される方、精神障害や発達障害がある方を対象に、医師の指示のもとで患者さまに合った作業療法を実施します。

(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET「作業療法士(OT)」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/168

「理学療法士及び作業療法士法」において、作業療法士は以下のように定義されています。

この法律で「作業療法士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、作業療法士の名称を用いて、医師の指示の下に、作業療法を行なうことを業とする者をいう。

(引用:e-Gov「理学療法士及び作業療法士法 第二条」/https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=340AC0000000137/引用日2022/10/07)

理学療法士と同様、作業療法士は名称独占資格となる国家資格であり、免許を取得している方でなければ「作業療法士」と名乗れません。

作業療法士の仕事内容

作業療法の「作業」とは、食事や着替え、入浴、仕事、趣味など、日常生活で行うすべての活動を指す言葉です。作業療法士は、患者さま1人ひとりの心身状態に合わせて、以下のようなリハビリを計画的に実施します。

■作業療法士が行うリハビリの種類(例)

・食事動作訓練
・入浴動作訓練
・更衣動作訓練
・調理動作訓練
・認知機能訓練
・書字訓練
・高次脳機能訓練

作業療法は、基本的に一定の運動機能を維持している方や、理学療法によってリハビリで基本的動作能力が回復した方に対して行われます。身体面、運動面のリハビリに加えて精神面のケアを行い、日常生活の自立や社会復帰を支援することも、作業療法士の役割です。

理学療法士と作業療法士の違い

理学療法士と作業療法士はどちらもリハビリに関わる職業ですが、担当するリハビリの内容が異なります。

理学療法士は座る、立つ、歩くなど、日常生活における基本的な動作を行う能力の回復・維持を図るためのリハビリを実施します。患者さまが病院や自宅、入居施設などで自立した日常生活を送れるようサポートすることが、理学療法士の主な仕事です。

一方で、作業療法士は食事やトイレ、家事など、日常生活における応用的な動作の回復・維持を図るためのリハビリや、社会復帰に向けた精神面のケアを実施します。患者さまがその人らしい生活を送れるように、1人ひとりに合った作業内容で身体面・精神面のリハビリを行うのが特徴です。

ただし、仕事内容に違いはあっても、理学療法士と作業療法士は切り離して考えるべき職業ではありません。どちらもリハビリには必須の要素であるため、互いに連携・協力し合い、チームとして患者さまのリハビリを計画・実施することが大切です。

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言語聴覚士(ST)とは?

言語聴覚士(ST:Speech Therapist)とは、言語や聴覚、発声・発音、嚥下などに障害がある方に対し、コミュニケーション機能や嚥下機能の維持・向上を図る専門職です。言語聴覚士は、言語聴覚領域に障害がある方や言葉の発達に遅れがある小児、脳卒中のような病気やけがの後遺症を抱える患者さまなどに対し、医師の指示のもとでリハビリを実施します。

(出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET「言語聴覚士」/https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/169

言語聴覚士は、理学療法士や作業療法士と同様に名称独占の国家資格であり、「言語聴覚士法」において次のように定義されています。

この法律で「言語聴覚士」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、言語聴覚士の名称を用いて、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者についてその機能の維持向上を図るため、言語訓練その他の訓練、これに必要な検査及び助言、指導その他の援助を行うことを業とする者をいう。

(引用:厚生労働省「言語聴覚士法」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=80998053&dataType=0&pageNo=1/引用日2022/10/07)

言語聴覚士の仕事内容

言語聴覚士の主な仕事は、言語やコミュニケーション、認知、食事・嚥下などのリハビリを必要とする方に対して、検査、評価、訓練の実施、援助などを行うことです。

■言語聴覚士の主な仕事内容(例)

・言語機能や音声機能、聴覚機能などの検査
・障害の内容や原因、患者さまの状態などの聞き取り
(例)言語障害、高次脳機能障害、嚥下障害、聴覚障害、構音障害、失語症 など
・障害の内容や状態に合わせたリハビリの実施
(例)発話訓練、発声訓練、コミュニケーション訓練、食事・嚥下訓練 など
・生活環境の整理
・コミュニケーションの補助手段、嚥下機能の状態に適した食事形態などに対するアドバイスや指導

言語聴覚士が担当する障害の分野や対象疾患は多岐にわたるため、患者さまの障害の状態や心身の状態、年齢、生活環境などに応じたリハビリの実施が求められます。言語聴覚療法によるリハビリで機能の回復・維持・向上を図りつつ、患者さまがその人らしい生活を送れるように、包括的にサポートすることも必要です。

言語聴覚士として働くやりがい

言語聴覚士は「話す」「聞く」「コミュニケーションをとる」「食べる」といった、生きる上で重要な機能に関するリハビリを担当しています。言語聴覚士として障害のある方のリハビリに関わり、患者さまの機能改善・回復を身近に感じられることは、大きなやりがいになるでしょう。

また、「食事が楽しくなった」「人とのコミュニケーションが苦痛ではなくなった」など、患者さまがより充実した生活を実現できたときにも、言語聴覚士としての活動に喜びを感じるでしょう。

このように、患者さまと達成感や可能性を共有できるのが、言語聴覚士として働くことの大きな魅力と言えます。

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理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の共通点

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士はいずれも、医療や福祉の現場で活躍するリハビリ専門職(国家資格職)であり、平均年収も大きく変わりません。厚生労働省のデータによると、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の平均年収は約427万円となっています。

(出典:厚生労働省「令和3年賃金構造基本統計調査 結果の概況」/https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/index.html

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の年収は、資格の種類よりも、職場の環境に依存するケースが多い傾向にあります。収入面を重視したい方は、基本給だけでなく賞与や手当の有無などもチェックしながら、就職・転職活動を進めるとよいでしょう。

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まとめ

「理学療法士(PT)」「作業療法士(OT)」「言語聴覚士(ST)」は、いずれも医療や福祉の現場で活躍するリハビリ専門職(国家資格職)です。専門領域や関わる障害の種類、リハビリの内容はそれぞれ異なりますが、平均年収に大きな違いはありません。

理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の給与は、職場の種別や勤務形態、賞与、手当などによって変動します。収入面を重視した就職・転職を検討している方は、ぜひマイナビコメディカルにご相談ください。医療・福祉業界に精通したキャリアアドバイザーが、希望に合った求人をご紹介するのはもちろん、履歴書の添削や面接対策についてもしっかりとサポートいたします。

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※当記事は2022年10月時点の情報をもとに作成しています

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